子ども権利条約についての勉強会。今日は「誰もとりこぼさない教育を考える」をテーマに、スマイルファクトリーの白井智子さんの講演があるというので足を運んできました。
大阪府池田市にあるスマイルファクトリー。公設民営のフリースクールです。ちょうど2年ほど前、子ども教育常任委員会の視察でお伺いしたところ。その時にも白井さんにお目にかかり、いろいろお話を伺い、「多摩市にも欲しい。あったらいい。つくりたい。」と思う場所でした。
小中学生の不登校は全国で16万人を超えているわけで、多摩市の人口よりも多い。文部科学省もついに…フリースクールの存在を認め、「既存の学校に行くことだけがすべて」という考え方からシフトチェンジをしたのです。別の言い方をすれば、文科省が「私たちでは手に負えない」と表明したとも言えますし、ギブアップしてしまったとも捉えることができます。フリースクールに対しても完全無視という態度を変えざるを得ない状況と向き合うようになったともいえるかもしれません。紛れもなく、公設民営という当時の池田市長の先見性、リーダーシップにより開設されたスマイルファクトリーは文科省にとってもモデルになるような学校であり、既存学校では対応しきれなかった多様性のある子どもたちを受け止めることのできる学校でもあるのです。
もちろん、その分、予算は必要ですし、白井さんもかなりのご努力をされています。池田市からの収入は約2千万とのことですが、しかし、年間必要な経費は約5千万円。寄附などを募ったとしても、毎年2千万円ほどは赤字になっているとのことでした。そこはスマイルファクトリーを運営する白井さんがたちあげたNPOトイボックスのほかの事業などからの収入で賄っているのかもしれませんね。財政的なことは詳しくは伺えなかったのですが、なかなか厳しいやりくりの中、子どもたち一人ひとりにしっかり向き合うことのできる人材の確保など手厚い体制を整えるために工夫をしているようでした。
多様性。
思い出すのは「みんな違って、みんないい」ということですね。金子みすゞさんの「私と小鳥と鈴と」の一節。子どもたちはこのフレーズを暗唱させられるくらいにまで教え込まれているようなところもあります。しかし、子どもたちに「大切な考え方」として指導している学校は、そのことを実感できるような環境になっているでしょうか?指導している先生が…というより、子どもたちの過ごしている学校、そこで行われているプログラムの大半は多様性が認められていることを実感できるようなものになっていないように思います。正直、子どもは、「大人のご都合」を直感的にかぎ分けているのではないのか?と思うのですね。
実は、今日の昼間に、別の場所でもそんなことを話題にしていたのですが、その会話と重なるかのように、私が尊敬している林大介さんからも「子どもの権利条約に関する話題提供」としても同様の指定があり、驚いたのでした。
子どもの権利条約。なかなか日本では受け止められているようで受け止められていない。理解の広がりが今一歩だなと思いますし、子どもの権利条例の必要性などを訴える議員に対する多摩市の考え方についても本質が理解されていないんだなあ…きっと…とがっかりさせられるわけですが、やっぱり、有権者ではないけれど「主権者である」子どもの存在に目を向けることができる感性というのかセンスというのは政治を担う私たちにも試されそうですね。
そんなわけで、私たちも「学ぶ」ということが大事ですね。「権利とは何か」とか、そんな小難しいことをいちいち論じたりするのは煩わしいとかめんどくさいとか…そう言われたこともありますが、やっぱり、私たちが軸足をどこに置くのか、物事をどのような立ち位置から捉えるのか…確認をしていったり、自分自身の感覚やら感性を磨いていくためには常に学んでいなければならないとも思います。
久しぶりに、「子どもの権利条約」のことを学び、復習の大切さを知ったひとときでもありました。そして、白井さんのフリースクールでの取り組みを伺い、「徹底的にハラスメントをなくす」という姿勢こそが重要であることも学びました。今は学校内、先生同士でのハラスメントなども話題に上っているわけですし、そういうことって実は少なくないのかな?と思えたりもするので。むしろ、先生たちが伸びやかさを持ち、子どもたちに向け合えていれば、こんなにも不登校の子どもたち、増加しないのではないか?…と素人考えでは思う今日この頃。多摩市の実情もしっかりと捉えつつ、子どもたちのためのより良い環境づくりにさらに力を注がねばと思ったのでした。いろんなタイプの学校というのか、子どもたちが足を運ぶことのできる学びの場があること、その選択肢を増やせるかどうか…ここがキモになりそうです。