小美玉市四季文化会館みの~れに行ってきました!

  

3連休最終日の会派での視察です。9月議会の前に会派で調査活動をし、決算審査などにも活かせるかなあと思い、無理矢理の日程を詰め込んでいます…というよりも、先方にお願いをしております。まさかの祝日に視察の受入れを引き受けてくださるとは思っていなかったのですが、ホールが祝日でも開館していたので、対応していただけたようです。本当にありがとうございます。

すでにホールの入口には「今日の予定」が掲示をされていて、すごくかわいらしい「みのーれへようこそ!」と。そして、入り口を入ったところにも、とても素敵な看板が!

「えーっ!」と感激をしていましたら、「いつものことなんです。」ということで、入ってすぐに…運営している人の横顔を感じることができますよね。これが’おもてなし’であって、きっと’ホスピタリティ’ですよね。

今回の目的は…小美玉市四季文化会館の運営についてでした。以前、パルテノン多摩の大規模改修に向けた市民ワークショップに小美玉市の方がいらっしゃり、講演をしてくださいました。議会にもお声かけをいただいていたのですが、その時には足を運べなかったので、いつか直接、話しを聞いておきたいなあと思ったのでした。会派メンバーで一緒に視察をすることで、話題をシェアできますしね。

そんなわけで、午前中じっくりとヒアリングをし、施設の見学をさせていただきました。ちなみに、もともと財団法人での運営に移行することを目論みつつ、開館したようですが…今は、現市長の理解に支えられ、直営方式による運営が行われていることも特徴かもしれません。また、当初は‘みのーれ’だけの運営だったそうですが、今は「文化ホール計画」(市の所有するホールの具体的な運営指針でもあり、基本計画書にあたるモノ)があり、もう1つの館の運営も行っていると伺いました。

この「小美玉市まるごと文化ホール計画」についても、‘みのーれ’の実践あってのものかなと思いながらお話しを伺っていましたが、<ビジョン>にあたるところだけ読むだけでも私の中では共感の嵐が吹きます。まさに、これから多摩市でも実践していかなければならないことであって、従来発想と従来方式を今まで以上に脱皮して、パルテノン多摩の運営が行われていかなければならないことがわかるからです。

 「2年間の活動を通じて辿り着いたビジョン「根を張ってこそ花が咲く」―。切り花はすぐ枯れてしまうのと同様に、出来合いの作品を持ってくるだけの文化活動はすぐ枯れてしまいます。都市ならば頻繁に生け換えるのでいいかもしれませんが、地域は毎年美しい花を咲かせる木々に囲まれていたい。人の根を張れば、まちの幹が伸び、文化の花が咲く、そんな文化活動にしていくことが「持続可能な豊かな文化のまち」の実現につながると考えています。」

「出来合いの作品を持ってくるだけの文化活動はすぐ枯れてしまいます。」ということをもっと肝に銘じておきたいなと思うのです。そして、今、パルテノン多摩の方向性も、「もっと市民と一緒に」という視点から再構築されようとしていますが、みのーれ’のように「買い公演は行わない。使うのは市民たち。」という視点で貫きながら、年間の事業企画から運営までを市民が中心になって行っていけるとしたら本当に理想的だなと思います。

そのかわり、職員さんたちはものすごい大変ですよね。今、働き方改革が言われるようになって、ようやく3ヵ月前に「企画実行委員会」の会議に諮ることで、「休館日」なるものを設けるようにしたといいますが、まあ、市職員さんにとっても「行きたくない職場」にもあがる場所だったようですね。とは言え、‘みのーれ’に配属職員さんたちは楽し過ぎてスーパー公務員というのか、仕事が楽しくて働く人たちだ・・・とも伺ったのですが、おそらく他の部署から見ていれば、「あそこいくと休みがなくて大変そうだ」となっていたことがわかります。

ちなみに、企画実行委員会は地域文化コーディネーター(非常勤)が委員長となり、月に一回開催される会議。一般公募13名の市民の皆さんがメンバーになっています。‘みのーれ’の役割を考えて、方針を決定する心臓部だという話し。この会議体の元に、各事業ごとにプロジェクトチーム(実行委員会)が組織されていて、各プロジェクトチームからの企画や提案を承認するのが企画実行委員会ということです(もちろんプロジェクトチームも市民主体)。ここが自主事業の企画運営をひっぱっていくイメージ。

また、文化教育委検討委員会というのがあり、ここでは市内保育園幼稚園(公立・私立含む)、各小・中学校から代表者が出席し、‘みのーれ’が主催する事業の内容について意見交換しているとのこと。毎年、小学生や中学生には鑑賞教室などを行っているそうですが、ここにもこだわりがあり、あくまでも「和」なんだとか。どんな演目にするかなどなどを決めるのを学校側と協議をすると話しておられました。

そして、何と言っても「みのーれ支援隊」という総勢約180人ほどで組織される文化ボランティアの存在が大きい。各事業の時にボランティアとして参加し、館の運営を支えています。公演の際のホールスタッフ、広報、舞台技術をサポート、演劇、ワークショップなどを支えるみなさんがボランティア。そして、ちょっとの例外もあるようですが、一人の市民がいくつもの役職を兼ねるのではなく「一人一役」を原則としながらの関わりを大切にしていると言います。

しかし、なぜ、これだけ多くの方がボランティアとして支えているのか?

と思うわけですが、やはり、そこには開館に至るまでのプロセスがあったようですね。小美玉市の合併前の美野里町の「四季の里」構想に基づく文化ホールの建設には賛成反対と大きく二分する議論があったようです。しかし、それぞれで対立をしながらも、お互いが本気で町の未来を考えていることを感じ、理解し合い、徐々に・・・「賛成か反対か」というのではなく、対話と協調で話し合いを重ねていくことが大切なのではないか、そこに意味があるのではないかと…話し合いのテーブルが出来上がり、プラス思考による真剣な議論が行われていくような土壌が育まれていったようです。

現在、3代目の館長を務めておられる山口さんももとは建設反対派の市民の一人だったと言います。当時は「文化ホールなんて必要がない。もっと福祉の充実が必要。」と考えておられたと言います。でも、今は…館長に就任!きっと当初は館長に就任するなどと思ってもおられなかったと思います。山口館長のお人柄というのか、私たちが施設見学をしている時に親子連れが館内に入ってきたところを、すでに顔見知りだったのか、とても親しげにお話をされていました。まるで近所のおじちゃんのような雰囲気で、肩ひじ張って「館長」ではないんですよね。

ただ、やはりそのリーダーシップというのか、率いていく力を感じましたね。なぜなら、この館に関わるスタッフすべての研修を実施しているとおっしゃっていました。館内清掃などを委託している会社さん、スタッフさんも含めて、「館を運営するときのマインド」をしっかり共有していくためのレクチャーを行っているとのことでした。委託業者の方も一緒に研修を行うってなかなかないことですよね。私は公共施設のトイレ清掃の状態にはかなりこだわり、あちこちで使用させてもらうのですが、‘みのーれ’の御手洗の清掃状況は17年経過した施設とは思えないくらいきれいで驚きました。一見、清掃ができているように見えても、実は天井を見ると埃が溜まっているような御手洗も見かけますが、‘みのーれ’の御手洗はホテル並みにきれい。この行き届き感に私は感激するわけです。久々にがっかりしない御手洗発見した!みたいな。お掃除のスペシャリストの方がおられるということでしたが、ピカピカでした。

運営については、話しもそこそこに切り上げつつですが、館長は「もともと、一体誰が、ホールを必要として使うんだろうか」という状況から開館し、出発してきたホールだとおっしゃっていました。しかし、なぜこれだけ関わるスタッフが増えているのでしょう。館長さんも含めて、とても奥ゆかしさを感じるわけですが、やっぱり職員さんたちのお人柄や、熱心さが市民にも伝わっているからではないのかな?と思いました。「本気!」に触れるとき、やっぱり人は動くと思うので。職員さんたち、正直、最初はきっと役所文化とは全く異なる‘みのーれ’文化に戸惑うのではないかなって思います。ただ、職員さんたちも小美玉市民の一人として、やっぱり、この場所を良くしていかないと!という気持ちで、楽しんで仕事をされていくのではないのかな?と感じるものです。市民が手弁当で動いている姿を見ていると、やっぱり動かざるを得ないでしょうし。

4月に移動されてきた係長さんは「サーカスプロジェクト」の企画を担当しているそうです。これはパパの関わりが薄いということで、新たに発足をしたプロジェクトなんだそう。しかし、提案企画は認められたものの・・・「サーカスとは何ぞや?」ということで、いろいろ苦労を重ねながら、市民の方と一緒に企画の練り上げを行っているようですね。そして、この企画を作っていく段階で、プロジェクトチームのメンバーと一緒に先進事例などを見学に行くとおっしゃっていて、これがまた「へえ!」と驚きなところ。市民と一緒に職員さんが視察に行くというわけですからね。お楽しみというのではなく、あくまでも‘みのーれ’でサーカス(大道芸?)をやるために事例研究をしに行くというのが…目から鱗というのか、斬新さを感じるものです。そして、係長さんがおっしゃっていたことで印象的だったのは「市民からのクレーム対応がない」ということだったんですね。私はクレームがないというよりも、一緒に課題解決をしていくという意味で、クレーム的な内容であってもクレームとして受け止めることなく、仕事に臨んでいるだけではないのか?とも感じましたが。

 

 

そして…施設見学へ。大ホールは大きさを小さくして使用できるようになっています。ちょうど真ん中のところで下から仕切りが上がっている状態。また、音響反射板についても開閉式になっているという・・・・(「きゃ!!」お金かかっている建物!)。

ゆったりと客席通路もまた広々。座っている人の目の前を人が十分に通れる通路は魅力的ですね。いちいち、「すみません」と頭を下げて、自分の席に行かなくてもいいわけですから。

小ホールはフラット。仕切ることができ、中庭とも一体的に使用できるような作りになっています。(「うわっ!」お金かかってる建物!)

でも、広くしても使えて、大きさを変えることができるので使い勝手はいいですね。会議などでも使用されていると言います。また、館内の壁なども、市民企画によるユニークな展示が行われていました。「ときめき美の小径」という素敵な名前で壁がギャラリーにもなっていました。

 

建物の特徴とは・・・・ガラス張り!すてきですね。そりゃ、私も素敵だなあ!って思いました。同時に「お金(維持管理費)かかりそうだなあ!」とも思ってしまうんですが。

デザイン的には。カーブデザインもあって…「この感じ、似ているなー」なんて思っていたら、やはり「佐藤総合設計」さんの建物だとか。多摩市でもパルテノン多摩の図書館新設が動いていますが、その設計業者でもありますね。

しかし、建物については賞も受賞しているそうです。それほどにため息も出るほどに、素敵すぎて・・・維持管理費がものすごい!って聞きました。「やっぱり!」…多摩市で計画されている図書館も心配になります。全面ほぼガラス張りなので。

今は技術も進んでいると反論されそうですが、館内の空調なかなか厳しいと伺いました。実際に暑かった。ウッドデッキなども素敵ですけれど、やっぱり、傷むというのもありますね。相当程度、メンテナンスに気を遣わないとならない建物になっているようです。デザイン重視で建物を作ってしまうと、却って使い勝手が悪くなる…ここは公共建築物のみならずですが、いろんな場面で考えておくべき視点だと思っています。今、多摩市で考えている図書館についても「まあ、建物の環境性能を高めればいい!」というものではなく、もともと、維持管理コストができるだけ低減できる建物にしておき、そこに環境性能を高めればより良い、もっといい!という視点を忘れてはいけない。

ガラス張りは素敵だからこそ、素敵を維持するために必要なコスト負担があるということを、私たちは学んでおくべきです。市民が負担をしていく。開館した瞬間、間もない時はいいかもしれない。でも、素敵な分だけのコストは後々にじわりじわりとかかっていくんです。それだけは私は確信しています。必要最低限というのが何なのか?ちゃんと見極めていかないと、結果的には子どもたちがそのツケを負担するだけの話です。

最後に、素敵なウエルカムボードの前で記念撮影。さらに、厚かましい私はウエルカムボードのなかみを記念品として持ち帰らせていただきました。せっかく作っていただいたもの。会派の控室で飾ります。大切に保存したいと思っています。ぜひ、見に来て下さい!

 

そして、何よりもこの3連休最終日。「絶対に足を運ぶ価値がある!」と思っていたものの、実際には行ってみないとわからないこともたくさんあります。でも、私が行きたい視察に会派のメンバーが「じゃあ!行こう!」と足並みをそろえてくれて、本当にありがたい。こうしてみんなで少しずつ勉強しながら、パルテノン多摩がよりよく運営されていくために考えていくことができたらいいなと思います。