パルテノン多摩は市民にとって「必要」となれる?

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可児市の文化創造センターアーラ館長の衛紀生さんをお招きした学習会を開催しました。5月に会派で可児市を訪問した際に、「せっかくなのでパルテノン多摩にもいらしていただいて、お話し聞けるといいね。」と話しをしておりました。可児市に行ったとき、「税金を使って運営するホールはどうあるべきなのか?」を深く考えさせられたからです。私たちの会派で学んできたこと、得てきたことをもう少し広げて、みんなとシェアしたい!・・・そのためには、伝言ゲームではきっとダメだろうなあ・・・直接、衛館長のお話を聞ける場があったらなあ・・・と考えてきました。

ですので、衛館長が東京にいらっしゃるタイミングで、日程を調整させていただき、はるばるお越しいただきました。「あったらなあ」と思っているだけでは実現しないので、ずうずうしくも連絡してしまいました。可児市に伺った際、お礼の連絡をした時に「何かお役にたてることでもあれば、お声かけてください」とお返事をいただいていたので、そのお言葉に甘えまして。

今日は、衛館長はパルテノン多摩にも「昔、きたことがある」とお話しされていましたが、学習会開始時刻より1時間以上も前にいらしてくださり、パルテノン多摩の館内や多摩中央公園も見学してくださいました。

私は可児市のアーラに行こうと思ったくらいから、ずっと衛館長のエッセイなどを気に入って読んでおります。とても勉強になるからです。最近のエッセイに「常識に縛られている劇場経営」とあったのが、とても印象的だったのですが、今日もまず「常識からテイクオフしなければ」という話から入ったのはとても印象的でした。過去の蓄積や経験から作られる「常識」で物事を考えていては、これから必要とされる劇場の経営はやっていけないだろう・・・という話です。というか、従来通り、古臭い運営しかできていないのであれば、「税金でやる必要がない」ということです。本来果たすべき、’公共’ホールの役割、民間のホールと求められる役割が質的にも異なることを指摘して下さり、「暮らしに余裕のある所得のある人たちだけのためのホールなら税金でやらなくてもよろしい。」ときっぱりと断言されていました。

まさに根本的なところ。なぜ税金でホールの運営をするのか、もう少し格調高く言えば、「私たちは文化施策で何をめざすのか」という奥深い哲学的なところにまで深めるお話しには共感できるところが多々あったのではないか?と思いました。政策論争をしている余裕はなかったのですが、「なぜ、文化施策が世の中に必要であるのか?」にも問いかけをいただいたわけです。

これは大きな宿題。「文化施策が見えにくい」・・・と私もかねてから指摘している通り、行政のみならず、議会でも改めて「文化施策」を討議しなければならないと感じています。そこにどれだけの税金を投ずるかも含めて。

 

そして、大規模改修工事へのヒントとしては・・・・「もっとパブリックなスペースが必要」・・・・パルテノン多摩にはみなが集まれる場所が少なすぎるとするご指摘。すでにこのあたりは、今回の大規模改修工事の基本計画、基本設計の事業者提案の中でも同じような問題意識からの改善が示され、特に4階の使い勝手を向上させていく方向が示されています。衛館長は4階の廊下について・・・・「まるで、刑務所のよう」とおっしゃっていましたが、思わず笑えないけれど、笑ってしまいました。似たようなことで、パルテノン多摩の4階にあるお手洗いについて「檻みたい」と言っていた子どもがいたことを思い出したからです。「暗くて怖いトイレだから行けない」と言っていた子どもの顔が思い浮かんだのでした。

 

ということで、衛館長のお話し・・・劇場経営についてはアーラでの実践も含めて、もっと様々なことにも取り組まれているので、話題を振れば、さらに多くのことがうかがえたと思いますが、ぜひ、お時間あるときに「館長の部屋」へ。特に一番最初に読んでいただくとして、私のおススメはこちら・・・「最悪の職場環境から創造的な現場へ、その改革の作法」です。パルテノン多摩を思い浮かべながら、ついつい読んでしまったものです。パルテノン多摩の場合は不幸にも、そもそも、財団の職員さんが仕事をしている事務室が1階と言うか地下にあり・・・ますます「パルテノン多摩の顔が見えない」になっているところがありますが、「創造的な仕事ができる職場になっているかどうか?」って公共ホール(のみならずですが)は必要不可欠な要素ですね。この間、パルテノン多摩の職員さんと会話をしていて・・・「職場に入ると外の天気もわからないんですよね。」とおっしゃっていて・・・光も感じない、風も感じない、雨音も感じない・・・そんな不健康な職場!!!って思ったのは事実でした。五感を研ぎ澄ませながら、仕事をしていく・・・私はこれがとても大切だと思っているので。そういう意味では、パルテノン多摩の事務室の場所も変えることが出来たらいいのに・・・・って大規模改修ではそこまでお金を出せる余裕はないよな・・・。

 

いずれにせよ、今日は他の会派の議員さんだけでなく、市の担当職員さん、財団の職員さん、財団の舞台を長年守って下さっている事業者の社員さん、あと議会事務局からも職員さんの参加もあり、総勢で40名ほどのメンバーで衛館長のお話を聴くことができ、私としては「せっかくいらしていただくのだから」という気持ちで参加を呼び掛けていたので、その意味からホッとしております。ちなみに副市長も来てくれました!・・・って財団の評議会のメンバーですから♪そして、財団の浪久理事長も。ありがたかったです。

 

時代環境が大きく変わっているのだから、それに合わせて「公共ホール」の運営、劇場経営をもっともっと変えていかないと。「変化こそ大切」・・・・その意味をそれぞれの立場で受け止めながら、「パルテノン多摩」の未来を考えていきたいものです。パルテノン多摩は文化の殿堂で多摩センターエリアの飾り物的存在にしておくのではもったいない!です♪

 

行政の縦割りを「文化」で打ち破れ!・・・これが個人的な私のスローガン♪もし、パルテノン多摩を残すとしたら、そのくらいの気合で運営していかねば存続させる価値なし!・・・都くらいに思ってます。

※今月の私の議会報告を配布しております。「パルテノン多摩」についてコッテリ書いております。近日中にアップします!