児童虐待を防止するための在宅支援は自治体の最重要課題。

全国市議会議長会の「2040未来ビジョン出前セミナー」が開催されるというので、調布市文化会館たづくりに足を運んできました。「児童虐待をめぐる諸課題と地域の役割」というテーマで、講師が山梨県立大学の西澤哲先生。臨床心理士として、児童施設などで重ねられてきた豊かな経験をベースにした講演には説得力があり、子どもへ虐待を予防するために必要な家族支援のこと、そこに自治体が果たすべき役割がますます重視されており、求められていくと強調されていました。後方の座席に座っていたので、先生の話にうなづき、真剣に聞いておられる議員の皆さんの姿が印象的でした。今日の学びがしっかりと各自治体の子ども支援策につながっていくといいですね。多摩市の場合も、現場の職員一人ひとり、決して業務に対する責任感が不足をしている…というわけではないと思うのですが、「うまくいっているか」と言われれば、「必ずしもそういうわけではない」と答えるしかないような実態があることも事実。

こうした講演を聞いて、思うことは…「指摘し続けなければいけない。言い続けなければいけない。」ということに尽きるかも。理論や理屈は理解していたとして、そして、やらねばならないこと、やるべきこともわかっていたとしても、「実際に行動するか、できるか」というあたりにネックがあるというのか、特に、多摩市の場合には児童虐待の防止などについても一つの部署だけではなく、複数の部署が関わりながら、子どもや家庭をフォローしている場合も少なくありません。そこに、保育園、学童クラブ、学校などが関わってくると、それこそ、どこが責任を持つのか?とより難しくなっているような状況もあるようです。「支援すべき子どもや家庭」のことよりも、違うところに意識が向いてしまい、よりよい支援ができなくなっているとすれば本末転倒なんです。「連携を一層進めていきます」とか、「現場に働きかけをしようと思います」…とか、議会でも行政から一見前向きな答弁とも思われるような言葉は散乱しています。でもその実態は…ということですね。私たち議員に寄せられる情報というのもまた氷山の一角の一角の一角くらいのことであるという自覚と認識を持つことも必要だと思いますが、実際、「うまくいっていない場合も多い」と考えていて間違いがないような気がしてくる今日この頃です。

いずれにせよ、今日の講演を聞き、言葉の羅列だけで字面だけは整えられているとしても、その実態をしっかり見ていかねばならないこと強く感じています。私たち一人ひとり「本気で取り組む」ということも含め、問われているのでしょうね。子どもへの虐待を防ぐための、家庭への支援。今、多摩市でも一番力を入れていくべき課題ではないかとさえ思うのでした。子育て世代包括支援センターがどんな役割を果たすのか?ということとも深くかかわってきますね。