相変わらずそびえたつパルテノン多摩です。重厚感が醸し出す文化の殿堂(・・・市民を遠ざける理由)的雰囲気は、曇天にになると重苦しい感じさえします。「重厚感」に見合って、建物を維持して管理して、そしてまた見合った運営をしていくことも正直大変なことです。背負うのは「市民」ですから。
さて、特別企画展「災害と多摩」の学芸員さんによる展示解説がありましたので、足を運んでまいりました。参加者はちょうどいい規模で7,8人だったでしょうか?市民の方は半分くらい。関心のある方は市外からもいらして下さったようです。うれしいです。やっぱり直接解説を聞くというのは、ただ単に、見るだけなのとは全然違う。学芸員さんはこのためにいろいろ調査、勉強も含めてなさったと伺いました。こうした展示をつくりあげるのも時間がかかりますよね。ここに合わせて、講演会などの企画もあり、そちらも興味深い内容。私も全回には参加できないと思っていますが、いくつか覗く予定です。
こうしたパルテノン多摩の博物館機能は今後どうしていくべきなのか?議会でも評価は決して低くない・・・むしろ、パルテノン多摩が実施している事業としても評価は高いとも言えるでしょう。しかし、実際のところ歴史系、植物系とお一人ずつの合計2名しか学芸員さんがおらず、展示企画なども拡充はかなり難ありなのです。企画展の実施に向けて取り組みながら、地域小中学校やコミュニティセンター等などへの出張講座の活動、古文書解読や歴史発掘、植物観察会など含めパルテノン多摩の事業を支えて下さっているボランティアさんとの活動も含め、まあ、その業務範囲はキャパ越えに近い状況になっているようにも思っています。学芸員さんたちは地域からも求められている存在であり、パルテノン多摩にとって必要不可欠な機能とも捉えることもできるわけです。
一方・・・では、博物館の展示内容・・・。キャパ越えとも書いたように、あまりにも少数精鋭すぎて(?)・・・そうそう簡単に回転させることもできません。つまり来場者に常に楽しんでもらえるような状態は作りきれないとも言えるのです。
そこで、「パルテノン多摩の博物館機能はどうするべきなのか?」とする課題が見えてきます。ちなみに「博物館機能」というのがミソ。「博物館法」に基づいて設置されているわけではないことも頭に留めておきたいですね。また、パルテノン多摩建設時に議員をされた方にお話を伺うと、当時の法律では、公園の中に「ホール」だけを設置することはできなかったようで、「博物館機能に付属したホール」として認められたという経過もあるようです。そして、博物館機能の充実の一環として・・・・自動演奏楽器が時価よりも高い価格で買わされ、今でも所有し続け、展示しているという事実。
ホント・・・紆余曲折。自動演奏楽器購入にあたって・・・議会では特別委員会まで設置され、その不透明さなどの調査も行われてます。金に糸目をつけず、現在では考えられないようなことが裏ではいろいろあったようですね。この際、これ以上は深堀するのは控えますが、そもそもパルテノン多摩の「博物館機能」をどう大事にしていきたいか?あるいは多摩市にとってどんな位置づけにあるのか・・・というのはほぼほぼ議論されておらず、ホールのために設けざるを得なかった場所とも言えますね。ただ、それでも学芸員さんたちがかなり奮闘してくれて、何とか維持していることは評価できると考えています。
ただ、これを今後どこまで維持できるか。それを担う人材をどう育み、そしてまた、継続させていくのか・・・視点が見えてこないのはとても残念。もちろん、この件は議会でも議論しなければならないでしょう。まだ、その議論が行われている状況とは言えませんが、大規模改修を進めるにあたって、整理しなければならないポイントの一つです。
市民の皆さんにとってパルテノン多摩にある「博物館機能」はどんな存在?実際に活動に関わっている人たちにとっては必要だと言えますが、客観的に状況を捉えていくべきですね。パルテノン多摩と言うとついつい大ホール、小ホールなどなどに目が向きがちですが、「博物館機能どうする?」の方がより重要かもしれません。今後の施設活用や運営にも深くかかわっていくことですから。見落としてはならないですね。