「ELSI」について。

共産党のみなさんが呼びかけて下った勉強会に参加。八王子市の生活保護担当の職員の対応に対し、意見書を提出された弁護士さんからのお話しを伺いました。この件については昨年末の報道(生活保護担当の市職員が男性に「知能足りない」…市長「あってはならない言動」)にもあったので、何となく記憶に残っていました。

今日の勉強会では、電話でのやり取りが記録されていた音声を伺ったのですが「何とも言えない」という気持ちになりました。もちろん対応の悪さについては言い逃れができないと思いますし、「あってはならない」ことだと思います。ただ、その一方で、生活保護を担当する職員さんたちの現場のことを思うとき(生活保護の部署だけではないとも言えますが)、本当に楽ではないこともまた事実。なぜ、そのような「あってはならない」対応になってしまったのか…対応の悪さを一職員の責任にしてしまっては問題解決にはつながっていかない…今日の勉強会には生活保護課からも課長や職員さんも参加されていたのですが、私たち議員側とも同様の認識であることが確認できたように思います。職場風土は大事ですし、職員同士でフォローしあえる関係を日常的にも作っておくことが必要不可欠であって、特に生活保護の業務は対応に難しさがある場合には一人で抱えすぎないことが大事ですね。実は「一人で抱えすぎなくてもよい」環境づくりをしていくことがポイントであって、「そんなことくらい自分で何とかやりなさいよ」とか「そんなこともできないの」…と周りに相談しづらい雰囲気があるとすれば最悪ですね。多摩市の場合には、今はわりと風通し良いというのか、職場の風土や雰囲気としては悪くはないようでしたが、それを維持していくためにもケースワーカーさん一人当たりの業務量を増やしすぎないことが重要だと感じています。

八王子市だけではなく、他市などの生活保護相談窓口の在り方が問題視されることが多々ありますし、もちろん職員対応の悪さ、市民に罵声を浴びせたり、人権を踏みにじったりすること等などは許されないわけですが、時に職員が市民から理不尽にも罵声を浴びせられたりすることもある。後者についてはあまり…というのか、ほとんど語られることがありませんが、そこは議員も同様で、「なぜ、そんな風に言われなければならないんだろう」と怒鳴られ、ただただ頭を下げるしかない…という経験…私にも少しはあります。「お前は、税金で食ってんだろ。」と言われることがあり、ご尤もだと思いますが、だからと言って、「そこまで…」というような汚い言葉を投げつけられると悲しくなりますし、心折れますからね…やっぱり。

さて、今日は「ELSI」…私も初めて勉強することでしたが、「「学習データ利活用EdTech(エドテック)のELSI(倫理的・法的・社会的課題)」についてオンラインセミナーで受講。主催は大阪大学ELSIセンターです。いまや問題解決の視点も多角的、複合的な視点からアプローチしていくことが求められる時代。しかし、「ELSI」というのは哲学的というか、倫理観がものすごく問われるため、自分自身の価値観、生き方、考え方にまで及び内容になっていて、すごく難しい。教育分野にもテクノロジーが持ち込まれ、GIGAスクール構想がギュンと前進してしまったこと、そして、これからも避けて通れないからこそ議論をしておかねばならない課題がいくつもあるんだということを理解。

例えば、学習記録などのデータは誰に帰属するのか?…という観点とか。あるいは、一人一台のコンピューターで学習活動も個別最適化されると言われているけれど、本質的なところではどうなのか?…とか。

少なくとも教師の役割、果たすべき責任という観点では今までどおりというわけにはいかないことは確か。そしてまた、「点数化」についていえば、「教師の評価や成果」が子どもたちの学習成果と結果によって点数化されていくとすると…そのことへの是非などなど。また、単に、学校などの後方に顔出しはNGで個人のプライバシーを守るなんて問題にとどまらない個人情報保護の問題などもあります。その意味で、先を見た議論をしなければならないというのはその通りで、「事」が発生したらリカバリーするための対応をするではなく、それこそ想像力を発揮させながら、先への想定とそれに必要な対策と対応を考えておかねばならない…ということでしょうね。いろいろあります。本当に。すごく奥深くて、意外と、私好みかもしれません「ELSI」。

久々に、ティラミス…。身体にやさしい原材料を使っているお店なので安心して食べることができます。ありがとうございます。今日から2月ですね。今年は明後日が「立春」だそうですが、春が待ち遠しい…。