現状と課題と、解決策と。

総務常任委員会の視察でした。新潟市へのヒアリングでは「DXプラットフォーム推進事業について」、見附市では「市民生活と市の業務に関するDXの取り組みについて」というよりは「書かない窓口」についてです。

委員会では「市役所のDX」という観点での視察と考えでしたので、どちらかと言えば「書かない窓口」の方が参考になったかなあという感じでした。ただ、やっぱりといいますか、「書かない窓口」とはいえ、最後のところでは「確認しました」の署名をしなければならず、「完全書かない窓口」にはなっていないようです…。まあ、確認署名というのは何かの折に「証拠」になるものですね。

実際に「書かない窓口」の体験中もしてきました。見附市の場合には、現段階では主に、転入してきた方への対応が中心ということになっていました。転入手続きの際の煩雑さをより軽減するということです。窓口の職員さんにとっても、ものすごく達筆で文字が判読できない場合などもあるので、「申請用紙」ではなく対応できることにメリットがありそう。もちろん申請する側にとっての市民も「書くのが手間」と考える人が増えている時代になっていますし、「書かない」がありがたくもかんじ、便利さも感じると思いました。ただ、私みたいな昭和人間は別に書くことは苦にならないですし、むしろ一つ一つめんどくさい手続きを通じて、確認もできるような気もするので、それほど「書かない窓口」がキラキラしているようには思いませんでした。それに、そんなにしょっちゅう引っ越すわけでもないしなあ…とか。

一方、「書く」という動作が困難な方もいらっしゃるわけで、その場合には、「書かない窓口」はとっても便利。ただ、実体験からしますと、例えば、認知機能が衰えしまった父が「住民票」などを申請するための書類を書くだけで、ものすごく時間がかかります。もちろん「委任があれば代理人でも大丈夫です」になりますが、委任してもらうためにも必要なのは本人署名であって、やっぱり大変なんです‥‥。ですので、「書かせなくていい」というのは心理的なストレスも軽減されますね。本人さえ同伴していれば、写真付き証明書に口頭確認さえできればOKなので、そういう意味で、すごくいい。ただ、手続きの最終段階で、「これで良ければ、ご署名をお願いします」とか言われてしまうと、「まじか!」とため息つくだろうなと。見附市の場合には、そういう場合には…ご本人がいらっしゃれば、同伴者の方に代理で署名していただけたら大丈夫になっているようでしたが。

 

自治体DXについては、民間事業者も日進月歩で技術開発、収益を上げるために必死ですし、サービスそのものにも付加価値をつけながら、「住民サービス向上」のためのシステム導入などの営業もあるのかなと思っていますが、議員自身も手続き体験をたまにはしてみることで、現状把握やら課題も見えてくるのではないか、解決手段としての新たなシステム導入についても何というか「よりよい」が見えてくるようにも思った次第です。「書かない窓口」を導入することのメリットについても、「どんな書類を書かなくするのか?」ということも含めて、市民の方の煩わしさの軽減とともに、より正確でスピーディな行政の事務処理につなげていくことが必要ですね。費用対効果の検証などきちんと分析をし、「流行りだから」「何となく他市もやっているし」ということではなく、わが街でよりよいシステム導入を検討し、決めていくことが求められる気がしました。

見附市でも、職員さんたちがワーキンググループをつくりながら、検討を進めていったそうですが、やっぱり職員間の温度差みたいなものも解消することが必要で、意外と山あり谷ありながらも導入にこぎつけたのかな?…という印象も持ちました。「何のためにやるのか」をきちんと見定め、見極めていくこと。きっとここに尽きるのでしょうね。「現状」に「課題」に「解決策」と。他市の事例からも学べることは多いですね。実際に足を運んでみて、ヒアリングをしてみて初めて・・・インターネットからは得られない情報にも出くわすこともありそうです。

見附市役所を訪問した小学生たちからのメッセージが寄せ書きが掲示されていました。ほのぼの。「いろいろやりたいことがあるけれど、市役所で一番働きたい」‥‥なるほど‥‥と。人口減少、高齢化、少子化問題の深刻さは東京都を離れるとより見え、肌で感じる二日間だったかもしれません。