日医大多摩永山病院の移転建替えの行方。

あまり美しく撮影できていませんが、見事な蝋梅。近所の方に案内をしていただき、足を運んできました。同じ種類の木であっても、それぞれにやっぱり個性があって、花の咲き具合、色合いが異なります。きっと土の状態や日の当たり方なども影響してくるのだともいますが、黄金色の蝋梅でした。

週明け…カレンダーが変わって2月になりました。何かやっているはずなのに、何もやらないまま時間だけが過ぎているような気がしてならない感覚があります。緊急事態宣言も延長をすることになりましたし、自粛モードの暮らし方が日常になる中、ある意味、「これで、いいんだな」って思えることも見えてくるのかもしれませんね。「そもそも何を大切にすべきなのか」を見直すきっかけになっているとも言えます。

さて、何度か言及してきた「日医大多摩永山病院の移転建替え」の件。今日も議会では行政側との情報共有のための「勉強会」が開催されました。私たちの会派の折戸代表は「勉強会」というかたちで情報を共有していくのではなく、議会としてもう少しきちんとした位置づけの会(例えば「代表者会議」とか、「特別委員会」を設置するなど)にして、こうした場を開くことのほうが良いのではないか?と意見を述べましたが、議長は「まだ、今後もいろいろと動きがあり、しばらくはこうしたかたちでやっていきたい。」という話しをされていました。実は、この「勉強会」そのものについて、議長や副議長は「できれば全員参加で」と願って開催をしているようですが、特にそうした呼びかけがなされているわけでもなく、「よろしかったらお集まりください」という格好で、あくまでも参加は任意。傍から見れば、やっぱり「よくわからない位置づけの会」になっているのが事実。そこで多摩市政にとっての重要事項について情報提供されているのは望ましい形とはいえないと感じます。

よく「まだ、生煮えの状況なので」と議会側にまだ市民には公開できないけれど…と行政側から議会側に情報が伝達されることもありますし、あるいは、議案説明などは原則、全議員出席というかたちで招集され、市長からの説明が行われるものです。「全員に参加してほしい」と考えている議長や副議長の意図が伝わらないような議会事務局長からの呼びかけに、受け取る側も戸惑ってしまう…ということです。それも「超重要事項」と思われる話題なので、呼びかけられた側が「任意で判断すればいい」というものではなさそう。そこは、かなり「忖度」が働いているとも言えますが…議員側もできる限り、都合をつけて出席をしているような状態で、実施的には全議員説明会のような形が担保できていることはある意味望ましいとも言えます。ただ、「だから、それで良い」となるものではありません。


↑ 多摩市が日医大多摩永山病院のためにURと土地交換をする場所
(永山駅前にあるURの局所跡地)

本題です。日医大多摩永山病院の移転建替えについては、これまでの経過として市の公式ホームページにも掲載されています。多摩市は日医大多摩永山病院の建替えに協力をする格好で、土地交換を行ったところまで事実経過が報告されています。来年度末には土地をそっくり交換することとなり、そのために現在、旧東永山小学校内で活動している市民活動の継続を担保するため、北貝取小学校跡地に「市民活動」の新たな場を設置すべく既に改修工事が進んでいます(私たちの会派は現段階では急いで工事をすべきではないと反対しましたが)。

北貝取小学校に新たな施設を設置することについても、土地交換の件があり、大きく動いたとも言え、それ以前は、「財政的には厳しく、目途がたてられない」ような状況であったものが好転したというわけです。

それはさておき、日医大多摩永山病院も現在、コロナ対応も進めており、かなり経営状態も従来どおりとはいかずに厳しくなっているようですが、いよいよ施設の老朽化、建て替えの必要性、それも急がねばならない…ということもあり、昨年末に市長に対する「要望書」(要望書というか、支援についての依頼という恰好)が提出されています。そこに記載されている要望と要請事項…依頼事項について、すんなりと「わかりました」と受け止めきれるような内容ではなく、財政支援に対する日医大側からの要請に対しても、公平性や公正性の観点からしっかりと検討をしなければ判断できないようなものでした。

これ、公式な文書として市も受けとりをしています(収受のハンコあります)が、ホームページにはまだ掲載されていません。私は市の所有する「土地」「建物」などなどは「市民共有の大切な財産」でもあり、それに関わる重大事項なので、現在の進捗教協と合わせ、途中経過としてきちんと市民にも示すことが大事ではないかと思っていますが、まだ情報が公表されていないことに「市民との情報共有が重要」と掲げている多摩市政の運営の仕方とは若干違和感があると感じています。

そういえば、図書館本館の再整備の時にも、旧西落合中学校の土地と桜美林大学が所有している「アカデミーヒルズ」の土地の一部の交換の話があり、市は桜美林大学と「覚書」というのか土地交換のための「確認書」なるものを締結していましたが、そちらについてもいまや、どのようになっているのか、それすら報告がなされないままになっていますね。

話を戻しますと、日医大多摩永山病院が移転建て替えをするということで、「多摩市での移転建て替えを確約してもらうための覚書」を今年度末…と言えば来月末まで…に締結するくらいの勢い、市長も非常に前のめりになり、「議会のみなさんにもご理解をいただきたい」と述べ、健幸まちづくり政策監からも前回の議会での勉強会の際には「日医大は多摩市に対してとても貢献している」というストーリーで各種データなどが示され説明があり、議会側も…正直、昨年末に突然言われ、まだそんなに十分な議論もしていないにもかかわらず、「今年度内に覚書を締結するの」という状態だったと言えます。多摩市としては「あの土地に建て替えをしてもらう」確約を取り付けたいということかと思います。

しかし、議会側も「だからといって、急ぐわけにはいかない」というのは、病院側からの要望や要請書の内容にはかなり市からの財政出動を伴うものも多く、慎重な調査や議論が必要であるからです。もちろん最重要なのは、多摩市全体の医療体制の確保という観点ですが、市の財政状況そのものも今後の行方を考える必要があり、人口減少社会に向かっていくことを前提にもしていく必要があります。継続的な財政支出が担保できるのかという視点も必要不可欠でしょう。とにかく考えるべきことが膨大にあるのに、「今年度末まで」と議論が打ち切られることには「あり得ない」というのが私の気持ちでもありました。しかし、市長自身は焦り感さえあったのか、病院側からの望む支援に応えられなければ「他市へ移転する可能性も視野に入れているようだ」ことにも言及されていました。実際に、病院側からもそのような話もあったのだと思います。とはいえ、「他市へ移転する可能性」については、「それは病院側が多摩市へ交渉するときの口上ではないのか」という趣旨の発言が議会内でもあり、慎重に判断していかねばならないという議会側の緊張感が高まっていたように思います。とにかく市長自身が病院側の院長というよりも、学校法人日本医科大学の理事長と直接面談をされた感触からの?…焦り感は半端ない感じでしたね。また、病院側もかなり勇んでいたのかなと思うのは、日医大多摩永山病院の院長自らが「市議会にも足を運び説明をしたい」という予定まで確保されているということでした(ちなみに、それは再来週に予定されています)。

確かに、総合病院というのは医療体制確保の観点でも、各自治体、地域でもかなり取り合いというか、引き合いも行われているようですね。病院の建替えにはものすごくお金がかかることもあり、自治体が無償で土地を準備して招致をしたり、建替え費用を援助するなどの好条件をつけるなど…事例はあるようです。医療関係者の方からも情報を得ています。…で、ここまでが昨日までの段階。


↑ 多摩市が日医大多摩永山病院のためにURと土地交換をする場所
(永山駅前にあるURの局所跡地)

ところが、今日の新たな説明では、「先週末、病院側から連絡がありました」とのこと。要するに、新型コロナウイルス禍の中で、病院も「建替え」について進められる状況ではなくなっており、状況が変わってきたというのです。改めて建て替えのスケジュールについても(既に示されていたものがある)、見直していく必要性が出てきた…ようなのです。病院側の事情については直接交渉しているわけではなく、想像でしか語れないのですが、市長の言葉を借りれば「それどころではない」ということのようです。昨年末(11月30日に日医大からの要請文書あり)からの状況がこの間で、ものすごく急激に変わってきたのですね。新型コロナウイルス感染症の影響というのか、年末年始のこの状況に病院側がどれほどの苦労、大変な思いをされているかを察するばかりです。

いずれにせよ、病院側からも事務方からの一報が入ったという段階で、今日の勉強会での情報共有でしたので、正式なやりとりが今後行われるということですが、この3月末までに「覚書」を締結するという話しは来年度中に…という表現に書き改められ、少し先送りされた格好となりました。健幸まちづくり政策監は「日医大多摩永山病院の果たす役割なども含めて、改めて情報を整理していきたい」という姿勢を示されましたが、そういえば、健幸まちづくり政策監も3月末までの任期であり、それ以降はポストそのものが廃止になる予定。

個人的にはあまりにも性急すぎる病院建て替えに関する市側からの投げかけに、頭の中身が付いていけずにおたおたしておりました。とりあえず、「何か質問事項があれば、会派ごとに出すように」という話しもありましたので、それには応じておりました。病院を支援する場合の財政のシミュレーションなども含め、いろいろ市民に説明をする立場として必要な情報を得たいと思っていたので。今日の勉強会では他の会派からも出された質問事項なども一覧が配布されましたが、その質問事項一つ一つクリアするためにはやっぱり3月末までだと時間が足りなかったと思うので、病院側から「建替えについてはスケジュールを見直す必要がある」とする一報が入ったことで、少々胸をなでおろしています(きっと、私だけではないはず)。

 
↑ 多摩市が日医大多摩永山病院のためにURと土地交換をする場所
(永山駅前にあるURの局所跡地)

とりあえず、当該土地は急斜面地(レッドゾーン指定)があり、このままでは病院の建築に許可が下りないことから、土留め工事などを施さなければならないということのよう。これに関しても、「もともと急斜面地であったことは明らかであり、それをわかったうえで、土地交換の申し出が行われていたはず」という意見もありますね。そしてまた、急斜面地に対する土留め工事なども施すとして、同じような斜面地は「ここだけではない」という事実もあり、それをも含めた、対応も考えていく必要がありますし。もちろん、法律が改正されて、「レッドゾーン」になってしまった…というのもあるのかもしれませんが、それは十分に土地を交換する段階でも見込めていたことでしたし…などなど、いろんなことがあるので、私たち議会側からは全く見えてこない、病院側と市側の交渉経過なども問われていくというものです。

「急がば回れ」という言葉を心に留めながら、市民のためにどうするべきか、どうあるべきかについて、慎重に協議を深めていきたいものです。