改修されたパルテノン多摩へ行ってきた!

「改修できてよかった。」

とりあえずの感想。ただ、それ以降の運営については…どうなるのか不安。これが私のパルテノン多摩の大規模改修に対する感想かなって思います。これから少なくとも30年間は存続させて「使い倒す」…「いかに使い倒すのかな」って思ってます。前途洋々という気持ちになれるくらいに晴れやかな気持ちになれたというわけではないというか。

とにかく「改修はできてよかった。」

っていうのが今のところ精一杯。でも、少なくとも、雨漏りするとか、そういうことは避けられるはずですし、「前よりも良い施設」になったというのか、レトロ感あふれる設備なども新しくなり、「快適性」は向上していると思います。

大ホール、小ホールともにオブジェはそのまま。当時おいくらだったのか…とつい思ってしまいますが、小ホールのオブジェは改修以前よりも「目に入りやすくなった」という印象。小ホール入り口の壁が取っ払われたからですね。同じく大ホール入り口の壁もなくなり、パルテノン大通りから直結する建物のエントランスから入ったフロアも「暗ーい」というネガティブさも払しょくされた気がします。今後、テーブルや椅子なども設置され、いつでも誰でも気軽に活用できるフリースペースになる予定ですが、どのくらい自由度がある場所になるのかな。居心地よい場所になっていけるかどうか、施設管理者のセンスが活かされていく気がします。「〇〇禁止」という注意書きが目につかない場所であってほしいと思います…利用者の最低限のマナーも問われるところですが。

楽屋をはじめとする練習室などもリフォームされていたりして、気持ちよく使える環境になったと思いましたし、会議室などもLED照明によって明るさがグンっと増しましたし、4階の子育て広場などキッズスペース、カフェライブラリーなど、多少は新たな要素も付け加わり、あとは、特別展示室だったところがオープンスタジオに変わったので、今までにはない新しい使い方もできるようになったことにも期待したいとは思います。期待したいというよりも、期待できるはず。

4階フロアには「子どもたち専用のトイレ」も設置され、子どもにとっては今までよりも使い勝手良い施設になったことは間違いないですね。ちなみに、子育て広場は市が民間事業者に委託して運営するので、指定管理者の業務の範囲外であって、子ども家庭支援センターとの連携を一つのポイントに据えることになってます。今はまだ備品など造作家具は「作成中」ということです。多摩産材を活用すると聞いているので、オープニングに間に合って子どもたちが歓声を上げるような、どんな設えになるのか楽しみです。「文化の拠点」にある子どもたちの広場になってほしいと思っています。

多摩中央公園に面する4階部分なので、屋根のある公園のようになって、天気が悪くても子どもたちが来てくれる場所になればいいなあ。そしてまた文化や芸術を意識した取り組み展開にも注目したいと思います。子どもとアート。ますます重視すべき観点と考えています。

 

ひょいって窓から外を覗けば…ほぼ、何も変わっていない感。「30年の歴史の重み」を感ずる外観はそのままに…とも言えますが、夏はモサモサになる駐車場の屋根はこのままなのかな…。屋上緑化というのか、手入れされず荒れ果てた駐車場の屋上が常に気になってきた私としては、こうしたところにもきちんと気配りされることを期待します。駐車場の外観は何ら変わらず。お手入れお願いします!って思っちゃいます。

さて、こちら、オープンスタジオ。キャットウォークも設置。壁面は鏡なので人気のあるスペースになりそう。バレエの発表会でパルテノン多摩のリハーサル室を利用していた時など、天井が低く、たくさんの生徒さんが入室するとお部屋の空気が薄くなっていたことが思い出されます。天井が高く、空間としても魅力的。特定の利用団体がいないときにどう活用できる場所になるのか。私の注目ポイントです。

 

いずれにせよ、設えは立派であっても、どんな運営がなされるのか…によって大きく変わる。

 

これはパルテノン多摩に限らずなのですが、インストールされるソフトウェアによりけりで施設運営というのは大きく変わっていくもの。そのためにも日々、施設利用者と運営者側のコミュニケーションが何よりも重要で問われていくことと思います。当然に重視されていかねばなりません。ちょうど2階エントランスのところには受付ブースがあるので、コンシェルジュ的に人が配置されるのかなって思っていますが、どのような人材が配置され、対応されていくのかしら?と思います。単なる案内ブースだけ?それとも…ということも含めて、どんな考えで運用されていくのかなと思っています。

パルテノン多摩の大規模改修の議論では「市民のひろば」という言葉がしょっちゅう用いられていて、市民にとって第三の居場所になるということも言われてきました。「誰一人取り残さない」…というよりは、「誰一人排除されない」場所でなければならない。そのための運営が展開されていくべきです。そしてまたここが「表現する場」になっていくことを意識すればこそ、一人ひとりにとって「心開く」ことのできる場所であってほしい。

改修の議論の出発点には、多くの市民がこの場所の担い手となってくれるような、そんな場所が想定されていた気がします。だからこそ、それにふさわしい管理運営の在り方が議論されていた時、当時の指定管理者であった多摩市文化振興財団の「顔が見えてこない」ことの指摘が繰り返し繰り返しなされていたこと、「風通しが悪い」と指摘され、もっともっと「市民の中に」「地域へ」ということが言われていたことが記憶によみがえってきます。

 

…ということで、気になるパルテノン多摩の事務所機能がどう展開されていくのかが気がかりなのですが、事務所の場所は1階で、従来の財団事務所エリアがそのまま継続。そのことは設計図をある程度見ていて、承知していたのですが、しかし、どのくらい日常的に市民とコミュニケーションが取れるような敷居の低い場所になるのかなって思っていて、「開かれた事務所」になると思い込んでいたのです。「顔が見えない」から事務所の場所を2階に移転させられないか…みたいな議論もあり、運営を担う指定管理者と市民との垣根をより低くし、市民と一緒に「つくる」をもっともっと実践しやすくしたい…なんていう話も出ていました。

ところが、「まさか!」…。

事務所は入り口扉は真っ白。扉を閉めてしまえば、市民からは何も見えない。壁の向こう、塀の向こう側にある事務室というイメージ。「えええっ!」という驚き禁じえず。

もちろん、現段階では車寄せエントランスのところから…室内の様子を見ることはできます。窓の向こう側に…。しかし、もしも、この窓もスクリーンカーテンとかでふさがれてしまえば、まったくの「密室状態」。もちろん、利用団体への鍵の受け渡し場所などにはなるでしょうし、打ち合わせスペースなども確保されるようですが、すっかり閉じられた空間の中で…になってしまうので、市民との距離感が物理的には解消できません。日常的にも利用者と運営者が挨拶を豊かにかわすことができるような関係性を築けること…本当はもっと大事にされていいはずなのになあ。事務所内レイアウト図も貼ってありました。でも、区画というか、室内のレイアウトの問題ではなくて、日常的に市民から見えるか見えないかの問題。とにかく扉を閉めてしまえば、市民からは閉ざされた空間になるわけであって、コロナ禍でもあり、「密にしない」が求められるので、事務所入り口は常時解放されるのかもしれませんが、否が応でも風通しが良くなるようなハードではないですね。言ってみれば「今までと同じ」。「開放」とは逆行するようなありようになっていて…残念すぎる。

 

ま、設えにいろいろ思うところはあっても、運営する側の意識、マインドによっていくらでも工夫はできるので、一見、市民から遮断されているような印象も乗り越えることは難しくないはず…とは思う一方、より求められる、より目指していくべき方向に向かっていけるようにハードも作り変えることができたはずなのになあ…。

そのチャンスこそ、巡ってきたともいえるのに…あぁ、大規模改修…という感じ。

…というより、市民から「顔が見えない」「風通しが悪い」…と指摘されていたにもかかわらず…結果的には「まさか、耳を塞いだ?」わけなので、なぜ、そうなってしまったのかしら?…という疑問が拭い去れず。せっかくの大規模改修であり、「このチャンスを最大限生かす」…ってことだったはずなのに、チャンスを逃してしまったように思えてならないのは私だけかもしれませんが。

少なくとも、ワークショップにおける市民との積み重ねは何だったのかな…(遠い眼)。

 

あとはヒューマンウェアに期待するしかないですね。市民と一緒に「創造する」ことが求められる…ここにこそ文化施設としてのパルテノン多摩の価値をしっかり築いていく必要があるはずなので。「文化の殿堂」ではなく、もっともっと日常的な市民との「関係性」を大事にし、「広場になれるパルテノン多摩」になっていくことが不可欠。それであって初めて、今回の改修に対する市民の理解と納得を取り付けることができるというのが私の考えであり、今回の改修工事に対する想い。

 

「ヒューマンウェアこそ大事!」

 

単にソフトウェアが大事だと表現した私に対して、市民の方から伝授していただいた大切な表現が「ヒューマンウエア」。いよいよ3月のプレオープンのパルテノン多摩にますます求めていきたいことだと考えています。

 

「市民のためによりよく」

 

当たり前のことすぎて、ついつい惰性に流されて仕事をしていると疎かになってしまう点。「よりよく」をめざし、よい仕事をするためのほどよい緊張感を失わず、パルテノン多摩が「改修してよかった」と思ってもらえるように見守っていくことが議会にも求められる気がします。

 

館長がリニューアルされたホームページのあいさつに「もっとパル多摩へ」と呼びかけておられるので、市民が行きたくなる居場所として、従来とは異なりどう進化したのかも含め(ここは改修工事をしていた間にどんな準備をしていたのかも問われる)、とても楽しみ。パルテノン多摩の基本理念。「文化芸術を通して、みんなが喜び、つながり、街の魅力を創造する」…管理運営計画はこちらからご覧になれます。市民の熱量があふれる場所にしていきたいものです。改修が終わり、その次へ。パルテノン多摩のリニューアル!まちの活性化にも貢献し、寄与しているのかどうか…やっぱり評価するのは市民の皆さんですね。