市民が心配していること~図書館本館再整備。

今日は午前中は小金井市議会の皆さんが「多摩市議会の決算と予算の連動」=決算審査時の議会の評価について調査をしにいらしたので、遠藤めい子さんと一緒に対応。「市議会の文化が違う」と述べられた感想に代表されるように、市議会の取組みはそれぞれの市議会を構成する議員の意識で合ったり、あるいはそれを支える市民だったり、土壌によってホント大きく変わるのですね。多摩市議会でやっていることを小金井市議会ですぐにできるというものではないんです…。でも、小金井市議会…さすがだなと思うのは、議会基本条例を策定するために6年をかけたという事実。喧々諤々…無所属で個人で一人会派の方々が5会派もあると言いますし、かつて多摩市議会で一人会派が7会派もあった時代を思い出しますが、それはそれで私たちはないパワーをもつ市議会なんだろうなって思います。

ただ、私、この間の取組みをずっと見てきて思うのは、私たち多摩市議会がいろいろ取り組んできた背景には多摩市行政の重ねてきた歴史に支えられているところも大きい!ってことです。都内に先駆けて自治基本条例を制定したり、行政評価に取組んで、予算や決算カルテを作成したり、特に渡辺前市長時代にはかなり力を入れて情報公開に取り組んでいたわけですが、やっぱりその取り組みを推進する要になってきた職員さん、あるいは管理職の皆さんの意欲というか、「こうしなくちゃ!」と時代を先読みしつつ、情報をなるべく分かりやすく提供しようとしてきた努力は素晴らしかったなと思います。

今は、その歴史の上に淡々と情報公開、情報共有されているとは思うのですが、もう一歩先に進めていかなければいけないと思うのです。情報を提供していることで終わるうのではなく、提供されている情報をもとに、市民と共に考えていく場づくりの工夫がなされてもいいのかなと思ったりします。

というのも、今日は「図書館再整備に関する予定地」についての説明会が開催されました。議会としても市民の声が気になりますし、14名の議員が見守り、傍聴をするという、ちょっぴり異様な雰囲気も漂う状況であったわけですが、粛々淡々と行われました。市民の方からの質問、応答を聴きながら私がふと感じたことは…「壁」ですね。

結局…「市民が何を気にしているか?」あるいは「市民が指摘していることに答えられているか?」についてを理解しているのかな?という点かもしれません。

例えば、「他市よりも市民一人当たりの借金は少ない」そしてまた「他市よりも市民一人当たりの貯金は多い」…市民はそんなことを聞きたいわけではありません。確かに、それは他市よりも「うちの市は恵まれている」との説明や他市比較で「うちは結構、がんばっている」を述べるために示す図としては正しいのかもしれませんが、「だから多摩市は大丈夫」とは言えないと思うのです。

まさに、市民の皆さんは「その点」を指摘しています。なぜなら、多摩市は健康長寿の市民が多いとはいえ、高齢化が一気に進むわけですし、公共施設の老朽化問題にしても一時に訪れることが予測されると共に、もともと公共施設の数も多ければグレードも高いので改修するともなればコストはそれなりに必要になり、一挙に対応することは難しいと言われてきたわけですし、そもそも「今ならまだ改革は間に合う」とも言われてきた改革って一体どこまで進んだのか?…と言えば、勢いよく「改革」と語っていたころから比べればかなりトーンダウンしているのが現状というのは、議員も感じていることではないかと思います。

他市と比べた図表で安心を語られたとしても、他市の置かれている環境全てをもつぶさに比較をしたうえでの安心ではありません。別の場では、多摩市は「みどり環境」がとても充実していて、他市よりも街路樹やら公園なども含め「みどり環境」の維持保全のためにかかるお金が桁違いという説明もされることを考えてみればわかりますね。

経営感覚というのは「他市比較」を示して、安心を語ることではなく、まさに「うちの市、どうするの?」という観点で、もっといろんなデータを突き合わせながら、市民とともに考えられる材料を提供し、語っていくものではないのか?と思います。

 

なので、図書館に対しても、本館を中央図書館的図書館にして新しく建設し、地域にある図書館も廃止方針を撤回しちゃんと残すも「良し」なわけですが、その分、全体としてはどんな風に財政的な課題を乗り越えていくかが問われているのです。何度も言いますが、「地域にある図書館廃止、中央図書館的本館の再整備」と掲げてきたこととの一貫性をきちんと示すことが要求されていますし、私自身もそれに対しては、「今後市民と協議します」というような極めてあいまいな格好で、問題先送りされている状況がどうしても気持ち悪いと言わざるを得ない。少なくとも、「市民と何を協議したいのか?」について、もっとなかみを明らかにして欲しい。市長が「市民と何を話し、何を協議し、そしてどうしていきたいと思っているのか?」・・・いまいち見えてこないことにも、「どよん」とした空気感が流れてしまう。そのことを市長自身にもう少し理解していただきたいものです。勢いよく、「大丈夫」だのなんなのと、きれいな言葉だけを並べただけで、市民は納得できないのです。

 

市民が市長に求めている「経営感覚とは何か?」について、もう少し意識されることで説明の在り方、あるいは説明するために必要なデータの示し方も異なってくるように思います。これから控えているコミュニティセンターの大規模改修工事をはじめとし、まだまだ小中学校にしても老朽化対応はしていかなければならない状況、公園、道路、橋梁…などなど市民の生活基盤となるところにもこれからどんどん対応が求められます。「他市との比較」で安心していられないです。橋梁にしてみても、こんなにも橋梁の多い「街」はないですね。そこが私たちの「街」の魅力ではあるんですが…。

 

いずれにしてもまとめ…。

「今は市民一人当たり借金が少ない、今は市民一人当たり貯金が多い。」

それは、多摩市行政の財政運営が堅実に行われている証。そりゃ、多摩市行政は「質実剛健」という言葉がピッタリでとても地味に頑張ってきたことは確か。しかし、それを持って「安心」とは言えない背景がこれまでずっと語られてきた。他市との比較がなされれば、いかにも『安心』そうに見えるけれど、多摩市と与条件が全く同じところと比較しているわけではない…。

「他市と比べて借金が少ないから=多摩市は安心」ではない。
「他市と比べて貯金が多いから=多摩市は安心」ではない。