未来の教育を語る会@Benesse

先日、「未来の教育を語る会」という集いが行われたので参加。東京都内近隣だけでなく、関西方面などからも参加者がいたというのでびっくり。あまり意識はしていないものの、やはり、市内にBenesseコーポレーションがあるというのは「うらやましい」とも言われる我がまちの価値の一つになっているようです。総勢300名くらいの方が集まり、立場の違いを超えて「未来の教育」について対等な立場で意見交換し、交流し合う場。多摩市の学校からも参加者がいるかなあと思いキョロキョロしましたら、数名の参加者がおられたようです。多摩市在住で他市の学校で先生をされている方も数名。教員だけでなく、日頃から教育に携わっている企業、塾関係の方や地域で関心のある保護者、日野市からは教育長も参加されていました。

こうした場に意欲的に参加される皆さんなので、問題意識や感度がバリバリ高い…。ものすごい熱気あふれる会場で下。

話題提供をしてくださる方々がいらっしゃり、取り組みの実践を伺いながら、参加が4~5名で感想を述べあったり、自分の問題意識などを述べあったり。コロナ禍でこうした場が乏しかったこともあり、何だか新鮮な気持ちになりました。話題提供の内容はとても刺激的でもありましたが、ついつい私は「理想と現実のはざま」を思ってしまうのでした。

学校現場の現実を見れば見るほどに、会場での熱い議論と隔たりを感じるのではないか…と。実際に、先生たちの日常を想うと「言われていることはわかるけれど…」となりがちではないかなあとか。意見交換で同じ輪にいた小学校の先生が「枠を外す」という話しをされていましたが、「枠にとらわれず」に考えることが先生たちの現場でどれほど許されているのかなあと思ったりもします。

そもそも「多様性が大事」とか「違いを認め合いましょう」…と声高に叫ばれていると言ってもいい時代ですが、にもかかわらず…だいたい職員室内で多様性やら違いがどこまで認められているのか?‥‥と感じています。

先生たちの置かれた状況、大人の在りようがそのまま子どもたちに伝わり、それこそアンコンシャスバイアスではないですが、無意識のうちに子どもたちにも伝わっているモノ・コトが多いのではないかと私は思っていて、「未来の教育」に理想はたくさん語りつつ、そこと明日からの日常をどうつないでいくのか、自分自身の現在と折り合いをつけていくのかが大事なことだなと感じたのでした。

まだまだ特異な事例とも言えますが、通知表を廃止したり・・・なんてことに挑戦している学校もありますので。いずれ、「夢みる校長先生」も見に行かねばと思っているのですが、「夢みる校長先生」…あくまでも属人的で、その人しかできない取り組みだとしたら、「夢しか見ず」になってしまいますね。よい取組み、価値があり、それがこれからの時代であるとすれば、その方向にしっかりと歩んでもらえるような制度や仕組みが整えられていく必要があるでしょう。まあ、公教育は上意下達バリバリで、私は学校教育って「本当に子どもの方を向いて行われていますか?」と常に問いながら、現場を捉えてきた一人でもあり、学校の管理職の先生たちは特に…教育委員会ばかりを見て仕事しているような雰囲気を感じることも多々ありで。教育委員会は「現場を大事にして」と言っていますが、何となく、それとは真逆?…。

そして、話題提供で渋谷区教育長のかたが登壇されまして、これからの取組みを披露してくださったのですが…さすが渋谷区…その財政力に支えられて新しいことが展開していけるのだなあと。「多摩市では夢のまた夢」とすら思えてしまったのもまた事実。自治体の財政力によって公教育の内容が左右されていきそうな気がしてしまいます。会場でもPRされていた動画も高いクオリティを誇っておりまして、私の近くの席の方からもため息聞こえておりました…。

もちろん、「未来の教育を語る会」のなかでも「不易と流行」ということが言われていたように、新しいことを取り入れることの必要性もありながら、私はやっぱり「変えなくてもいいところ」あるいは「変えることができないところ」があると思っているのです。昔から「読み、書き、そろばん」と言われますが、機械に頼らず、自分の手を動かしてやることが必要だし、大事なことではないかしら…とさえ思える今日この頃。

「未来の教育を語る会」…あと一つ印象に残ったことは、「知り合い同士が多い」ということ。顔見知り同士の方も多いようで「久しぶり!」というような会話も交わされていまして。もしかすると、こうした場に参加をしながら、日頃は学校現場と格闘し、しかし「志は忘れず」ということで奮闘している先生たちが集まっているのかなあとも。それは、とっても良いことで、休日返上で勉強している先生たちがたくさんいるんだなあと知れたこともうれしいことでした。多摩市が会場なので、多摩市でお勤めの先生たちがもっとたくさん集まってくれることが私の勝手な理想でもありますが。

 

最近読んでいる本。今の学校、子どもたちを考えるために。