福生市の教育施策を学んできました!

昨日は桐朋生ネットワークでの視察でした。視察先は福生市です。福生市は加藤育男市長が桐朋生です。また、福生市の川越教育長は多摩市内の中学校でも校長をされていたご縁で存じ上げており、私は福生市の教育施策には以前から注目し、時折、足を運んでは川越教育長と意見交換ををさせていただいています。あまりにも充実した視察内容でまだ未消化部分も多いです。少しずつ深めていくつもりです。

まずは「防災食育センター」へ。昨年、稼働前に伺い、実際に調理現場にも入り、見学をさせていただきました。その時は試運転で鶏肉がこんがりローストされていたことを思い出しました。職員さんたちが念入りに新しい設備機器を動かして、チェックされていて、新しい調理の現場への期待が膨らんでいたなあとその空気感、思い越しました。

ちょうど、あれから一年後。ようやく味なども安定してきたと職員さんが話されているのを聞き、新しい機器や設備に慣れるために一定の時間も見込みつつ、新しい施設を動かしていく必要性を感じた次第です。そういえば、あと一週間もたてば、小中学校は夏休みが終わりますね。2学期に向けた準備が静かに進められているようでした。

単なる学校給食センターではない…その理由は建設費約40億円のうち30億円が防衛省からの補助金というところにも理由があるわけですが、いずれにせよ、食育施設(学校給食センター)としての機能、そしてまた災害時には避難所にもなり、防災拠点にもなり、備蓄、炊き出しもできる機能もある・・・このアイデアや発想に学びたいと多くの方が視察や見学に訪れているようです。建設費をどう捻出するのか?で言えば、なかなか他市では真似できないところ(福生市には基地があるので)とも言えますが、防災拠点にもなれる学校給食センターはやはり魅力的ですね。多摩市でも学校給食センターの建替えも視野に入れる必要があり、きちんと将来にわたっての財源も含めた計画を立てていかねばならないわけですが、災害対応という視点を持つかどうかで施設のつくりかたと、施設の在りようも含め、大きく変わっていく気がします。

防災食育センターの通路には消防団関連の展示もあり、学校給食センターと思うと不思議な感じもありますが、見学者に合わせてPRもできてしまうのはメリットの一つとも言えるかもしれませんね。施設は新しく、そしてまた立派…必要な機能がたくさん詰め込まれていて、でも決して華美で贅沢というわけではない…上手く表現できないのですが、私はこの施設に対してものすごく「堅実」だと感じたのです。

見学を終えて、市役所の庁議室へご案内いただき、福生市が取組んでいる教育施策について説明していただき、途中からは加藤市長も加わり、意見交換させていただきました。

川越教育長からは「現状分析」をしっかりと行い、まずは実態把握をしながら、施策立案と推進に取り組む必要性を伺うことができました。魅力ある学校づくりを支援できる「教育委員会」をつくるために注がれている教育長の多大なエネルギー、その熱量の大きさにしっかりと応えられる、あるいは応えようとする職員のみなさんの存在を感じたのは私だけではないようです。

学校の働き方改革、英語教育の推進、特別支援教育、不登校対策、福生板の英語ビレッジの取組みなど、それぞれ担当する職員の方からお話しをいただいたのですが、「みなさんがそれぞれに、楽しそうに、自信を持って説明して下さる姿を見ると、仕事のやりがい、手ごたえがあるんだなあと感じさせられた。」と…宮本調布市議がしみじみとおっしゃっていたのですが、この感想はおそらく参加者全員の共通見解であると思います。

特に、英語教育に関しては学校現場に対するフォローの仕方が半端なく、すごいとしか言いようがない・・。まずは英語教育推進のための計画書があり、授業づくりのためのガイドラインがあり、さらには今年の3月には、小学校1年生から6年生までの英語授業の時数225時限分すべての指導計画書がまとめられたマニュアル本が完成しています。小学校で英語の授業…なんて戸惑い、心労を感じておられる先生方も多く存在していると思います。でも、先生たちは「できない」とは言えません。そこにこそ市教委の役割と責任があるわけですね。「できない」と先生が燻ってしまうことで影響を受けるのは子どもたちですから。まさに市教委に期待される指導力とは、こうした現場の先生たちの戸惑いや悩みにきちんと寄り添い、フォローでき、解決策をしっかりと提示していくところにあるわけですよね。何でもかんでも上から目線で、しかも国(文科省)、東京都教委から言われたことをそのまま学校現場に伝達するだけ、そして指導するだけでは、誰もはついてこない。

福生市教委の英語担当の課長さんは小学校1年生から6年生までの全小学校の全クラスの先生の英語の授業を見学し、助言をしているのだそうです。「小さい市だからできること」とサラリさわやかにおっしゃっていましたが、小さい市であってもやっていないところが多いと思いますよ…と私は思いました。要するに先生全員としっかりと向き合って、フォローをしているということになりますから、そこに注がれているエネルギーたるや並大抵のものではないはずです。「最初の頃は、授業を見学されることに対して、煙たがられていたかもしれないが(実際そうだったと感じている)、今では先生たちが逆にいろいろなことにアドバイスを求めてきたり、尋ねてくれるようになった。」と現場の変化を語ってくださいました。スーパー公務員というか、ここまでできるって凄腕だと思います。滅多に会えないタイプの職員さんだなと思ったわけです。

あっ、課長さんも桐朋生だったという・・・。「やはり…」と、桐朋生はどこか独特で、自由で、そして「これをやる」と決めたら、邁進していくというか…そんな人が多い感じがしております。課長さんはとても穏やかなのに、しかし秘めてるエネルギーがすごい。すばらしいと思いました。ここまでやれる職員さんはそうそういない、珍しいし、貴重な存在です。今日は英語教育以外の魅力的な取組みも多数伺いまして、それについてはさらに突っ込んだ調査をしたいと考えているものもあります。個人的には不登校対策について、福生市の取組みは示唆に富んでおり、学ぶべきところが多いと考えています。

いずれにせよ、単に想いだけ、エネルギーだけ・・・市教委だけが奮闘しているだけでなく、その取り組みが学校現場と一枚岩になり進められているところ(もちろん全てとは言いませんけれど)に魅力ある福生市の学校づくりの取組みが進化しつづける秘密がある。私はそのことを改めて認識させられました。学力調査の結果、あるいは不登校の子どもたちの数の減少など数字にもしっかりと結果が表れている。だから、福生市の教育に対する取組みが素晴らしいと私も言えます。

他にも書きたいことがたくさんありますが、不登校対策についてはもう一度、詳しくヒアリングに赴いてからと思います。そして、私たち多摩市でも学校における働き方改革の一環としてタイムカードを導入する予算が提案されていますが、福生市の場合にはまずは「学校における働き方改革推進計画」を策定することを優先し、そこから一つずつ取組みを進めようとしていることもわかりました。こうした計画を策定するにも現場の先生たちの参加が必須であり、現場の声をしっかりと把握しながら、一緒になって計画づくりにも取り組めている点も福生市の大きな特徴かも。

ということで盛りだくさんのことを学んできました。そして、加藤市長からは市政運営に対する姿勢、スタンス、想いなどを伺うことができ参考になりました。自分自身の持つ人脈を120%活かし、フル活用して福生市のために心血を注ぐ!…というエネルギー、やっぱりすごいなって思いました。

加藤市長、川越教育長をはじめ、職員の皆さんには本当にお世話になりました。ここで得た学びをそれぞれの地域で活かせるように努力しなければいけない・・・と参加者全員、心に誓ったのではないか?と思います。そして、何よりも…人を動かすためには情熱情熱情熱・・・!

蒸し暑さ以上に熱い熱い視察、そしてまた福生市の皆様の手厚いもてなしに恐縮でした。ありがとうございました!