「迷惑をかけず、閉じていく」

「自分が亡くなった時に子どもに迷惑をかけないように」という思いを持っている方は多い。もちろん、我が家でも何かの折には「あなたたちには迷惑をかけないように」と父、母それぞれが話題にすることも。

そういえば、いよいよ団塊の世代の両親が揃って後期高齢者になることを思うと、「いざというときにどうするのか」はいずれ降りかかってくる問題なんだなあと思ったのが年末のこと。自分もそんな年代になってきたのだと実感させられるのは、同世代からの「喪中はがき」が増えてきたこともあるかなあと。今までよりも何となく身近で現実味を帯びてきたように感じています。

「終活のススメ」と講座などが行われていたり、エンディングノートを作成し、人生立つ鳥跡を濁さずのごとく、家族他に迷惑をかけないような備えをしているような話も耳にしますが、議会でも複数の議員が取り上げ、提案されていた「おくやみハンドブック」がこの度完成したようです。他の自治体ですでに作成され、活用されていることは知っていましたが、実物現物を手に取ると、「これ、すごくいい。」…多摩市も「鎌倉新書」さんと協働で発行しているようです。「鎌倉新書」さんがある意味、よいビジネスをされているなという印象ですが、多摩市が発行するにあたって費用負担はなく、「おくやみ」関連の広告収入により発刊することが可能になっているようです。

行政への手続きと言うのは、書類を1枚出せばよいというだけでありません。出生届、死亡届を出すだけで良いわけではないということ。このあたり、DXが推進されれば、利便性が上がるのかもしれませんが、今すぐにそれを期待することはできないことを考えても「おくやみハンドブック」とても役立つので手元に置いておくことをおすすめします。

多摩市では「窓口手続きチェックリスト」も作成をしていて、これも個人的には「ワンストップサービス」にはなっていなくとも、その意味では、阿部市長が「ホスピタリティのある市役所」を掲げてきたことに呼応し、「親切」をひとつ形にできていることかなと受け止めていましたが、「おくやみハンドブック」はそこをさらに一歩進めたものかなと思っております。

ちょうど、今日も大学時代の同級生たちと久しぶりに再会。自分たちの世代を意識するような話題で盛り上がりましたが、両親が他市に住んでいたとしても必要となる手続きそのものは変わりがないですし、やはり、備えておいた方が良いだろうと思った次第です。それにしても「老後のことを考えて、今から考えておかないと」とせっせと準備をしている友人の周到さには驚かされました。子育てをひと段落してしまうと「今、住んでいる家も大きすぎる」と実感するようです。不動産も「負動産」になる可能性も頭の片隅に置いておいた方が良さそう。

ところで、多摩中央公園、パルテノン多摩の並びに着々と建設中の図書館もガラス張りの外観が見えてきましたね。パルテノン多摩も大規模改修の時には「多摩センター活性化の起爆装置に」なんてことが言われていた気がしますし、図書館も同様に役割を果たすことが期待されているのですが、現状のパルテノン多摩が元気ある感じがないことと、今週末には京王プラザホテル多摩がクローズしてしまうことを思うと何となくこの先の雲行きを案じてしまったりするのでした。

「迷惑をかけずに閉じていく」ということを考えるのは人生だけでなく、それになぞらえて言うならば、ホント「まちづくり」でも同様ですね。次の世代にいかに「負」を先送りしないのか…についてはいつの時代も考えておくべきこと。経済状況、社会環境も大きく変わっている中で、人口数ピークの時代に合わせて建設された公共施設の問題など、これから本当にどうしていくか…切実です。会派ミーティングで市役所建替え問題についても意見交換をしたのですが、「負担を先送りをしない」の議論は深まっているようで、本質的には深まっていないというのが結論です。もちろん一足飛にと言うわけにいかないことはわかっているのですが。