9月議会 健康福祉常任委員会

ハンディキャブゆづり葉さんが20周年を迎えたとのこと。外出支援へのニーズはこれからも増えていくだろうなと思っています。お届けいただいた記念誌を読ませていただき、市民活動からのスタートで今では地域に欠かすことのできない事業にまで発展してきた歴史、それとともに体制の強化はもちろんのこと事業内容も量だけではなく質の向上にも取り組んでおられることも垣間見ることができました。

市民の事業として発足した移動支援の活動は、いわゆる公共交通を担う民間の事業者さんとのせめぎ合いというのか、’公共交通では担いきれないニーズをフォローしていく存在’として社会的な立ち位置を獲得するところからも、とても大変だったわけですね。国交省と「福祉有償交通」のありかたを協議していた時の苦労話なども思い出します。20年間の歩み、関わって下さった多くの関係者の皆さんに本当に感謝感謝です。

さて、今日は健康福祉常任委員会でした。条例や陳情の審査はなく、協議会で担当所管から各種報告事項があり。そして、現在検討中の「(仮称)手話言語及び障害者のコミュニケーション保障条例」(このタイトルもまだまだ議論の途上であって、今後変わる可能性もある)について意見交換にかなりの時間を割きました。

協議会の報告事項では、東部地域包括支援センターが来年度移転することについて報告がありました。私の住んでいる諏訪地区も東部地域包括支援センターにお世話になっていますが、隣接する永山地区は中部地域包括支援センター、なおかつ、永山商店街の一角に開設されており、「中部に変更してくれないかしら」という声をたびたび耳にしておりました。移転場所は教育センターのある「諏訪複合教育施設」(旧中諏訪小学校)。東部地域包括支援センターのカバーしなければならないエリアのことを考えますと、連光寺地域の方々にとっては距離的には遠くなってしまいますが、しかし、「より地域に根ざした場所、環境」と考えると、同じ建物内には「元気塾」もありますし、歓迎されることでしょう。

そして、もう一つ、協議会の中では「(仮称)障害者差別解消条例」の制定に向け、策定スケジュールや策定手法などの報告もありました。アンケートをとり、ワークショップをし、地域自立支援協議会をはじめとする会議体、また、市が設置している既存の委員会などにも出向きながら、説明や意見収集もしていきたいとの話でした。そして、何よりも当事者からのヒアリングもていねいにしていく方向も示され、当事者どうしでの意見交換などの場も大切にしたいとする報告内容でした。現段階では来年度中の制定をめざすとのことですが、話し合いには一定の時間もかかり、場合によっては進捗状況によって制定時期が変わってくる可能性もあると示唆されました。障害者に関する条例を制定したり、あるいは計画をつくるときに大事なことは「当事者の声」をどこまで拾うことができるのか、ていねいにそして慎重に耳を傾けながら、言葉に表現をしていくとのことでした。「私たちをおいていかないで」という当事者の声を無視せず、向き合っていきたいという姿勢でした。

報告を聞きながら、一方で、委員会で現在取り組んでいる条例制定のことを頭に思い浮かべたのは私だけではないはず・・・。やっと今、障害当事者の皆さんや支援者の皆さんにアンケートを実施をはじめたところであり、ここからどのように当事者の声を委員会の作成する素案に反映していくかが問われます。そもそも委員会で条例制定に取り組んでいることについて、ようやっとアンケートによって少し知らせることができたかな?と思っていますが、「(仮称)障害者差別解消条例」を制定するために担当所管がやろうとしていることと比較をしてみると、ちょっとした(かなり?)の違いがあることは歴然ですね。「私たちをおいていかないでほしい」とする当事者の皆さんに議会としてどこまで寄り添っていけるのだろうか。行政とは異なり、私たち議員には「任期」があり、そこを意識せざるを得ないという事情もあります(しかも、あと半年後には改選を迎えます)。なかなか苦しいところだなと…個人的には感じています。「行政に範を示す」ということもまた、私たち議会に求められていることだとすれば、どうすればよいのか…と。もちろん、意思決定までにエラク時間のかかる行政組織に対し「スピーディさ!」を示すこともできるのかもしれませんが、それはモノ・コト…によりますね。障害当事者の皆さんに関わる施策づくりについて、行政がこれまで蓄積してきたノウハウがあるとすると私たち議会はそこに学ぶこともあっていいと感じています。

また、委員会に対するアドバイスとして「今、策定に関わっている人たちの想いなどは’ココ’では理解し合えたとしても、ひとたび条例になった時には『条文主義』であり、50年後にには『条文』しか残っていない。だからこそ、慎重に取り組む必要がある。せっかく策定するのだからこそ、より多くの当事者の皆さんにも歓迎してもらえる内容にしておかないといけない。」と…。深い。そして重たい。「想いではなくて条文が残る。」…ここは私たち議会が条例制定をするときにしっかりと心に刻んでおきたいですね。

 

ということで、今日も盛りだくさんの一日で終了。明日は生活環境常任委員会です。