まちとしょテラソ@小布施町へ!

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ずいぶん前から行きたいと思っていた長野県は小布施町立図書館「まちとしょテラソ」へ。今年は全国都市問題会議が長野市で開催されたので、せっかくの機会を活用して、会派のメンバーと一緒に伺い、2代目の関館長より示唆に富んだお話を聞いてまいりました。市民と共につくる図書館を体現したようなプロセスを経て完成した図書館。

何と言っても、入口のそばに館長席が配置されていることは有名な話ですが、これも、当初建築家の提案した設計内容の見直しを町民が要望した結果なのだそう。多摩市ではあり得ない感じですね。多摩市の場合だと「あーでもない」「こーでもない」と・・・やれない理由を並べ立てられて、終わってしまいそう。市民の声はできるだけ受け止めて、市政に反映させていきたい・・・という姿勢は多摩市にもないことはないとは言え、あまりにも斬新なアイデアすぎて「風土に合わない」とか言われそう。

関館長さん曰く、「まあ、いろいろありますけれど、クレームの処理ももちろんしますしとのこと」・・・でも、「顔が見える図書館になっている」という実感をお持ちのようでした。大事なことですね。来館者にとっては貸出カウンターがあればいいわけで、そこに正規職員がいるかいないかとか、民間業者の社員さんがいるかいないかとか・・・問うことは少ないのだと思います。でも、運営する側には来館者と最も身近に接する貸出カウンターは業務上も不可欠で、日々の業務の中から市民のニーズをくみ取るためには重要なポジションになる・・・と指摘されることに相通ずるご意見です。人件費、コスト削減の視点は欠かせないわけですが、、「民間でできることは民間で」とする考え方をどの業務にどう当てはめていくのか、それによって行政が担うべき業務内容が質的にどう変化するのか・・・このあたり、きちんと議論すべきなのでしょう。民間の事業者も図書館運営などでは一定のノウハウは蓄積されているけれど、地域ごとの個別事情や課題に対応する図書館をつくるとの視点から考えれば、担い手をどうするかは考えどころだとのご意見も伺いました。

お店で言えば、大手のチェーン店レストランかそれとも地域地元密着の食堂なのか・・・簡単に言えば、違いのイメージはそんな感じなのかもしれません。これからの地域づくりは「顔が見える」がますますキーワードになっていくはず。このあたりを私たち市民もどう考え、そしてどうつくっていくかが問われます。コスト削減だけで判断できない要素が今一度問われているのかなあとも。

ちなみに小布施町の図書館・・・年間運営には約3600万円、資料費は300万円とのこと。開館当初の半分程度にまで減らされているというのが悩みだと。いろいろご事情はあるようですね。館長は任期付職員として登用されていて、館長以下7名の職員さんはみなさんいわゆる非正規雇用の臨時、パート職員さんたち。7人のうち、2名が司書資格を有していて、選書などはそのお二方がなさっているとのこと。「えっ!」と思ってお尋ねしたところ、運営のための職員のシフト計画などを組むのは館長さん。町役場で言えば「係長級」相当の立場だとおっしゃっていましたが、関館長は小布施町ご出身ということで、地元のためにひと肌脱いで・・・という感じで業務をこなされている様子でした。

そうそう、小布施町には書店が1つもないとのこと。いわゆる「貸し本屋に成り下がる図書館」とする批判も受け止めて、選書も進めていかねばならず、選書にはかなりのご苦労があるようでした。

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空間の居心地が最高・・・でも、一般的な図書館からすれば広さに比較して、蔵書が少ないのだとか。しかし、採光が優先されていて、明るいため、窓側などにある書棚は低く・・・蔵書を充実すれば置き場所が課題になりそう。

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そして、約2時間ほど滞在し、最後は元々図書館があった町庁舎3階の跡地に開設した公文書館も見せていただきました。ついでに、町議会の議場も見せていただきました。

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その後・・・・小布施町で取組んでいる「まちじゅう図書館」との取組み。館長さんおすすめの「くつろぎサロン」へ。

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私物の本がずらり!・・・開放されています。もともと、古くは商売を営んでいたそうですが、長年倉庫になっていた場所を改築。すてきな書棚はかつて商品の陳列棚だったものを活用しています。せっかくなので、機会あったらぜひ足を運んでいただきたい場所でもあり、私もまた訪れたい場所。歴史ある家具などが他にもそっと置かれていて、わくわくして居心地良いサロンでした。サロンを主宰している方は退職を機に小布施に戻られ、町のよびかけもあって、こうした場を開設したのだと伺いました。素敵な空間で、学校帰りの中学生が宿題などを持ち、遊びに来たり・・・・という居場所にもなっているそうです。

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さて、これをどう多摩市の図書館行政に活かしていけるか?・・・・考えるわけですが、

 多摩市立図書館は、持続可能な社会を目指し、すべての市民が必要とする資料や情報を得ることを支援します。そして、いつでも、どこでも、だれでも気軽に利用できる図書館サービスの実現のため、地域や他機関と協力し、市民のみなさんと一緒に、積極的な図書館活動を推進します

 というのが基本方針なら、やっぱり、もっと市民を巻き込んで一緒になって図書館の運営計画を作っていく必要がありそうだということ。小布施町の2代目の図書館長さんは「町民と一緒につくってきた教育委員会の人たちには頭が下がる。」っておっしゃっていたけれど、一緒にやるということは苦労の連続で、大変なことですが、でも、だからこそ、その後の図書館運営につながってくる部分がたくさんあるのではないかと。実際に、小布施町でも「自然発生的」に図書館の運営を支えてくれる方々がいらっしゃるそうですよ!行政がお願いしなくても、お願いされなくても・・・「自然発生的に!」・・・ここ、最大のポイントです。

充実した内容で小布施町に足を運んでまいりましたが、次回は・・・・もう少し、秋の紅葉やスイーツを楽しむために行きたいですね。プライベートで♪