市民と意見交換@パルテノン多摩大規模改修

パルテノン多摩の大規模改修に対し、市議会として市民との意見交換会を実施。台風の警戒予報も発せられている中で市民の方がいらしてくれるだろう?…と思っていたところ、80人を超える皆さんが足を運んでくださいました。もともとパルテノン多摩問題を議論している特別委員会を中心に実施されたものですが、特別委員会以外のメンバーにも協力を呼びかけ、ほぼほぼ市議会全体で開催したも同然の20名の議員が参加。行政が提案している原案と私たち市議会で検討している4つの案を説明し、その後、8つのテーブルに分かれた意見交換をしました。

私たち市議会では「パルテノン多摩の大規模改修」のみならず、「旧西落合中学校にある図書館本館暫定施設の再整備」についても話題にしています。もう一つ、今後、大きな懸案事項として解決しなければならないのが市庁舎建替え問題ですが、議会としては「市庁舎問題は今回の議論に入れることは難しい」と判断しているため、そのことをお伝えしながらの意見交換となりました。ですので、参加された方の中には「市庁舎建替え問題」のことにご意見をお持ちの方もおられたようですが、そこはうまく受け止められる体制ではなかったので少し物足りなかったかもしれません。

とは言え、「図書館本館暫定施設をどうするか?」についても、①パルテノン多摩の活用しきれていないスペースを活用して図書館にする②パルテノン多摩により近く、駅にもより近い場所で図書館を実現するために現在の西駐車場を活用する(今の建物をそのまま活用するあるいは壊してスペースとして再活用する)③現在のパルテノン多摩を建替えて、身の丈に合ったホールと図書館を新設する案を提示したため、それについても一定、意向を伺うことが出来たのではないかと思います。ちなみに、市議会で検討している代替案としてはもう一つ④行政の示している案よりももっと費用を削減し、セミ改修にする…があり、全部で4つの案です。

もちろんさまざまな意見があり、かなり盛り上がりました。テーブルによっては市民どうしで意見交換をするような場面もあったようです。私は今日は記録係で参加しておりましたが、やはりパルテノン多摩を積極的に利用するしないで大規模改修に対する思いが異なっていること、図書館問題に関心のある方は市がこれまで取り組んできた「図書館基本構想」をそのまま進めてほしいということ、市が示している80億円というのは高額すぎるのでもっとシンプルに改修すればいいと主張されるけれど、「何がシンプルであるか」の具体的内容を市民の皆さんに回答を求めてはいけないということ、本来はもっとホールの運営の仕方活用の仕方が議論されたうえで大規模改修の内容を決めなければならないのに、改修ありきになっている議論の進め方に疑問をお持ちの方もいるということ、そもそも市はどんなビジョンを持っているのかが見えてこないのは問題であるということ…パルテノン多摩を利用していない市民のことも考えていかねばならないこと…メモを取りながら受け止めておりました。

 

利用者にとってみれば早く安全な施設に衣替えさせることも求められ、なおかつ利用できない期間をなるべく短くしてほしいという要望が出されるのは当然のこと。そしてまた、図書館についても拡充してほしい、中央図書館を建設してほしいと願う市民の皆さんにはパルテノン多摩の施設活用や西駐車場側を活用する案では必要なスペースが確保できないと懸念を述べられるのも決してわからないではないこと。その上で、パルテノン多摩はパルテノン多摩で今まで通り進めることが計画をやり直す必要もなくて最短で進めることができ、図書館本館も市の提案している通りで問題ないとする考え方は当然に導き出されるとも思いました。

 

私のテーブルでは今後の人口減少や高齢化問題についても言及し、将来にわたる負担の問題を具体的に指摘し、話題にする方はおられませんでしたが、他のテーブルでは「負債を払うのは将来世代」という立場から意見を述べていた方もいらしたようです。パルテノン多摩と図書館とそしてまた公園と…全体のやり直しだけで120億円?150億円?とも言われるプロジェクトになっていることもまた市民に伝えながら、どう考えるかを問うていくことが必要だと感じます。まだまだ、そこまでに認識を共通化したところで議論が進んだとは言えないのが今回第1回目の意見交換会でした。

 

でも、市民に意見を聴くというのは、それぞれの皆さんの日常から生活、暮らしの中から感じたことを自由に述べてもらうことなんだなとも感じました。それを踏まえ、議会は…市の財政問題や今後にどういうまちづくりをするのか等の視点も追加し、大所高所から検討して最終的な「判断」をしていく場所であることも確認した気がします。市長にもどうするかの判断が問われているとすれば、議会にも問われており、議員ここにも問われている。全部全部の意見を伺うことはできないでしょう。パルテノン多摩や図書館だけの問題でなく、私たちが考えていかなければならないのは老朽化していく他の施設のこともある…実際にはスポーツ施設などの老朽化も今後さらに懸案事項とし、公園改修問題とともに考えていかねばならないでしょう。視点や視野、視座を広くし、検討し、その検討経過と結果を市民に説明することが求められるのだと感じています。そして、パルテノン多摩の大規模改修については「都市計画税で改修ができ、福祉や教育には影響が及ばない財源」と理解されている方もおられるようですが、日常にかかる運営費は福祉や教育にも十分に影響を及ぼす限られた財源から捻出することにもなるんです…ということも正しく伝えていかねばとも思います。もっと大事なことは、今、改修できたとしても30年後は?どうなるの?…さらに建物そのものも老朽化してその後をどう考えておくの?ということも。
今回、大規模改修をしたら少なくとも30年間使い続けるという。では、30年後はどうするの?…「それはまた、その時に担う人たちが決めればいい」…ホントにそれでいいのかな?とも。これからの社会はもっともっと厳しくなっていく。深刻な火葬場不足とか霊園不足とか…そんな将来もやってくる…「未来への年表」を手に取っては年表を見返す日々(参考記事)。「少子高齢化も人口減少も、言葉としては誰もが知っている“常識”である。それがゆえに落とし穴もある。分かった気持ちになって、その実態を正しく理解している人は意外と少ない」とする著書の指摘を真摯に受け止めたい。年表に寄れば、貧しい高齢者が増えるのが「2042年」…生きていれば私は65歳で、あと25年後のこと。