図書館政策の行方…。

多摩中央公園内で‛ズンズン’進んでいる中央図書館の建設工事。来年7月の開館をめざして図書館本館の再整備が進んでいます。「図書館本館再整備」がいつのまにか「中央図書館建設」と表現の仕方が変わっているのが気になっておりますが、中央図書館機能のある「図書館本館」ではなく、「中央図書館」として再出発するようです。

 

ということで、新しい図書館の管理運営方針の素案について市民説明会が行われましたので、私も参加してみました。議会で子ども教育常任委員会に所属をしていた時とは違い、よほど自分がアンテナ高く日々情報収集をしていないと、以前のようにフォローしきれていなくて・・・その反省も兼ねて。

 

確か…自治基本条例が制定されてから間もなくのころだったかと思いますが、多摩市で初めて、当時、流行り始めていた?…プランヌークスツェレが開催されたとき、市民がディスカッションで「多摩市に中央図書館が必要?」という点を討議していたはず。討議会での結論は「急ぐ必要がない」というのか、むしろ「必要性は高くない」という感じだったんですよね…。それを踏まえて、多摩市では「中央図書館機能のある本館」という表現が使われてきたのですが、ここへ来て、どこでどう決まったのか、よくわかりませんがいつしか、多摩市では「中央図書館」を新たに設置する方向になってます。

 

「中央図書館機能のある本館」と「中央図書館」がそもそもどう違うのか、私にはどうもよく理解できないところもあるのですが、現在との違いを端的に表現するとすれば「建物の規模が大きい!」という点になるでしょうか。そして、建物の規模が大きくなるので、それなりに建物、そして充実した設備にも「お金がかかります!」ということですね。

 

もちろん、管理運営コストをなるべく減らしていくための工夫を施してある…とはいうものの、それはつまりは「機械化する」ということであって、人件費を削減して…なんですよね。自動貸し出し機を導入するとか、人の眼が行き届かないところには監視カメラをつけるとか‥‥でも、機械ってやっぱり不具合も起こりますし、メンテナンスも必要であって…決して安いわけではない。それとグレードアップしていかないといけないですしね。

 

私はそういう点も含めて、「身の丈に合った」を考えていくべきと思っているので、「図書館本館再整備」について、その必要性は否定しないものの、では、どれだけの規模で建設するのか、そしてまた、多摩市全体の図書館政策を考える時、地域にある図書館も含め、将来にわたって必要と試算されるコストをどれだけ見込んでいるのかも含め…なんかスッキリ見えてこないところに不信感にさえ近い気持ちを抱いていて、はっきりいって、今の「中央図書館」の建設に対しては、不安の方が大きいです。これが正直な気持ち。

 

多摩市は行財政改革の中でも「身の丈に合った」っていう表現も使っています。今、進んでいることは「身の丈にあって」なのかしら?と。

 

私にとっては今の進め方はダボダボの洋服を子どもに着せちゃってるイメージ。「いつか、大きくなるから」って‥‥まだ、着れる洋服があって、修理をすればまだまだ着れて、子どもも気に入っている洋服なのに…「こっちのほうがいいよ~」って無理やり大きめで、一時の流行を存分に取り入れたお洋服を子どもに着せてしまっているような‥‥そんな印象が拭い去れません。

 

とは言え、中央図書館の建設工事がとにかくわき目もふらず、‛ズンズン’進んでいます。私たちの会派は懸念を示しましたが、それ以外の会派のみなさんは賛成ですから。議会の意思は「進めましょう」で合意しているので(市民の合意)、そのこと前提に考えていく必要がありますね。前向きにと思っているので、今日は、図書館長とお話ししてきました。

 

今回の管理運営方針については、あくまでも「中央図書館の管理運営方針」ということで市民からの意見も聴いていくようですが、図書館全体の方向性や方針はどうなっているのか…根本的なところはまだ見定められていない現状。そんな中で、「中央図書館づくり」を進めている館長をはじめ、現場の皆さんの苦労はさぞかし多いだろうなと…察するばかり。例えば、唐木田図書館は「窓口業務」と言いながらも、民間事業者に委託をしている状態‥‥こちらは「試行」になったままの状態で、いつまでたっても「試行」は解除されていませんしね。本来、図書館本館を再整備して、中央図書館としてスタートさせていくような一大プロジェクトをやるとなれば、本来はもっとスッキリと取り組める環境や体制があれば…です。

 

資源<ヒト・モノ・カネ>を集中させなければ、「中央図書館」は難しい。本館、拠点館(駅前にある永山、関戸図書館)とそれ以外の図書館…これを全体していくことが難しい」とする課題認識に対する答えは出ていません。身近なところにある図書館も大切で、将来にも残していきたいと考えるならば、そのために必要な体制をどう再構築するのか…。まずは来年の夏に中央図書館が開館されてから、もう一度仕切り直しになるのかもしれませんが、そんなに時間的余裕があり、結論を先送りできるとも思えず。私たち議会にとってもずっと宿題になったまま…。私は中央図書館がひとたび開館すれば、状況は変わる、今と同じではない…今までのように全体をバランスよく維持することもできないだろうな…と思っていますが。

 

今、学校跡地にある図書館本館に足を運べば分かりますが、「図書館本館再整備」は必要だと思います。たまたま再整備する場所が多摩センターで、多摩中央公園内になったわけですが、図書館は「多摩センター地区の活性化のため」が目的で建設されるわけではありません。そこだけはきちんと意識しておかないとって思います。あくまでもよりよい図書館政策の展開のため、市民自治を発展させていくための情報収集と情報提供をしていくための場所。社会教育に必要な公民館と並ぶ重要な教育施設。

 

はっきり言って…多摩センター活性化の装置と言えばパルテノン多摩ですから。市議会でも大規模改修工事の予算を認めるにあたっては、「拙速に事業を進めることがないよう留意するとともに、多摩センター地域全体の更なる活性化につながるよう工夫し、市民へ説明責任を果たすこと」って付帯決議をつけていますので。しかし、「パルテノン多摩、再開館してるの?」って状態なんですけれど。残念ながら、足を運ぶたびに、苦しい気分になる場所なんです…私にとって…現状ですけどね。