会派視察で滋賀県草津市、大阪の吹田市に行ってきました。今回のテーマは「健幸都市」。草津市は多摩市と同じように「健幸まちづくり」を掲げていて、吹田市は「健都のまちづくり」で新たな都市開発に取組んでいるという記事を見たのでぜひ話を聞いてみたいなと思っていました。
草津市は東海道と中山道との結節点として栄えていた宿場町。街並みにもその面影があり、そしてまた現在も交通の結節点という便利な立地。関西圏では住みよさでも上位にランクインしています。大阪や京都へのアクセスも良く、そして琵琶湖もあって環境もいい。駅前もマンションを含む再開発ビルが建設中でした。
「健幸都市」のキックオフが平成28年ということなので、だいたい多摩市とも同じような時期から始まっているのかなあという印象でした。そして、厚生労働省から出向の職員さんもおられるとのことですが、多摩市の「健幸まちづくり政策監」のような立場ではないそうです。多摩市のような立ち位置から、采配してもらえることは政策を進めていくうえでは効果的だと思います…と逆にご意見をいただいたりもして、「そうなのかなー」。
「健幸都市」というのは、何となくトレンドというのか、流行り言葉に過ぎないのかなとか思ったりしますが、いずれにせよ「健幸」の「幸せ」に込められている「幸福度合い」を測定するというのは何とも難しいこと。とはいえ、「健幸づくり」という言葉が接着剤のようになって、縦割り組織に横つながりをつくるのに便利なのかもしれませんね。
草津市の「健幸まちづくり」は、いわゆる地方創生計画でもある「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を踏まえて取組みの方向性が整理されているようです。多摩市にも「健幸まちづくり基本方針」はありますが、草津市のように「健幸都市基本計画」までにはなっていません。多摩市の場合には「虹をかけよう大作戦」がそれに変わるものになっているとも言えるのか?もう一度、多摩市の「健幸まちづくり」のことをおさらいしてみようかと思っています。
それにしても…「とても似ている」。私、今回の視察で最も驚いたのは…「健幸都市くさつ」のシンボルマークが多摩ニュータウン再生プロジェクトのシンボルマークが似すぎてる!ということでしたが。
まあ、それはさておき、草津市でも、多摩市と同様に「健幸まちづくり」を担当している所管は、「健幸まちづくり」の進捗状況の管理が仕事の中心になっていて、実動部隊になりきれないところが辛そうというか難しそうです。個人的には日ごろから、多摩市の「健幸まちづくり推進室」の業務には苦労が多そうだと感じていますし、「健幸まちづくり政策監」という役職にしても、その必要性は問われそうな気がしています。しかし、政策の「柱」として掲げられている限り、職員さんたちは何としてでも汗をかかねばならないというわけですね。草津市の担当所管もなかなかご苦労多そうな印象でした。
やっぱり、「健幸」というのはわかるようでいて、よくわからない造語と感じてしまいます。草津市の職員さんも奮闘されているようですので、ぜひ頑張ってほしいなあと思いました。
そして、吹田市の「健都」について。ホームページにも掲載されている資料を活用しながら、概要について説明をしていただきました。新たな都市開発を手掛けているのに、担当しているのは「健康医療部」ということに興味がありましたが、「開発だけ(ハード)で終わりにしてはいけない。ソフトをどうつくっていくのかという視点が重要」という発想にたっている…との説明になるほど!と思いました。
現在に至るまでの歴史など、とても丁寧に説明をくださったのですが、今日の説明だけでは見えてこないような努力などがあったのだろうなあと察するものです。特に開発エリアは隣接する摂津市ともまたがっているため、ともに同じ方向をめざし、調整を重ねながら取り組むというのは…吹田市と摂津市の都市の規模の違いなどもあり、なかなか難しかったのではないかと思います。吹田市には吹田市にあるリソースがあり、そこを活かして取り組んでいるとおっしゃっていたのが印象的でした。
多摩市の場合にも「健幸都市」を掲げていること、さらには永山にある日医大が移転建替えをする構想を持ち、そのために、東永山小学校の跡地と永山駅前にある都市再生機構所有の土地の交換をしたことや、そこに多摩ニュータウン再生にも取り組んでいこうとしているわけなので、都市の規模が異なる吹田市のように…とはいかないまでも多摩市なりの新しいビジョンを提示しつつ、将来につながるまちづくりにつなげていく必要があると考えます。そのビジョンが「諏訪・永山まちづくり計画」であるならば、今後、計画に基づいてどう具体化していくかの段階ですね。ちなみに、その計画には「駅と医療・子育て・福祉拠点を連携させたコンパクト型エリア再編を契機に、「健幸都市」を創り・発信する
ニュータウンのモデル地区『諏訪・永山エリア』」となっているので、かなり「健都」の発想に近いとも思うのですが。
そんなわけで、草津市と吹田市に足を運び、多摩市の「健幸まちづくり推進室」が「諏訪・永山まちづくり計画」を所管するとしたらどうなるか?なんてことを思わず考えてしまった帰路でした。それもありかもね!と個人的には思います。
実は、吹田市にも厚生労働省から出向されている職員さんがおられるそうです。やはり、「健都」に移転建替する「国立循環器病研究センター病院」との協議など、厚労省からの職員さんの存在は大きいと伺いました。市の職員さんが国の機関の方と話をするというのはかなりハードルが高いことなのですね。そういう視点からも多摩市の「健幸まちづくり政策監(厚労省出身)」がもっと活躍できるようなフィールドもあるのではないのか?と思ったりするのでした。
さて、今日は多摩市に戻り、また明日から大阪に出張するという…。