多摩中学校の「聖蹟ハニー」を支える人々。

多摩市内の小中学校は全校がコミュニティスクールになっているのですが、その在り方は学校ごとにさまざま。学校の歴史、立地などなど、やっぱり「伝統」というのか、そこにある年輪を感じずにはいられないわけです。先日、聖蹟桜ヶ丘では「ふるさと多摩 夏祭り」が行われていましたが、多摩中学校の「聖蹟ハニー」の販売ブースがあり、私もひと瓶だけ購入してきました。この活動を支えているのは地域学校協働本部の皆さん、地域の皆さんです。

「ちょっとだけ、値段を上げさせてもらったの。ごめんなさい。」と言われながら…多くの人に知っていただきたいので、まずはひと瓶。日本製の瓶にもこだわっていると伺いました。大事なことですね。まだ、味わっていないのですが、こちらは「桜」のはちみつです。そして、その際、「よかったら、蜂蜜を収穫するから、見学にどうですか?」とお誘いをいただいたので、「わあ!うれしい!」と今日…早速足を運び、見学をしてきました。

多摩中学校の子どもたちも養蜂をしていることを学校の特色であり、自分たちにとっての自慢にもなっているのかな。「この活動があるから楽しくて、不登校にならなくて済んでいるんです。」というお声なども寄せられるようですが、廊下からも多数のミツバチが飛び回っている様子が見えます。そこを狙うスズメバチの駆除のための装置も設置され、厳重に守られているのですが、襲撃されたら本当に大変。

ミツバチはセラピーにも使用されていますが、大騒ぎしなければ、自分たちの仕事に専念するので穏やかです。「1匹のミツバチからティスプーン1杯のはちみつ」…と言うのにはびっくり。どれだけ働いているんだろう…。そしてまた、一生のはかなさも感じてしまい、遠巻きにですが、「がんばれ!」と声掛けしたくなる。

はちみつがどれだけできているのかチェックしています。

 

そして、はちみつを絞り出すための装置にセットする前に…密蓋をソッと取り除きます。私もこの作業を少しだけお手伝いしました。

これが取り除いた、蜜蓋の部分。ミツバチたちの労が詰まっているので、簡単に捨てることはしません。

本格的な養蜂…とはいえ、作業はとてもアナログ。こちらの装置は手回し。滴るはちみつ・・・。この装置は、同じく養蜂活動をしている東愛宕中学校でも見たことがあります。既にみなさん手慣れた様子で作業はサクサク。今日は日中で生徒は参加していませんが、いつもは生徒の皆さんと一緒に活動します。このタイミングで一度、採蜜しておく必要があるのは、「夏休みの子どもたちとの活動」に備えるためだそう。ミツバチがせっせかと活動する時期なので、どんどん蜜ができてしまうので…とのことでした。

まさに、子どもたちの学習というか学び、活動を支えるための地域学校協働本部の活動。学校の活動を横目に見つつ、活動の組み立てがされているようです。夏休みには実際の養蜂を見学に行くツアーも予定されているのだとか。

とにかく地域の皆さんの手際の良さ!もう、手慣れたもの…という感じです。不純物を取り除いて、ボトル詰め。全部で25本くらいのボトルに詰め終わりました。こちらのボトルから、瓶に移し替えるところの作業は、今後、生徒の皆さんと一緒にやるそうです。おつかれさまでした!

 

作業がひととおり終了し、片付けをしたところで、装置などに付着した蜂蜜を…最後の最後まで大切に使うために…蜂蜜レモンにしてくださり、みなさんとおいしくいただいてきました。ありがとうございます。

さて、ボトルに詰めた収穫した蜂蜜を瓶詰にして、シールを貼ったり…そんな作業をしながら、生徒の皆さんとこの活動を支える地域学校協働本部の皆さんとの会話が生まれ、交流につながっていくわけですね。そして、もちろん、一緒に販売もします。はちみつの収穫、採蜜活動についても、もちろん、生徒の皆さんと一緒に。「この活動に我が子の学校生活が支えられている」という保護者さんの気持ち、頷けるなあ。

 

多摩中学校の場合には、「支え手」になる地域の皆さんを何とか確保しながら、活動が継続できていて、PTAの保護者の方も「お仕事に行く前まで」とギリギリまで準備などをお手伝いされている方もいらっしゃったりで、ちょっとだけ覗いただけですが、「この活動を応援したい」「関わっていきたい」という想いが集まっているなあという印象でした。「年齢的にも仕事がひと段落したところで、『お手伝いしてみませんか』」と声掛けがあって、関わるようになったという方もいらっしゃり、「交流もできるし、とても楽しい」とおっしゃっていました。「関わる」というのはめぐりあわせだったり、タイミングだったりするなと常日頃感じていますが、「きっかけ」の有無で大きく左右されますね。「そのきっかけ」をどう投げかけていくのか、ますます、これからは問われることになりそうです。

よい活動も担い手がいなくなると先細りになってしまうので。これは、ここに限らずの「地域の抱える課題」でもあって、実際に「今の若い世代の方々はみんなお仕事もしているから、大変よね。」とおっしゃる意見を伺い、担い手をどう確保し、活動を継続していくのか、「それを考えていくことも楽なことではない」という一面も垣間見たりしました。そしてまた、教育委員会が旗振りをするコミュニティスクールについても、地域の側の活動が活発になればなるほど、「先生たちも大変になるし負担になっていくのではないか」とも伺いました。地域の方々の熱心な活動について、当然ながら、学校は無視することもできませんし、特に管理職の先生方を中心にしながら、地域とのかかわりを日常的にもつないでいくところ…行事が増えれば、それなりに負担にもなっていくと思うし‥‥という狭間の中で、活動量の塩梅をされているようなことも伺いました。なるほどなあと。

 

学校の事情も理解しつつ、でも、地域として関わり続け、学校の教育活動全体をより良くしながら、地域全体も良くしていくような…そこを俯瞰する「要」になる人の存在が大事で、重要なんだろうなあとしみじみと感じたのでした。そして、「聖蹟ハニー」の売り上げが、また次の活動を支える資金として循環していくことになるので、このシステムが継続していくのはありがたいことですね。「聖蹟ハニー」を使用した地元のお菓子屋さんとのコラボ商品とかもあり、好評です。

 

とは言え、こうした活発に活動をしているというか、いいかたちの活動が企画され、成り立つ学校ばかりではないのも現実。「公教育」というからには、本当は多摩市内どの地域に住んでいても、内容はそれぞれ特色を持たせていて「差異はあっても、遜色はない」と言えるようになっていくのが理想ですね。そのために、汗をかくのが行政であり、教育委員会ということになるのでしょうか。いい活動だなと思う一方で、多摩市全体のことを考える時、見えてくる課題もあります。かけ声だけでは進まない…。

明日はまた「女性と政治参加」というタイトルで、話しをする予定になっていて…そのスライドをつくり始めたのに、保存の失敗をするとか…意気消沈する出来事に見舞われてしまったのですが、気持ち立て直して、やっと完成まであと一歩!