放課後子ども教室を必須の取組みにすべきか?

議会では健康福祉常任委員会が開催されました。健康福祉常任委員会は伝統的に?…とても熱心で、夕方遅くまで委員会が開催されていました。私は午前中から、決算特別委員会に向けて準備をしなければと資料を見たり、ヒアリングをしたりなどなど。「これだけは!」と思っていることについては同じ会派の議員に「質問委託」しようと思っていて、これを機に、更に問題認識を共有してもらえるといいなと考えています。

今日は午後から子ども教育常任委員会のメンバーで多摩第一小学校と愛和小学校の放課後子ども教室を見学させていただきました。多摩第一小学校のふれあい広場のやぎさんたちも元気でした。折戸委員長が雑草を差し出したところ、やぎさんは全然見向きもしません・・・・ところが、キャベツやとうもろこしの皮を持参した子どものところにはちゃんとすり寄って、おねだりをするような様子・・・。やぎさんたちもどうやら口がこえているようですね。多摩センターの法面に放たれているやぎさんたちとは違うようです。

 

ということで、今日から多摩第一小学校の放課後子ども教室は1年生が参加できるようになったらしく…昇降口のところにはランドセルがズラリ!ここで受付をして、子どもたちは校庭や各教室で企画されている「遊び」に参加をします。受付はPTAの役員の方々が担当しているそう。開催するのは毎週水曜日を基本とし、学校側との調整で年間15回。担当役員の皆さんが受付のところで子どもたちの出入りを見守っておられました。

遊びのメニューは実に多様!今日は6メニューありました。「吹き矢」はお休みだったそうです。校庭では芝生の広場でドッチビー。一ノ宮児童館長も様子を見にいらしていました。連携するというか、フォローしているというか…一ノ宮児童館にボランティアに来ている大学生もお手伝いしているようですが、今日は夏休み明け初日だったそうで不参加…そのかわりに鶴牧中学校で一ノ宮児童館に職業体験に来ている生徒も参加していました。

囲碁、将棋、そして地域のサロンの方の企画は今日は「手品」でした。サロンの方々(高齢者の皆さん)は年間計画を立てておられ、いろいろなお楽しみを工夫されているそうです。社会福祉協議会の地域福祉推進委員会で関戸地域には「まち育てネットワーク・関戸(まちネット)」があり、その方々が全面的に協力をされています。ボランティアさんについても人数が不足しそうなときには、まちネットの皆さんが呼びかけをし、地域の方にヘルプを依頼するなど、連携が行われているようです。

多摩第一小学校は現在731人の児童。放課後子ども教室にはだいたい毎回150人から200人という参加率。定着している感がありました。学童クラブに通っている子どもたちは、学童クラブに行く前に放課後子ども教室で遊び、その後、学童に登所する感じだとか。もちろん強制ではなく、任意ですから、放課後子ども教室に参加しなくていいかな…と思う子どもは直接学童クラブへ行きます。学校との連携も上手くいっているようで、けがをした場合には保健室なども時に使わせてもらったり、あとは保護者などから職員室に入った連絡なども上手に伝達されている様子でした。

さて、場所を移動して愛和小学校へ。愛和小学校は今年から基本週5日間で放課後子ども教室が開催されています。多摩第一小学校と異なるのは、自由に外遊びをしているという点。月1回くらいの頻度で、エディブルスクールヤードの方々と一緒に活動する日もあるようです。学童クラブに通う子どもたちは、一旦は学童クラブに登所し、出席確認をしてから、放課後子ども教室に合流するようになっているそう。多摩第一小学校とは異なるやり方ですね。

というわけで、放課後子ども教室といっても、それぞれの地域で関わる人たちの意見などを調整しながら、運営されていることがわかります。

愛和小学校の場合には、校庭の南側にある法面を基地のようにして遊ぶ子どもたちの姿が印象的でした。地域のボランティアの方は安全管理員として子どもたちの見守りをしていて、子どもたちの求めに応じて会話をされたりしている様子。多摩第一小学校でいろんな遊びのメニューが企画されているのとはこれまた全く違いました。基本…「自由に遊ばせる」。

愛宕児童館の館長さんはもちろん様子を見にいらしていました。愛和小学校の場合は毎日開催されているので、児童館の職員さんもかわりばんこで子どもたちの様子を見にいらしているそう。今日は放課後子ども教室、明日は児童館…と子どもたちもいろいろ遊ぶ場所を変えながら楽しんでいるようです。愛和小学校の場合は17時まで行われています(第一小学校は15時半までです)。

ちなみに両方とも放課後子ども教室に参加するためには事前に登録をする必要があります。家に帰宅しないで、ランドセルを置いたまま遊ぶことができるわけなので、保護者の了解のもとで参加することが大原則となります。

放課後子ども教室を実施していない小学校は現在3校。今のところの市の計画では平成31年度までに全部の小学校で開設し、できれば週2回以上・・・・というのが目標なんだとか。小学校は場所を提供するだけの話で、運営そのものは「地域等」に任せるのが基本です。第一小学校のようにPTAも関わりを持っている場合もあれば、愛和小学校の場合には校地内にある愛和小学童クラブを受託している法人の方がコーディネーター的な調整役として関わっている場合もあるし、他の地域でもまた別のかたちがありそうです。

いずれにせよ、放課後子ども教室は…多摩市放課後子ども教室事業の実施に関する要綱によれば、その目的は、「放課後等に小学校等を活用して、地域住民、大学生、民間教育事業者、文化・芸術団体等の参画により子どもたちとともに体験活動、交流活動、学習支援等の事業(以下「本事業」という。)を実施することにより、子どもたちが地域社会の中で心豊かで健やかに育まれる環境づくりを推進すること」であって、よく読んでみれば、別に「放課後等」なので放課後でなくても良さそうで、「小学校等」なので別に小学校ではない場所で開催しても良いわけで、青少年問題協議会の地区委員会などで開催しているイベントなどもものすごく広いところからみれば、この活動の一つとも言えそう。放課後子ども教室を実施していない地域に対し、今後フォローして、開設を促していくそうですが、そこまでのエネルギーが必要なのかどうか…「計画通りにやらなければ」…と縛られる必要もないかなと個人的には思います。「計画通りに実行するのが能力の高い職員」となるのかもしれませんが、地域ごとに置かれた環境、育んできた歴史なども異なりますし、そもそも「地域等」に運営を委ねていくわけなので、無理なく進めることのできるカタチを考えることのほうが大事でしょう。その中で、地域ごとに「放課後子ども教室の必要性」を確認することも大事ですね。今、地域にある資源をどう活用できるかも考えたいものです。地域への出張児童館などもいい取組みだと個人的には思います。

というわけで、 「放課後子ども教室を全ての小学校で実施する」ことが至上命題になっているとはいえ、それに縛られ過ぎず、少し肩の力を抜いてみてはと思ったりします。私も放課後子ども教室を実施していく方向がいいかなと考えてきた時期もありますが、そもそも多摩市の場合には「放課後子ども教室」が学童クラブを補完する機能として位置付けられ、発展してきたわけではなく、「地域交流」の意味合いが強く、なかなか軌道修正をするにも難しい気がします。そしてまた、学校施設を開放してもらい放課後子ども教室を実施する…ここに対するハードルも高そうですし。

 

ですので、「放課後子ども教室を必須の取組みにすべきか?」について言えば、「必須」にしなくてもいいのではないか?というのが私の今の考えです。このあたりは、今、未実施の地域に対するプレッシャーをかけるよりは、「子どもたちの遊びの環境」…多摩市全体の子どもたちの放課後(を含めた、子どもの育ち(主体性、自主性)をサポートするための地域づくり)のありかたやそのための環境整備を考えていきたいものです。主体性とか自主性とかを育むためのプログラム等など…ここはやはりプロ指導員としての児童館職員の役割が期待されます。

 

今回、子ども教育常任委員会で「子どもたちの放課後」を考えるにあたっては…国に動向も気になります。そもそも、子ども子育て支援制度になった際、地域の子ども・子育て支援事業の中に「児童館」が位置づけられなかったことは多摩市の児童館行政にとっても大きな転機となっています。「児童館が何をなすべきか?」について、国の方向に合致させていく必要があったからです。で、次々と、児童館にも常設型の「広場」を設置してきたのが経緯です。でも、やはりそれだけではない・・・と国の方も気が付いたというか・・・・目が向いてきたというか・・・・社会保障審議会では遊びのプログラム等に関する専門委員会での検討も本格化しています。ワーキングチームには古くからの知り合いがメンバー入りしているので心強い!情報を少しずつ分けてもらおうと思います。

ということで、子ども教育常任委員会で決算審査で議論するテーマは「子どもたちの放課後」…その議論の行方はいかに?!明日の議会日程は生活環境常任委員会です。