「職員は疲れ切っているんです」と言う市長のことばをどう受け止める?

 

図書館本館?中央図書館?…新しく建設するという図書館(図書館再整備と言っています)の基本設計について、市民説明会が開催されましたので、足を運んできました。今日を含めて、3回行われる予定です。

まずはこれまでの経過などがサラリ…と説明されたところで、設計会社である佐藤総合設計のプロジェクト担当者のみなさまから具体的というか、基本設計をつくるにあたっての市民参加として実施したワークショップでどんなことに取組み、どんな意見があったのかが紹介され、それを踏まえて、今回の基本計画にどう活かされてきたか説明がありました。

一応、会場からの意見等は聞いてくれるようですが、そもそも「基本設計 市民説明会」となっているように、既に「基本設計‘案’」ではないの?…‘案’が消えている説明会のタイトルが気になり…この説明会の位置づけが途中でわからなくなったのですね。何のための説明会になっているのだろうか…と。

そんなことを思っていたところで、図書館活動で顔見知りの市民の方がズバリ…的確な指摘をしてくださったのですね。「設計だけが図書館じゃない」「建物をつくることが図書館づくりではない」と。そして、設計が進めば進むほどに、内容が高度で専門的な内容になってしまい、市民がどんどん置き去りになってしまうというのか、口を挟む余地がなくなってしまって…というおそらくご自身の感想を吐露されていたのだと思います。置き去りにされれば、当然ながら気持ちまで離れてしまうということですね。

本来、新たな図書館をつくるために議論しておくべきことがスキップされているような気がしてしまうという本音がぶつけられたのでした。そして、「『知の創造』をファッションで語るのも良くない」って言って下さったのですが、目新しい言葉の表現というのはなかなか共有することができないというのか、共通言語にしていくためには一定の時間がかかりますね。

しかし、設計の中ではやたらとレファレンスカウンターと言うのかコーナーがあり、「一体、ここにどれだけのスタッフを配置するつもりなんだろう?」と思っていたら、それについてもズバリしてくださった方がおられましたが、せっかくなので「AI」カウンターとかやってみればいいのに・・・とこれは私個人の意見です。私はそれよりも、素敵な建物であればあるほどに、そのランニングコストなども気になってしまい、合わせて、その後の運営手法についてもとてもとても気がかりです。

「府中や稲城、調布の図書館の人のほうが、多摩よりもすごくちゃんとしている」…市民の方から伺ったご意見の一つかもしれませんが、でも、他の図書館を利用し、多摩市の図書館との違いを肌で感じている人は多いのだと思います。府中や稲城…「直営」ではありません。市民の実感をきちんと受け止めていくことが大切ではないかなと感じております。

今日の説明会参加者からの的確なご指摘には、「人が育っていなければ、どんなにか素晴らしい図書館をつくったとしても対応ができない。サービスの向上は見込めない(どころか低下する恐れも)。」との厳しい内容ながらも、まさに!と思えるものもあり。ここ数年で、多摩市の図書館を支えてきた正職員だった司書さんたちも退職されていき…図書館を支える「人」がどんどん痩せ細っていることは否めない事実。実際には、正職員として図書館で働いている職員の司書資格保有率も低下しているとも聞いています。

とは言え…、この状態は今に始まったことではなく、既に唐木田図書館の業務を民間委託してきた時代からも言われていたことで指摘もされてきたことで、私もずいぶんと行政には耳の痛いようなことを言ってきた気もするのですね。にも関わらず、ますます弱体化している。ここをどう評価するか?が問われるでしょうね。

「図書館大事」という市長。今日もご自身で、「健幸まちづくりのフォーラムで『図書館は全部残します』」と発言したとPRされていましたし、さらには「図書館は直営!」と語気強めておっしゃり、図書館を大切にしたいという思いは理解はするのですが、しかし、その一方で「そうは言っても、図書館に限らず、公共施設をこのまま守っていくのは厳しい。」との本音も吐露されていたりして、「だから、どうするの?」と思うのですね。

まあ、市長はこれまでどおり「市民の皆さんと話をしていく」と考えているようですが。「いつまで話し合っていくのか。いつまでに結論を出していこうとするか。その結論に基づいて実行がされていくのか。」…とか個人的には気になっています。それにしても、次々とハード系の出費が嵩む時期にもなってきており、市内各地域のコミュニティセンター、地区市民ホールや福祉館などの施設をはじめとし、大規模改修を次に次にとやっていかなければならない時期…、さらには庁舎問題はずっと先送りにされてきたまま、解決の糸口も見えているんだか見えていないのかもよくわからない状況であったり…現時点ではもしかして、「一旦立ち止まる必要性もあるのでは?」とも思えるくらいなのです。庁舎の老朽化対応が最優先、最重要事項ではないかと私は考えていますが、それにしてもホントに先行きが見えなさ過ぎて・・・。

そんなことはさておきで、取り組んできたのが図書館だと思っているわけですが、「新しい図書館をつくるなんて夢があることなのに、取り組んでいる職員の皆さんからワクワク感が感じられない」というご意見も出されましたね。

それに対し、「そんなことありません!」とか…言わんばかりに…やたらとムキになって答えた職員さんが痛々しかった。「ワクワクしながら答えますね!」…「職員たちはワクワクしていないことはありません。ただ時間に追われていたりして、余裕がないんです。」と。

「え?今、答えた内容のこと、ちゃんと理解されているのかな?」とか思ってしまいました。追い立てられ、追いまくられ、もしかしたら、追いつめられるかのように業務をこなしているとしたら、それって想像しただけで、私も辛いだろうなって思います。そして、その状況に、「本当はワクワクしているんだから、ちゃんとそのワクワク感を市民にも伝えられるように頑張れ!」と言われたら、ますます辛くなる。

そして、市長はその上に重ねて、「僕も図書館に行くんだけれど、職員は僕のことに気がつかないくらいに忙しい。」…「図書館職員の皆さんは疲れ切っているんですよ」って…「だから、何とかしないといけないと思っている」とのことでしたが。

「ワクワクしていることが伝わってこない。楽しそうではない。」との指摘について、やたらと言いわけ。私にはとても聞き苦しく感じました。私だけかもしれませんが。

先にも書いた通り、図書館と支える人の問題については、これまでずっと課題になっていたことで、今になって初めて浮上した問題ではないのですよ。市長はずっと図書館に人一倍の想いがあることを語っておられたはずですね。今日も「図書館が直営である必要を市民に理解してもらわねばならない。」「多摩市の図書館はTRCとか蔦屋が運営する図書館とは違うんだ。」と強調していたわけでして・・・。だからこそ、その想いをちゃんと形にするために、必要な対策、そのための行動…「なぜ、今までしてこなかったの?」って私は言いたくなりました。

私は市長から「疲れ切っている」と言われてしまった職員さんたちが居た堪れなくなって、帰りがけに「おつかれさまでした」って声をかけて帰ることも忘れ、一目散に会場を後にしたのでした…。帰り道に、「もしかしたら、市長は職員をかばうつもりで『職員は、疲れ切っているんです』っておっしゃったのかなあ」とか思ってみたりしましたけれど、やっぱり私には違和感ありました。

そんなわけで、「あとまだ2回説明会をやりますから、ぜひ、いらしてください!」とか最後にアナウンスがありました。ところで、今日の説明で使用したスライドの一部が配布されていなかったので、「配布してほしい」という要望があり、「次回の説明会では不足していた分の資料をちゃんと準備します」ということでしたが、今日しか説明会に出席できない人もいるはずですね。その人はどうすればいいんでしょうか。「後から聞いてみよう」と思っていたんですけれど、そのことも聞き忘れてしまいました。