どう優劣がつけられるの?

ずっと行けていなかったのですが、なるべく人混みのない時間帯にと…滑り込みセーフで展示終了時刻間際に駆け込んできました。多摩市内の小・中学校が合同で開催している連合図画工作・美術展。

それぞれに子どもたちが自分なりのパフォーマンスを。どれもが力作だなと思う時、図工の先生、美術の先生たち…何を観点にして評価をしたり、採点をしているのかなあと。「授業態度」も採点する観点の一つになっているのかもしれませんが、そんなことで評価することが馴染むのかどうか…。優劣つけがたいというか、つけること自体が難しいというのか。

「何もしない」ということもまた、その子自身の表現の一つなのかもしれませんし。そういう意味で、どこを観点にして「その子の表現」を評価するのかを明らかにすることの方が大切かもしれません。「なんで、そんな評価されるのかわからない。」という声、聴くこともあるので。相性が合わない指導も時にはあると思い、そのことも含めて、先生や学校がどう受け止めていくのかも…今後ますます問われそう。

さて、力作ぞろいと、たくさんの想像が込められた作品たち。決められた大きさの画用紙の中で描くのとは違い、木工などはいろいろなパーツを組み合わせたりして…どんどんアイデアが膨らむと大きくなっていくんですよね。積み木でのお城づくりなど、どこまでもどこまでも大きく大きくしていけるのが楽しくて…最後には積み木が足りなくなってしまう…みたいな。私は「お家づくり」のようなことがとても好きだったことを思い出します。家で絵を描くときには、昔は…新聞広告などの裏紙をつなぎあわせたりしましたが。

とにかく子どもたちの想像力の広がりはすごいなと。そしてまた、子どもたちの作品を壊さないようにして、会場まで運んでくるのも一苦労かな…とか。いずれにせよ、こうした作品展を見ていると学校ごとに特徴があるというか、先生の経験値が表れてしまうようにも思うのですが、それは別として、全ての作品は素晴らしい。いつの時代も子どもたちは大人よりも縛られず、自由な発想を持っていて、うらやましい。

そして、中学生になるとグンと技術がアップするというのか、技量を磨くようなレッスンを受けているなと思いますが、なかでも、今回の一押しは多摩中学校の「ご当地マンホール」。これはとてもユニークで面白かった。

ハローキティちゃんとか、ラスカルもいいのですが。多摩市のゆるキャラ?「にゃんともTAMA三郎」を活用したり、小野神社をイメージした素敵な図柄、パルテノン多摩の大階段の図…ユニークな作品が勢ぞろいしていて、この中からご当地マンホールに採用したいものもありました。子どもたちの地域への愛着を感じることができる図柄が揃っていて、「なるほどなあ」と感心。

さらに、中学生になると「表現している自分と向きあう」ことが主題になっているのか「自分と向き合って表現する」というのが性格なのかもしれませんが、自分自身の「心」をいかにカタチにしていくのかに挑戦しているんだなあと。それぞれ作品への想いを言葉にして子どもたちが綴っているのですが(終了時刻が迫りすぎていて、残念ながら全部読み切れず)、受験期にある自分、悶々として言う自分の日々、将来に向けての希望などなど…葛藤を表現している子どもたちの姿がありました。心揺さぶられます。自分の昔を思い出しつつ。

作品を通じて、見えてくる子どもたちと、その子どもたちに向き合っている先生の存在と…。何となく学校の先生たちの頑張りも見えてくる感じがあり、学校って大切だなあとしみじみしながら、会場内作品を見ることができました。各学校とも実は各先生たちの力量も無限なはず。もしかすると、その力をどこまで引っ張り出せるのか…そこにはリードする人物の力量もあるかもなと思ってみたり。いい作品展でした。各小中学校での作品展なども本当は見て回りたい。