「なぜ、市民参加?」という視点。

「知識より智慧」…ということには、ホント考えさせられる今日この頃。まだまだ、知恵が足りてないと思うことと、「くらしの知恵」がどんどん失われているように思うのは気のせいかもしれないが…。

今日は生活環境常任委員会でしたので、一週間ぶりくらいに市議会へ足を運びました。なのに、もうずいぶんと市議会とはご無沙汰な感じがあり、時間の感じ方が以前とは異なっていることを感じています。

さて、今日の委員会は女性差別撤廃条約の「選択議定書」批准を求める意見書の提出を求めるみなさんからの陳情、国の道路法の改正からの流れを受けて改正される条例の審査がありました。陳情については委員会では全会一致で採択、条例についても全会一致で可決しています。

「選択議定書」の問題については国会、政府に対して批准することを求めたアクションが全国にも広がっているのですが、はっきりいって「当然のこと」すぎて、躊躇する余地はなく「採択」ですね。今まで「選択議定書」をそのままにしていたことにむしろ驚きます。「国際標準にしていきましょう」…ってホント、そう思います。国際的にみて「取り残される」ことを自ら選択しているような感じがしますね。にもかかわらず、「女性の活躍」などと言っていることが、実はものすごい滑稽でおかしなことですね。国内で「女性の活躍推進法」を制定するよりも前に批准するべきでしょうし。意見書は各会派全会一致でなければ提出することができず、委員にメンバーがいない会派があるので、その会派の意思表明によりけり・・・意見書が出せるか出せないか左右されてしまう感もありますが、「否」とする理由はありませんので、多摩市議会として意見書が出せると良いなと思っています。

道路法の改正については、特筆すべきは…多摩センターのにぎわいづくりのために「ほこみち(歩行者利便増進道路)」指定していく意向も示されましたが、さて、どうなるやら…と思っています。「ほこみち」にしたら、にぎわいができるわけではありませんから。にぎわいが作りやすくなるだろうという仮説があるだけの話しですから。コンテンツをきちんと揃えていくためにどう動いていくかの方が問われます。先日、補正予算でも多摩センターの活性化検討のために必要な予算が計上されていましたが、それとも深く関わる事項。それこそ、知恵というのかアイデアが問われることと、やっぱり「本気度」が試される気もします。

以上2件が審査案件。あとは日帰りで実施する行政視察のこと等、意見交換しました。委員会では気候非常事態宣言を踏まえて、具体的な提案ができたら…と調査活動を重ねていますので、それに関連して視察できると良いなと思っています。小田原市とか日帰りでも足を運べて、先進的に取り組んでいる地域に行けたらなと思いましたが、このご時世なので説明だけならオンラインでもできるのではないか?という意見も出て、なるほどと。

審査案件終了後は各所管から報告や連絡事項について説明を受けました。毎回思うことですが、ホント…行政の活動は幅広くて、委員会に報告される案件は一部の一部の一部くらいのものなんだろうなと。最近、すごく気になっているのは「市民参加」について。

市民参加、参画、協働…これは手段であって、目的ではないのに、すっかりと「目的化」していて、とりあえず自治基本条例の基づいた手続きをアリバイ的に取り入れているのではないか?という印象も。「何のために」という視点をきちんと押さえておくことが求められます。参加のデザインというか、声を聴くためのデザインをするって…簡単ではなくてすごく技術がいることだと思うのですね。ただ単に「聴く機会を設けた」だけでは意味がない。

レンガ坂の改修問題でも…舗装をどうするのか、そのデザインについて3種類を準備し、市民から「どれが良いのか?」を選んでもらうアンケートを取るそうです。景観を良くするためのデザインをアスファルトに施していくというイメージ。「レンガ坂」…「レンガ‘もどき’坂」にしてしまうことに複雑な想いもありますが、安全性確保を考えるというのもすごく良く理解ができ、特に雨の日はタイルとかレンガとか…素敵だけれど滑る…という点を考慮すると致し方ないのかもしれません。でも、30年以上、レンガの坂を維持してきたので、本当はこの先も維持することができるとベストなんですが。それにしても、アンケートを取ると言っても、「300回答以上は集まればよいかな」と考えているらしく、どうやってその数字をはじき出しているのかとかよくわからないですね。より多くの回答を得たいと考えているそうですが、メンテナンスのこととか含めて、今後のことも考えて選ぶことをしたいものです。市民にはただ単に「どれが好き?」を聴くだけなのが少し残念。ただ、その他自由に意見を書き込めるようになっているので、むしろその意見を大事にしてほしい。

そしてまた、環境基本計画の策定もはじまりますが、そちらでも市民とワークショップ…と市民参加を考えていることが示されていましたが、「市民の声を聴きます」…ってホント、言うは易し行うは難し。計画策定のために市民の声をどう取り入れていくのか、計画をゼロからつくるわけではなく、今までの取組みの上に未来を見据えた取り組み・行動を考えていくことが求められるので、参加する側の市民側にもある意味で勉強することが求められる。ただ単に、自由に意見を述べてください…という手法が求められる場合とそうではない場合もある…とか、「アンケートをやればいい」「ワークショップをやればいい」だけではないことを押さえておきたいものです。逆に言えば、「市民が参加しなかったら、市民の参加が無かったら」…を考えることで、「なぜ、市民が参加したらよいのか」を見出していくことも必要な作業。そしてまた、市民参画…と言っても、参加した市民が「全体」ではないことも事実であり、それ以外の大勢の市民とのバランスをどう調整していくか、図っていくか…ここに議会の役割もあるんだろうなあと思うのでした。

もう6月もあっという間に終わりますね…。早いなあ。