地方自治と子ども施策シンポジウム@小金井市

今年で20回目を重ねるという「地方自治と子ども施策シンポジウム」に足を運んできました。兵庫県川西市で開催された第1回目には参加した記憶がありますがそれ以降は、ご無沙汰していたのですが、久しぶりに出席して思ったのは、多摩市が子育て施策先進市として注目されているなら、こうしたシンポジウムの開催地になれるんだろうなあ…ってことかもしれません。

多摩市にも「多摩市子ども・若者の権利を保障し支援と活躍を推進する条例」が制定されていて、子ども参加の取組みも皆無というわけではありませんが、全国から一目置かれるような状態にまではなってはいない。個人的に多摩市の子育て環境は決して悪くはないとも思っていますし、自治基本条例もあって、子どもたちの声を聴くような取組みも実施されていたり、何しろ、児童館もたくさんあって、かなり健闘していると思いますが、先進的でキラリと光る事例として研究者の方々の目に留まるまではなってはいない。いつか、こうしたシンポジウムが多摩市でも開催されるとうれしい!…もちろん引っ張ってくるための宣伝やら、人的つながり、ネットワークも必要で、そこの開拓には職員さんの熱意もあるのかも…いつか、多摩市でもできるといいなあと思いながら、事例発表など勉強してきました。

個人的には「権利救済」の視点を持った施策展開を進めてほしいとも考えていて、多摩市にも公的な第三者機関としてヨーロッパなどでも広がっている「子どもコミッショナー」「子どもオンブズパーソン」を配置できると良いなとも思っていますが、既に、多摩市にもある総合オンブズマン制度を活用する視点も含めて要検討と考えています。先行事例としては、近隣で、国立市のオンブズマン制度には「一般オンブズマン」と「子どもの人権オンブズマン」という区別があり、運用されているようですが、ただし、これは苦肉の策みたいなところもあるやに聞いています。本当は「子どもオンブズパーソン」はそれ単体で設置した方が望ましいという意見もありつつ、まあ、楽ではない財政事情により今のカタチで落ち着いている側面もありそう。なにしろ、様々な声を受け止める側も「子どもの権利」を正しく理解して対応していく必要があり、意外と神経も使いますし、それなりの見識というか、子どもと直接向き合うレッスンというのか、スキルも求められ、簡単ではない様子。

ところで、オンブズマンに持ち込まれた様々な問題については、何よりも、その事務局を担う職員の意識やその姿勢、構えも重要だと言われます。事務局職員に求められる「第三者性」をしっかり貫けるかどうか‥‥(市の職員が従事することになるので、場合によってはすごく大変になることも)。「第三者」であったはずが、「実はそうではないの?」と感じるような対応になってしまうことも(念のため。多摩市の事例ではないです)。

いずれにせよ、今の多摩市の総合オンブズマン制度の体制をそのままに「子どもオンブズパーソン」の機能まで盛り込もうとすると、結構無理あるかもな…と思っています。欲張りにはなれない。また、子どもオンブズパーソンの仕事というのは、クライアントが子どもであることや、学校などにも関係してくる問題も多いので、それこそ下調べをする職員さんをはじめ、スタッフが子どもの「守秘義務」をもとに動いていかねばならず、そこに対する配慮や慎重さも必要です。今すぐに、「多摩市でも必要だから、じゃあ、設置する」という風にはならないと思っていますし、そうすべきでもないと思いますが、今後の検討事項の一つとしていくことかなと私は考えています。

来年度、多摩市教育委員会ではスクールロイヤーをするようですが、まあ、相談窓口というのが多様に存在することやら、アドバイザーが複数配置されるようなことを否定はしませんし、選択肢が増えるという意味では望ましいと思う一方で、結局、縦割り行政の枠組みのなかでしか動けない非効率でスクールロイヤーの活躍が幅慣れることがないことを願うものです。何よりもスクールロイヤーは「子どもの利益のために動いていくアドバイザー」であって、学校のの味方をする立場ではないことを認識し、機能発揮してもらいたいですね。

ということで、「子どもの最善の利益」を大切にして、子どもたちの育つ環境づくりをさらに磨いていきたいものです。