市民参加のデザイン。

 

週末土曜日、コレクティブハウス聖蹟で住民と住民外の交流もかねての’これからカフェ’がありまして・・・クラフトビールなるものが並ぶと小耳にはさんだので足を運んでまいりました。コレクティブハウス!・・・みんなで関り合いながら住んでいくスタイルに共感する人たちが集まっている「大きなおうち」・・・って私の中では理解しています。一人暮らしになったらこうした場所に住みたい。

なぜか、中学生の頃・・・我が家の本棚に「集まって住むことは楽しいナ!」って本があり。いつもタイトルに魅かれていて、ここにはコーポラティブハウスのことが書かれていたのですが、興味があったのですね。その後、この著書をお書きになった延藤安弘先生が唐木田コミュニティセンターを建設するにあたってのワークショップか何かで講演される機会があり、わざわざ足を運んだことを思いだしています。今となってはずいぶん昔の話です。

(これ何でしょう?)

 

市民が参加するってどんなこと?市民参加のデザインをどうやってつくるのか?・・・「アリバイ作り」とか「ガス抜き」と言われない「市民参加」ってどういうことなんだろう?最近考えていることの一つ。

 

今回、パルテノン多摩の大規模改修の問題からはじまって、市庁舎検討の過程、あるいは公共施設の統廃合と縮減の問題・・・市民との合意形成はもちろんのこと、議会と行政との合意形成も正直うまくはいっていない。議会で意見を述べたところで「聴きました」というポーズにしかなっていないような現状・・・少しでもこの状況を解消していくためには行政のみならず、議会も努力していく必要があると考えています。そもそも議会は行政に対し、様々な場面で「市民の参加をもっと得ていくべき」と言っているものの、「一体、どこまでの市民参加を得れば◎をつけられるの?」という疑問に答えられるかと言えば、ここもかなり感覚的なものと言えます。それでも、市民参加の成功事例と失敗事例はあるわけで、せっかくやるなら「成功事例」から学んでいきたいですよね。

 

そんなわけで、今日は「参加のデザインとは?」について会派主催の学習会を行いました。せっかくの機会なので、他の会派の皆さんにもお声かけしたところ、全部で15名のみなさんが集まって下さり、「ワークショップとは」について学術的な観点も取り込んで、実際の事例を踏まえたお話しをいただきました。講師は今年1月に参加した学習会で再会した早稲田大学の卯月盛夫先生。先生は「世田谷区役所建替え」にも関わっておられること、また私がかねてから注目している「ミニ・ミュンヘン」のことにも取組んでおられます。もちろん、先生の研究室ではさまざまプロジェクトにも関わっておられるので、タイミングあえば話しを聞く機会ればいいなと思っていたのです。

で、今日学んだこと。

ワークショップを成功に導いていくために大事なことは・・・「市民参加の機会をつくる目的な何か?」を予めちゃんと決めておくこと。また「何が前提条件」になっているのか、参加している市民は何を議論すればよく、何を提案することができるのか(市民の意見で変更ができるところはどこなのか?)も具体的に明らかにしておくこと。そしてやっぱり、ダラダラ議論することは却ってよくないけれど、「一定の時間」は必要。それから「行政の柔軟な姿勢と対応」が不可欠。

 

あとは事前準備がとっても重要だと話しておられました。何となくワークショップをやれば、「場」さえつくれば、参加した市民が何か意見を出してくれるだろう、そこから何かが見えてくるだろう・・・なんて丸投げしていては、’たいてい’の場合、失敗するというのです。なかなか示唆に富んでいる・・・。あと、全体のプロジェクトスケジュールにおいて市民参加がどのような立ち位置に置かれるものであるか明らかにし、「一定期間内にある程度の緊張感を持って集中して議論する」ことが大事でとのご指摘も。ちなみに、一定期間を越えて結論が出なければ、その先ずっとやっていても結論は一向に出ません・・・とのこと。さすがに、ここには苦笑しました。なぜなら、まるで多摩市ではないかと思ったりして・・・。市長は対話が大事だと言っているものの、対話や議論をすればするほど、「決定」からは遠ざかっていくような気がしているので。

で、先生は、「事前確定的なワークショップは市民との信頼関係を築けない」ということを強調されていたように、アリバイ作りの市民参加は行政不信を増幅させるには効果抜群ということもわかりました。先週、氷見市でヒアリングした際と同様、今日の先生の話しにも共通していたことは、「市民は決定権を持っていないけれど、市民には議論する権利がある。」・・・だから、それぞれの意見を出し合っていく場をデザインすること、その組立が何よりも重要だということです。「参加してよかった、また参加したい!」と感想を持つ人を一人でも多くすることが求められます。今後、議会への市民参加も広げていくとすれば、その際にも念頭に置く必要がありますね。私たち議会が開催する報告会についても思うように’輪’は広がらないです・・・。でも、リピーターさんがいることは確かです(固定メンバーと言われてしまうかな?!)

いずれにせよ、参加のデザインを作っていく上で、掲げるべき目標とは・・・さしあたって「脱アリバイ」「脱ガス抜き」・・・まずは、これしかないですね!実際に「アリバイ作りにしよう」と思っていなくても「なぜかアリバイ作りにしかなっていない」原因を認識し、改善策を講ずることですね。たぶん。

(写真の答え)アルパカの頭。この前、シェア金沢に行ったとき、アルパカ牧場があって、にらめっこしたときの写真。