来るもの拒まず、去るもの追わず。

「社会の底が抜けているんだから。」「だから、ボウルになることを決めた。」

先日の映画上映会で宮田運輸の社長さんがおっしゃっていたこどす。宮田運輸の場合、求人はしても、あとは早い者勝ちで、面接などで人を選ぶようなことはしないと。受け皿になることを決めたのだから、人など選ぶ必要はない。つまり、どんな人でも受け止め、引き受けていく…ということですね。それは並大抵の覚悟ではできないことだと思いますし、実際にも経歴含め、多様な背景を持つみなさんがお仕事をされているようでした。なかなか勇気がいるというのか、言うは易し行うは難し。真似できないことだなあと思うのです。

その時、もう一つ…「来るものは拒まないかわりに、去る者も引き留めないし、追わない。」…ただ、「もう一回、来てもいい。その時にも拒むことはしない。」とおっしゃっていて、何度か入退社されている従業員さんもいらっしゃるとか。

さて、昨日は、日本財団からの助成金で運営している子どもの居場所リバティで監査がありまして、せっかくの機会だからと同席させてもらいました。日本財団では「子どもの居場所」に関しては助成している全団体を監査していると。かつて民主党政権時代に実施された業務の「しわけ」(懐かしい)によって、「悉皆調査」方式に変わったと伺いました。助成金が目的に照らし、適切に使用されているのか、領収書1枚から確認されているようでした。子どもの居場所づくりのために助成している団体は全国にありますので、いろいろな事例をご覧になっているようでした。

元会計検査院でお勤めされていたという方から、かつての職場でのさまざまなエピソードを聞きつつ、和やかな雰囲気にも関わらず、かなり厳しくチェックが入りまして、非常に勉強になりました。

今日は今日で再び、リバティへ行きましたが、今年最後のハーモニークラブの活動でした。高齢化が進んでいる地域での「誰でも食堂」。今回も95個のお弁当を作りました…と言っても、私は弁当箱を並べる、詰めるなどなどを中心にやっているのですけれど、ご飯などもきちんと秤にかけてから、詰めたりするので時間がかかります。年末なのでちょっと豪華な幕の内弁当。午前11時すぎが目標でつくっています。リバティから諏訪4丁目の集会所まで運びます。調理チームと会場チームに分かれ、それぞれが準備をしますが、私は毎回ではありませんが、できるときにはボランティアを。「慣れたメンバー」で活動ができていて、いいチームワークだなあと、感心します。

この活動もコロナ禍以前から実施をしていまして、もう何年になるかなあ…なのですが、だんだんと高齢化が進む地域ですから、高齢者の皆さんの抱えている問題も見えてきますね。お弁当を注文していても、怪我をしてしまって取りに来れない方(もちろん、スタッフで届けます)、日時を忘れてしまう方などなど、お見えにならない場合にはこちらから連絡を取るので、さりげなく地域の見守り活動にもなっています。動作など一つ一つがゆっくり、歩くスピードもスロー…お弁当一つを提げるも重たく感じている方もいらっしゃるかな…と想像してみたりします。子育ても大変ですが、それでも子どもは成長していき、手がかかるかからないで言えば、どんどん自立していきますが、介護はそれとは逆パターンですね。自分もそのことを実感するのは、今年は父認知症が急激に進行したからですね。

ところで、子どもたちの第三の居場所になれるように開設し、運営してきたリバティの活動。どこまで子どもたちをフォローし支えていくのか…を考えた時、私たちの支援は子ども家庭支援センターや行政機関ではないことを前提にしつつ、対応することが必要なのかなと感じています。「来るもの拒まず」ということで、まさにその精神で。理由があってこなくなった子どものことも心配になりますが、丸ごと抱えることはできない活動であると実感します。「来るもの拒まず、去る者追わず」ではないですが、しばらく足が遠のいた子どもであっても、また来てくれれば大歓迎で。

まさに「支援と援助」の違い。

子どもの居場所リバティも口コミでその存在が知られるようにもなり、あとは行政機関とも少しずつつながりながら、活動を広げつつあります。利用したいと登録している数だけでも2年余りで、100名くらいに。今は、日本財団の助成があり、何とか運営が継続できていますが、しかし、来年度は3年間の助成金の最終年に。その先をどうするか、考えていかなければならず。子ども家庭庁でも先日「こどもの居場所づくり」に指針を出していましたが、安定的に場所を運営することはもちろんのこと、良いスタッフを集め、運営するためにはやっぱり先立つもの「資金」が必要。そんなに簡単なことではなく、ボランティア精神だけでやれるわけでもありません…子どもというかけがえのない存在を地域ぐるみでフォローしていくとはいえ、地域力も市民力からも底上げが求められていく時代をどう捉え考えているのかなあ…と思ったりもします。もちろん、市民の力を借りながら実施する活動も重要ですが、子ども家庭支援センターやら教育センターやら‥‥子どもに関わる業務を支えている専門スタッフ(正規雇用職員だけでない)のことにも目を向けてほしいと思います。支援があって、援助があって。その双方をきちんと再構築していく視点もまた重要。多摩市の場合には児童館を今後、どう活かしていくのかも大事。他の地域での好事例を探しつつ、多摩市に必要な機能をしっかり調えていきたいものです。セーフティネット…来るもの拒まず。市役所の最重要業務。