子育ての原点…だから、場所と人がいる。

今日はものすごい暑い一日でした。さすがにクーラーが必要だと思いましたし、子どもたちは公園では遊べないと思いました。公園は日陰が少ない。木陰に避難するにしても…草刈りが間に合っていなかったりで、虫さされも気になりますし。そうなると、近所に児童館があると助かりますね。災害級の暑さだとも思っているので、子どもたちが安心して避暑できる場所にもなっています。今日は一ノ宮児童館の見学などしてきましたが、幼児プールを目的に朝からベビーカーのママたちの姿も。

子どもたちには十分すぎる大きさ。お家のビニールプールとは違って広々。スタッフである職員さんたちは、事前準備も含めて、大変なんだろうなあ。結構な肉体労働のような気がします。初めて来館した親子にも…「はじめてなんですね。どうぞどうぞ、こちらにいらしてください」と場の雰囲気にすっと溶け込んでいけるように声かけをして、案内をして、場の中にしっかりと招き入れる感じ。やっぱり、どんな場面でも「はじめて」というのはとても勇気がいることですが、職員さんがいてくれて馴染める空気感が作られていくのだなあと眺めておりました。

  

私は一ノ宮児童館にも随分と足を運んでいなかったんだなあ…と思ったのですが、2階にあった学童クラブが小学校の中に移転した後の子育て広場は建物の古さを忘れる居心地の良さがありました。南向きに窓があって、明るいからかもしれませんが、広々とした空間で親子で安心して過ごせる空間が広がっていました。子育てマネージャーとして活躍してる職員さんは…学童クラブ職員としてのスペシャリストだった方ではないですか!…ということで、さすが、その力量をバリバリ発揮されているご様子でした。直営だった学童クラブが民間委託化される頃のことも思い出しているのですが、「学童クラブにおける子どもと家族の支援」で必要な人材という話しになると、必ずと言っていいほどに熱心で素晴らしい人材として名前があがる方ですね。

その方を中心にしながら運営されている一ノ宮児童館の広場事業。子どもが生まれる前から児童館を知ってもらい、利用してもらうための取組みや工夫を少しだけ伺うこともできたのですが、フロア全体の使い方も含めた工夫の話などなど、さすが!という感じでした。そして、見せていただいたのは「プレママさんへのアドバイス」…という先輩ママからのアドバイス集。これは必見ですね。

こんなものがあったら便利だった、これは買ったけれど必要はなかった…などなど、ちょっとしたアドバイスがたくさんしたためられていて、すごい参考になりますね。「これは、いい!」と思いました。

個人的には、広場の入り口を入るとすぐに目についたのが「イラっとしたときどうしてる?」というボード。ここにママたちそれぞれのリフレッシュ法が書いてあり、これまたすごく参考になります。子育ては「イラっとする自分」と向き合うことでもあり、戦うことでもありますが、このボードを眼にすることで「イラっとしているのは自分だけじゃないな」とも思えることが救いです。

一ノ宮児童館のそばには、バオバブ保育園の親子サロンもあり、0歳児の小さな赤ちゃんを対象の事業などはお互いの連携をしているようですね。親子サロンのお休みの水曜日に、児童館が「0歳児のためのつどい」を企画し、赤ちゃん連れが来やすくなるような工夫をしているようです(もちろん、子育て広場は毎日開いていますので、いつでも来てOKではあるのですが)。

とても居心地が良い空間がどれほどの努力と工夫のもとにあるのか…それは、この壁を見れば一目瞭然ですね(ちなみにここは工作室です)。多摩市内最古の児童館ですので、相応の傷み具合…隠すこともできないのだなあと思うわけですが、「ごめんなさい」…心が痛みます。ここに改修費用が捻出できていかないところの理由を探らねばならないですね。

4月から交代した館長さんは「漫画の充実ぶり!」に驚いておられましたが、歴代の職員さんたちが寄附したもの等も並んでいるのだとか。児童館には「図書室」を設置することになっているのですけれど、その充実も実は課題だったりします。今の児童館の予算で「本の購入」にお金を回すことがどれほど難しいことか。でも、涼しい空間の中で子どもたちだけでなく、一緒に子どもと来館しているママも漫画を楽しんでいる様子がありました。本箱に囲まれるのって居心地いいですよね。遊戯室は、一応、ソーシャルディスタンスを呼びかけているとは思うのですが、空間は広々としているし、もっと広がればいいのに…と思うものの、子どもたちってやっぱり、部屋の片隅に集まったりするの好きですね。おしゃべりをしたり、漫画を読んだりしながら、のんびりと寛ぐ姿がありました。こうして仲間と一緒に過ごすことが心地よく、子どもたちにとっては必要な時間なんだろうなあ。人間はやっぱり集団で暮らす…孤独ではいられないということが何となく伝わる光景でもあります。

一ノ宮児童館では「小学生会議」というのをやっていて、子どもたちにいろいろと声を聞いているようです。これについては、また改めてどんなことをやっているのかヒアリングをしたいと思うのですが、子どもたちがまちづくりに参加する、あるいは、子どもの声を取り入れたり活かす取り組みを進めていくにも、児童館の果たせる機能と役割に注目できそうですね。こうした取り組みもまた、信頼できる大人がいるもとでしか成り立たないこと。子どもたちが胸襟開いて意見を言ってくれるまでには信頼を築いていく必要がありますね。要するに、そのためには一定の時間も必要になるわけで、児童館の職員が市役所の人事ローテーションルールに基づいて入れ替わり激しいような感じだとなかなか難しくなってしまうことがわかります。もちろん、現在も、児童館職員さんの人事異動にはそうした視点も一部には反映されているような気もしますが、児童館現場でどのようなスキルが身に着くのか、あるいは、それが多摩市役所全体にどのように還元されていくのかも含めて、本当はもう少しきちんと整理されていくと良さそうです。「地域にある児童館」「地域の一員としての児童館」…どう位置づけていくか、改めて考えていくべき視点があるように思います。

そういえば、地域と言えば、コミュニティセンターがあり、もちろん「コミュニティ」というからには、多世代対象なのですが、子どもにとっては「利用しづらい場所」になっていることも多く、子育て世代からは「子どもはコミュニティセンターで邪魔者扱いされていて、肩身が狭い」という声は少なくありません。児童館だとやっぱり、大人からの眼にビクビクしなくても過ごせることがとても良いのだと思います。いずれの児童館でも、スタッフと子どもとの関係を見ていると、ホントに一人ひとりの子どもの特徴というのか個性をつかみながら、対応しているなあと感心してしまうのですが、それだけ児童館を気に入ってリピーター利用してくれている子どもが多いという証ですね。その子どもたちが将来の多摩市の担い手になってくれると嬉しいですし、児童館の小学生会議などは「まちに参加」する入り口をつくる場所としての可能性も大きい。

子どもが「将来、市役所に入って、児童館の職員さんになりたいなあ」と思ってくれるようになるといいなあと勝手に思ってしまいます。周りのママたちに話しを聴くと、「児童館は子育ての原点だと思う。場所と人が必要。」とおっしゃる方も多くいて、「場所だけ」があってもダメで、そこにはきちんと「人」がいるという指摘はそのとおりなんだと思います。今日も初めて、子育て広場に訪れた家族の様子を見ていても、やっぱり「人」が対応するから良いのだなあということ目の当たりにしたので、そこは外せない要素であることを確信しています。

以前、桜ヶ丘児童館を無くす、無くさないで議論をしたときのことも思い出しながら、今日一日を振り返っています。多摩市が「子育てしやすいまち」をアピールするための児童館にしていきたいものです。施設の老朽化は避けられないこととはいえ、児童館のトイレをきれいにしてあげたいよー…って思います(学校トイレも…ですが)。