「食を必要とする一人のために」フードバンクTAMA

フードバンク。子どもの貧困や格差が言われるようになってから、その活動が注目されています。多摩地域といえばやっぱり「フードバンクTAMA」ですね。八王子市でスタートした活動ですが、今は、日野市に拠点を構えている団体です。食品ロスをなくしていくことの動き、そして、貧困格差の問題等が表面化して、取り上げられるようになってから、地域での子ども食堂やフードパントリーなどの活動とも合わせ、ボランティアの方に支えられている活動のひとつです。

多摩市でも社会福祉協議会ともタイアップをしつつ、地域の子ども食堂(誰でも食堂)への積極的な支援をしています。特に毎週1度、パルシステム東京が生鮮食品の提供をしています。生鮮食品ですから傷まないうちに活用できる場所に届けることが必須ですね。地域で「食」を提供している場所への配布に助けられている団体も多いです。私とご縁のあるみなさんからも「ありがたい」との話を耳にします。いただける食材をうまく活用していく…実はここ、腕の見せどころなんですけどね!(私にはハードル高いなあと思うこと多い)。食材は選べるわけではなく、提供していただく食材などに合わせた献立、メニューを作る必要があり、常日頃から、調理スタッフのみなさんには脱帽…。私の関わるハーモニーカフェの活動も同様ですが、子どもたちには無料、大人は300円で1食を提供するので、まずは全体予算を頭に置いて、食材を揃えていきます。調味料などもできるだけ安全で安心なものを心がけたり、できるだけ子どもたちの身体づくりや健康面にも配慮しています。そんな中で、生鮮食品が届くことのありがたさを身にしみて感じるものです。

 

今日は、子ども教育常任委員会が企画した「フードバンクTAMA」の勉強会に、委員会以外の議員の参加もOKということでしたので、同席しました。日ごろの活動、活動が抱えている課題、そしてまた、活動から見えてくる地域の実情など伺うことができました。合わせて社会福祉協議会のボランティアセンター職員2名も参加を下さり、地域での支援状況なども含めて、現状についてヒアリングすることができ有意義な時間でもありました。そして、日々、活動を支えてくださることへの感謝の気持ちも一層強くしたというわけです。

 

私が最も印象に残ったのはフードバンクTAMAでほぼ日夜…と言ってよさそうな感じでボランティアをされている奥野さんからの言葉。「自分が(やりたくて)やっていることだから、(自ら)言えないことだけれど、『大変なこと』」と。

想像に難くないですよね。食品の届け先、各家庭の希望日時に合わせながらの配布活動、そのために使用する車両やガソリン代なども現在は全て自己負担(もちろん、やりたくてやっていることであり、負担は覚悟の上で活動している)、食品を配布している各家庭の事情や状況にもっと届けることができたら…という気持ちにもなりつつ、活動の持続可能性との塩梅も大事(なので、団体の体力なども考慮しながら無理せずには進める)という話し等など…聞けば聞くほどに「ちょっとだけお手伝い」という気持ちだけで継続させることの難しさ、相当な気合も気力も求められることを察するものです。実際、「支援をしたい」という気持ちがあっても、食材の引き取りも配布も…すべて相手先の状況や事情を考慮しながらの活動でもあり、ボランティア側の都合で活動することができない点でも、ボランティア確保にも一苦労…実動部隊は数名…との台所事情も伺うことができました。

 

社会的には価値があり、意義のある活動であっても支える人をはじめとして、モノ(食品の確保も意外と大変)、カネ(活動を継続していくための資金)のいずれの面からも決して万全で十分とは言えないけれど、でも、動かずにはいられないと行動されている奥野さん…「高齢者への支援のことも大事だけれど、でもやっぱり、未来の子どもたちのためにもっと支援をしていかないといけない」と力を込めて語っておられました。この強い‛思い’というか、「志」があって、活動が支えられているんですね。フードバンクの活動に限らずですが、一人ひとり市民の志が支えている活動が地域には存在していることも再確認させられます。また、「行政にも限界があるんだから」…ともおっしゃっていたことも次に印象に残ることでした。行政は市民一人ひとりを支えるためにどこまで支援の手を差し伸べることができるのか…そして、フードバンクTAMAのスローガン「食を必要とする一人のために」とどうつなげていけるのか…一緒にヒアリングをした議員たちはそれぞれ考えさせられたのではないかなと思ったりもしました。いずれにせよ、地道な活動。行政の業務で支援をするにせよ、市民活動で支援をするにしても…ただ、「地道」でなければ、フォローできないのが一人ひとりの生きるを支える支援。私もその一端に関わり続けたいと思いながら、日々を過ごしています。その中で感じること、見えてくることとは…仕事として支援を行う行政と、志で行動している市民との違いがあること、「行政の果たすべき責任」は果たされているのか?ということ。議員の立場としては、そこを見極めることが重要ですね。

 

このヒアリングを終えてから、ベルブホールで「時の行路」を観てきました。「実話」に基づく作品。社会が何によって支えられているのかと深く考えさせられるものでした。政治が何を解決しなければならないのかについても同時に考えさせられます。国全体のあるべき姿とか、方向性とか…それを決めていくのは私たち市民一人ひとりなのですが、本当に私たちが望んでいる状態になっているのかということも含めて。ま、とにかく希望を失わずに進むのみ。フードバンクTAMAの活動はもちろんのこと、地域で地道に活動しているみなさんを応援していきたいですね。