なかみの見えない「駅近」機能。本庁舎建替え。

本庁舎建替基本計画特別委員会でした。公式ホームページには特設サイトもあります。特別委員会の一員になっているのは、たまたま総務常任委員会に所属する委員だったから…なのですが、メンバー入りしている限りは、ちゃんと議論に加わり、前向きに議論を進めたり、市民のための協議を重ねる責任を果たさないとと思うものです。しかし、そのために必要な議論の材料が十分に示されているとは言い難い状況で、せっかく委員会を開いたところで、議論の深めようもない感じに終始しています。

まだ、基本計画ではなく、「基本計画の骨子案」を協議している段階であって、議論するために必要な材料の準備中なのかもしれませんが、こんな準備状況で、どうやって、基本計画、実施計画と今、示されているスケジュールにのっとって進めていくのか疑問です。

…と思って、帰宅したところ、「多摩市政策情報誌 vol14」がポストに投函されていて、ここにも「本庁舎建替え」に関する記事が掲載されていましたが、見開きページの右下のところには「旧多摩ニュータウン事業本部の建物解体工事の完了」についてのコラム。

「なぜ、この位置関係で掲載しているのかしらん?」と思ってしまいますが、日本医科大学多摩永山病院の移転については、先日の本会議、代表質問と一般質問に対し、「現在はまだ協議中。新型コロナウイルス感染症の影響を見極めるため一時中断を迫られた。その後、協議は再開したが、建設費の高騰等、様々な環境の変化から、現在はこれまでの計画を保留せざるを得ない状況。法人側では現在、様々な方策の検討を進めている。現時点で新たな病院の詳細や移転・建替えの時期について、具体的な内容は示されていない。」という答弁があり、さらに、病院側から今後の方針が示されない間、「空き地にしておくのではなく、資産活用していく方向。コインパーキングとして暫定活用していきたい。」という答弁がされていました。一体、今後、どうなっていくのでしょうね。いろいろと耳にする情報もあり、かなり移転建替え、厳しそうだと私は見ているのですが、現段階では「意向が示されていないから、わかりません」というのが市長の見解。

さて、話しを本庁舎の建替えに戻すのですが、現在地での建替えをするコンセプトとは「市民が、本庁舎へ行かなくていい」であって、身近なところで手続きができてしまう便利を実現しましょう…ということになっています。

以前、そのまた昔の昔は、それこそ「旧多摩ニュータウン事業本部の跡地」(日医大の移転予定地)が市役所移転先の候補地だったのにな…と今でも思います。土地の形状は病院にせよ、市役所にせよ、決して使い勝手良いとは言えませんが、駅前に市役所を移転させるとして、永山駅前は最適だと考えてきた私にとって、現状に照らし、もし日医大の移転が見込めないとすれば、あの土地に市役所移転することが望ましい。とにかく今、時代と共に人口も減少し、駅前が空洞化していく傾向にも歯止めをかけていく必要があります。他市でも駅前空洞化に対応し、駅前移転の選択をしているところもあり、私はそれもありだと考えてきました。特に多摩センター、永山…。ただ、市長の意向は「また別の方策で活性化をしていく」という考え。

それはさておき、とにかく現在地建替えの案では「駅近機能」の充実が示され、聖蹟桜ヶ丘の出張所、多摩センターの出張所、そして、ベルブ永山に拠点を設け、そこで各種手続きを含め、市民が便利に利用できるようにしていきましょう…ということなんですが、「便利に手続きができるってどういうものを考えているの?」とか、「そのために必要な床面積はどのくらい?」とか、具体的なことがほとんど皆無に近いほど示されておらず、わかっているのは、政策情報誌にもある通り、「定型的なもの。マイナンバーカードによる発行」、相談については「ちょっとした相談」「本庁舎とのオンライン相談」ということのようですね。

しかし、ここでもまた、「その定型的なものって何?」「マイナンバーカードによる発行はコンビニでもできますよね?」とか、あるいは「ちょっとした相談って何?」ということすら、全く見えてきません。

ちょっとした相談というのは、オンラインで手続きができるようにして、もしわからない人がいたら、ブースを設けて、そこで本庁舎とモニターとかでつないで相談ができるようにする・・・・みたいなこと?…

想定しているのは、銀行のオンラインブース風?今でも、駅前などの銀行ATMで、困ったときに「もしもし」と電話ができるようになっていますが、それと同じようなこと?でちょっとバージョンアップで「モニター画面」があって、職員さんが直接応対するということなのか?

銀行のオンライブース、体験したり経験したらわかるのですが、決して便利とは言えません。しかも、高齢者ともなると、ホント、大変になります。耳も遠くなったりすると、それこそ…簡単ではありません。画面越しというのは。市役所で仕事をしている現役世代には、私も含めてですが、たぶん、想像して想像しきれないのが、歳を重ねるということではないのか…とも思うのですが。これからはインターネットに慣れ親しんだ世代が歳を重ねるので問題はないと考えるのもわかるのですが、私はそうでもなさそうだなーと思ってみたりするのです。

いずれにせよ、政策情報誌によると「オンライン、駅近、本庁舎」ということで、市民サービス全体の提供スタイルの方向性が示されていますが、肝心な「駅近機能」の内容が漠然とし過ぎていて、「これで、一体何をどうするんだ!」…と思います。何をやるのか、よくわからないまま、このまま議論を進めてしまっていいのかしら?

また、京王多摩センター駅の高架下にある「多摩センター駅出張所」については、今でも手狭ですし、あの場所で何をどう充実することができるのかも疑問。また、ずっと賃貸していくつもりなのかどうかも…「一体、何をどう考えているのか?」という疑問は議員全員が心の中でモヤっとしている点ではないかと思います。もちろん、「駅前の充実」のために、必要な工事があって、それは聖蹟桜ヶ丘の出張所、ベルブ永山で実現したい「駅近機能」についても「大規模改修工事のタイミングで」となるそうですが、そこに必要な工事をどう想定して、どの程度の予算を見込むのかとか、きちんと明らかにできるのか。

 

「焦り。」

 

以前から、市長が「令和11年度から新しい庁舎を稼働させる」と発言していることから、そこをめどにして議論をしているんだなと思いますが、このまま単に時間に追われただけの見切り発車的に取組みが進んでいって(強行されているようにも思う)、本当に良いのでしょうか。結局、すべてのツケは市民が背負うことになるのです。そしてまた、市役所建替えの事業費についても約123億円となっていますが、これは一年前の試算になっていて、グリーンライブセンターの大規模改修工事が1年で3割も値上がりしたわけで、そのこと念頭に考えれば、「約200億円規模」が目の前チラつきます。市長は「すべての公共施設を維持しきれません」と公言しておきながら、それとは相反するような行政活動を進めているような気がしてなりません。まずは、その矛盾を正していくことを優先してほしいのですが、施政方針の言葉を借りれば「走りながら、ブラッシュアップして考える」になるのかもしれませんね。「ブラッシュアップされているのか?これは?」という渦が広がる傾向がありますが。

 

このまま黙ってしまうと、将来への「ツケ」がみるみるうちに膨らんでいくのではないかと危惧しています。これから私たちが避けて通れない超高齢化、人口減少・・・・今に始まったことではありませんが、もう一度、向き合うべき現実を直視した対応をしていくことが求められる。市長には「未来を担う子供や若者たちのビジョンをしっかりと次世代につなげられるよう、一人の大人として市長として責任を果たしていきたいと考えています。」という姿勢をもう一度確認してもらいたいものです。