ネットワークの「力」。

20161005 20161005_1 20161005_2

岡山市で開催される全国都市問題会議に参加するために前日に宿泊が必要になるため、せっかくなのでまずは広島へ。平和記念公園、原爆ドームから、平和記念資料館の見学をしてまいりました。しかし、季節がら・・・修学旅行生で超満員・・・・ゆっくり展示を見るというよりは、修学旅行生たちに紛れ、若者臭に負けそうになりながら、初めて訪れる広島、平和を願う気持ちを確認してきました。また、もう一度・・・娘と足を運び、ゆっくりとガイドを聞きながら見学したい場所。阿部市長になって、子どもたちと一緒に広島や長崎を訪問し、「平和を考える」ための企画が実施されています(目的は次世代への平和継承「子ども被爆地派遣事業」)が、例え数名の子どもたちであっても、ここに足を運ぶことはますます意味が増すような気がします。・・・展示を見終えた後に誰でも気軽に書くことのできる感想ノートが置いてありましたが、現代っ子風の文字で「平和を守りたい」とか「戦争をしてはいけない」と書いてあり、「そうだよね・・・」って頷けました。海外からの訪問も多いですね。関東に住んでいると、中学校の修学旅行などを考えても、旅費やら距離との兼ね合いもあり・・・広島まではなかなか行くことができないですね。修学旅行の子どもたちの中には北海道から来たのかな?というグループもいましたが。

ただいま、平和記念資料館は3年ほどかけたリニューアル工事にさしかかっており、展示スペース自体は縮小されていますが、オバマ大統領が見学されたという記録を見ると「ちょっとは時代も変わっているのにな」と思ったり、これは政治的なパフォーマンスなのかなとか思ったり・・・いろんな思いは錯綜。

さて、その後、宿泊地の岡山に戻るまでの時間は「アステールプラザ」に訪問し、これまた有意義に活用しました。「広島にせっかく行くなら、ホールも見てきたら?」という市民の方からの提案をいただいて、「そりゃそうだ!」と思い、直前に連絡をしたところ・・・快くヒアリングを受け入れていただけました。

20161005_6  20161005_4 20161005_3

天井にはシャンデリアとバブル時代をにおわす施設。でも、政令都市広島市にある施設と言えば施設です。公益財団法人広島市文化財団が運営しています。ちなみにこちらの財団は、もともといくつかの財団が統合した経過を持っていて、巨大な組織!・・・財団の中に「縦割り」があるような感じです。とは言え、「全市の拠点」であるアステールプラザのホールと各区にそれぞれ配置されている文化センター(全部で8館)を担当している部署を担っている職員さは約20名で半数が嘱託職員さんで、市からの派遣職員は0という話でした。副館長さんからお話を伺うことが出来たのですが、財団で仕事をされてきた方だけあり、非常に見識が深い!「なぜ、財団で運営することが必要であるか?」という視点、あるいは市の文化施策とホールの運営に対する意見など密度濃く話を伺うことが出来ました。

「例え、ホールがボロであっても『志』があったらすばらしいものになる」

ちらりと述べられたご意見は聞き逃すことのできない一言ですね。こちらの施設は隣接して、市が買い取った「厚生年金会館2000席客席」、近隣には県が買い取った「メルパルクホール1600客席」」もあるという条件下で運営しています。1200席しかないホールは「採算で考えると、なかなか使い勝手では難しい」という現状も抱えながら、しかし、「文化創造センター」であり、「市民と一緒に創る」ことにこだわり、「ホールでものづくりをする」ことに取り組んできたと言います。オペラ、演劇、ダンス、バレエ・・・4つの分野に取り組んでいるそうです。

「まちに住む芸術家を育てていくことがまちの文化度向上にもつながっていく」

市民芸術家さんを育てることに力を注がれているようですね。ミッションがしっかり掲げられている気がしました。それぞれの地域、それぞれの施設でそれぞれにミッションを掲げ、組織全体で共有されていることが「強さ」にもつながっていくと考えていますが、「創客だけではない」とする視点を持った事業展開で、「文化の予算は厳しいけれど、一人でも多くの市民の方にご理解いただけるように」と奮闘されているようです。

 

「やっぱりネットワークですよ」

 

いろんな事業を行う時、ネットワークに支えられていると言います。オーケストラ等練習場ではミニコンサートも行うそうですが、一流の演奏家が来ることもあるとか。「ネットワークの力です」と。財団に蓄積された長年のネットワーク、人のつながりでホールの事業展開を豊かにしていけるのですね・・・・パルテノン多摩の場合はどうでしょう?約30年の財団の歴史で蓄積されている人のネットワークはどのくらい?そして、それはどう活かされているのでしょう?

 

疑問。

 

「あれも、これも・・・」・・・ついついパルテノン多摩と比較してしまいがちですが、でも、もしかすると「隣の芝生青い」ということも往々にしてあるので、もう一度、パルテノン多摩の運営、財団の経営状況をヒアリングしてみたいと思います。

 

アステールプラザは複合施設で図書館があるのですが、「寄り館しよう!」というキャッチがこれまた妙にツボにはまりました(ちょうど休館日で図書館は見れなかったのが残念。写真では「中区図書館・・・寄り館しよう!」って看板)

20161005_5 

文化ホールの運営、お金も厳しい、そしてまた財団の人的資源という意味でも・・・厳しい現状。「でも、アイデアがある」・・・市民ギャラリーを使用し、夏休みにはお化け屋敷、水族館の企画で「子どもたちとアステールプラザ」をまずはつなぐような試みがあったり、努力はさまざまされているよう。パルテノン多摩についてもその使い勝手、事業展開・・・もっとアイデアがありそうですね。これはきっとあらゆる事業についても言えることでしょう。「知恵はある!アイデアを出そう!ネットワークを活かそう!」がホント大事だなと思います。

20161005_7

そして、場所は岡山は全国都市問題会議へ・・・・とはいっても、こちら私が参加できたのは午前中のみ。なぜなら、夕方から「パルテノン多摩」の基本計画策定委員会が開催されたので傍聴するために戻りました。既に参加を手配していたので、キャンセルできるところはキャンセル。パルテノン多摩の今後の行方をきちんと見届けておかないと後から後悔しそうなので。

本当は3年前に伺った瀬戸内市民図書館の見学もしたかったのですが。あとは、会派のメンバーに託して。瀬戸内市民図書館は武久市長さん自ら「図書館運営は『公立』しかありえない」とするポリシーのもとで開館した図書館(参考;出版ニュース)。嶋田館長は図書館をつくるために滋賀県からわざわざ移住された人材!いずれまた、実際に開館してからのこともお話伺いに行くつもりです。多摩市でも図書館基本構想策定が着々と動いています。なかなかこちらは日程が合わず、傍聴が出来ていないのですが、こちらの動向も注視していかなきゃですね。

 

あっ、パルテノン多摩の基本計画策定委員会傍聴の感想ですが、10月から人事異動があり、技術職の課長、係長が新たに担当者に加わっています。ですので、工事内容の説明などは専門的視点で「わかる説明」が行われるようになったのはよかったこと。とは言え、策定委員会の議論はどこに向いていくのかやや不安。短いスケジュールで無理やり議論するからこうなってしまうのでは?・・・・と思えてなりません。「市民は置き去りになっていないか?」・・・・・絶えず、ここを問うていかねばならないですね。再認識。