愛恵会乳児院へ

今日は子ども教育常任委員会のメンバーにお声かけをし、町田市にある愛恵会乳児院への見学とヒアリングをしてまいりました。何度か施設の前を通ったことがあり、気になっていたのですが、実際にはなかなか訪れる機会はなく今まで来ておりまして、たまたまご縁をいただいたのでありがたかったです。まずは施設内の案内をしていただき、その後、1時間ほどヒアリングの時間をとっていただきました。

昨年1月に現在の新しい施設が完成したばかり。施設で働いている保育士さんたちの使い勝手はもちろんのこと、子どもの生活や成長に寄り添った施設づくりがされていたことに感心しました。家庭的な雰囲気を大切にするため、子どもたちは異年齢で構成された6名のグループで過ごしています。乳児院なので0歳から3歳前までの子どもたちがいますが、感染症などに細心の注意を払わねばならず、新生児から6か月くらいまでの子どもたちには専用のお部屋で過ごします。新生児は誕生してから5日間ほどで病院を退院して、そのまま入所する場合もあります。専用のお部屋のなかには、さらに新生児のための専用ルームが区分けされていて、施設的にも子どもの発育に寄り添った必要な設備になっていることがわかりました。

個人情報を保護することも大切であり、子どもたちが過ごす場所は外からは見えなくする必要があります。中庭も外からは子どもの様子が見えないようなフェンスにしていたり配慮されていました。もちろん、施設入口についてもセキュリティは万全になっています。子どもたちが暮らしているお部屋、親子の再統合をはかっていくための相談ルームや宿泊体験ができるお部屋、プレイセラピーをやるお部屋(写真のカウンセリングルーム)、ホールなども見学することができました。今日は雨が降っていたのでお散歩には行けず、ホールなど室内で遊ぶ子どもたちの姿にも出会うことが出来ました。子どもたちは一生懸命生きているんだなあという姿を目の当たりにしました。

施設長さんはこの4月から就任したとの話しですが、以前は都内の児童養護施設などで仕事をしていたとおっしゃっており、施設の運営に関しても法制度など、かなり熟知されている様子でした。愛恵会乳児院は定員が55名までとなっていますが、施設建て替えなどもあり今は暫定で39名となっていること、定員を増やそうとすればそれだけ対応する職員が必要であり、人手不足などのことも話をされていました。当たり前のことですが、子どもたちの暮らしは24時間ですから、夜勤宿直もあります。また、職員さんの世代交代もあり、どうしても女性中心なため、仕事を継続していくためには女性のライフワークに寄り添って、結婚、出産、育児…をしながらも働き続けることができる体制にしていかなければならないとの話も伺いました。

ここに施設入所した子どもたちはほとんどが家庭復帰をしていくとのことですが、それはそれはとても忍耐強く支えていく職員さんたちの存在があることを感じますね。特別養子縁組あるいは里親の難しさなども一般的な話として、現況を伺うことが出来ました。日本では民法の扶養義務が厳格になっており、家族に責任を覆いかぶせる仕組みができていることにも話が及びました。ですので「社会的養護」と言っても、なかなかそうはならない現実があるということですね。

施設長さんは東京都各自治体には子ども家庭支援センターがあり、乳児院から家庭復帰した子どもたちのアフターケアの体制は整っていると話をされていました。昔と比べれば、飛躍的な発展ということですね…。多摩市でも子ども家庭支援センターが窓口となり、子どもや家族をフォローしていますが、それはそれはとても根気のいる仕事であり、大変な業務の一つですね。

今日は赤ちゃんショートスティのことも含めた話も伺ってきたのですが、町田市、日野市、府中市、調布市、世田谷区からは「やってほしい」という依頼があるとのこと。まだ、事業としては始まっていないようですが、多摩市でも子どものショートステイは2歳児からしか利用できないわけであって…検討してもいいのではないか?と思いますね。乳児院の対象年齢の子どものショートステイにもニーズがあるのではないかな?と思ったりします。ここは要検討事項として持ち帰り、委員会でも考えたいところかもしれません。