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2008年11月21日

「絵本」がつなぐ 「絵本」でつながる in三鷹市

 今日は三鷹市で「みたか・子どもと絵本プロジェクト」のお話を伺ってきました。今回の一般質問でテーマにした「多摩市の図書館政策」を考える上で、きっと参考になると思ったからです。

 三鷹市には毎年のように出向いている私。男女平等条例のこと、特別支援教育のこと、そして今年は図書館政策に纏わること・・・・・ということで、三鷹市は私にいつも知恵を授けてくれる街。職員の方から多くのヒントをもらうことができるのです!

 さてさて・・・・今年は?・・・・とまたまた三鷹市も議会直前の忙しい時期にも関わらず、快く直前のヒアリングを受けてくださいました。今回は「子どもと絵本のプロジェクト」ということで、三鷹市立図書館に伺うつもりをしていた私。ところが、なんと!この事業を担当しているのは市長部局で「生活環境部コミュニティ文化室絵本館担当」という部署。組織的にはコミュニティ文化施策に位置づけられているようで、まずはそこからしてびっくりしました。

 このプロジェクトのきっかけは現市長の清原慶子さんが1期目の公約に掲げていた「絵本館構想」。当初はハードの整備を入り口にしていたようです。ところが、市民の賛否を受けて、ハードの整備に一気に着手することを保留し、現在の思わぬ(?)展開に!!全く想像もしなかったような事業の広がりはまるで雪だるま式。話を聞いている私は「すごいパワーだなあ。」と関心しきりだったわけです。それにしても、まず驚いたのはこの事業を担当している職員はたった2名の女性のみ。まさに凄腕・・・。市民の方々との活動は休みはなく「大変ではない」とは言えないものの・・・市民のパワーを感じるとみるみるボルテージが上がり、パワーがふつふつと湧き上がるんだろうなあとお見受けしました。話を伺いながら私は何度か「職員は本当に二人だけなんですか?」とお尋ねしてしまったくらいですから。


 ちなみにプロジェクトについてはホームページでの進行状況を辿ると詳細がきちんと報告されているのですが、市民参加の歴史では先行先進地の三鷹市だけあり、その取組みを支える市民の層の厚さを感じずに入られません。


 例えば・・・・「市民参加でやってるの?それなら、いいよ、タダで印刷物のお手伝いするよ。」とお仕事を請け負ってくれる地元の印刷業者さんの存在があったりするみたい。それにこの取組みの一貫で開催した「神沢利子展プロジェクト」。ものすごい好評だったとの話ですが、企画内容から何からすべて市民の実行委員会が行なったもの。ステキなデザインのホームページやチラシなども三鷹市在住のアーティストがもちろんボランティアとしての協力。神沢さんが三鷹市在住だったという「縁」があったとは言え、これだけの企画内容でやりとげた市民のパワー!支えている職員は2名だけですので、やっぱりすごい。(裏の裏の裏の話までは聞くことができていないかもしれませんが、職員が市民に引っ張られるっていう状況だったのだろうと推測できますね。)


 「まさか、このような展開が次々に・・・・」と思っていなかったというのが担当職員の方のお話。もともと絵本館担当として配属されたときには「絵本館の建設」がその使命だったわけです。ところが、市長判断もあり、紆余曲折を経ながら「絵本」という文化を広げていく土壌づくりが優先されることとなり、まさにハードではなくソフトの充実に邁進中・・・・おそらく多摩市なら図書館事業として実施されるであろう「子どもと絵本ボランティア講座」も絵本館担当の事業の一つですし、プロジェクトそれぞれの内容も一見すれば子育て支援の担当部署で取組みそうなものが並んでいます。

 
 でも、絵本ボランティア講座の場合にも「絵本の読みきかせのできる人材を育成」だけが目的ではなく、この講座をきっかけに地域を担う人材に変わっていける市民の輩出が最終的なゴールライン!図書館事業でやる場合にはその目的がどうしても「本につなげる」になりがち。しかし、絵本館担当の目的はコミュニティ、文化・・・・一人ひとりにぴったりくるものを支援するわけなので、敷居を低くできている気がするとのことでした。ちなみに図書館でも「読みきかせ講座」を行っていますが、ここには連携体制があり、絵本館担当の講座は「入門編」の位置づけ、図書館担当の講座は「中級以上編」との役割分担ができていて「重なり合わない」のだそうです。
 それと同様に「子育て支援」という入り口からでは参加しにくかったり、関心が持てない市民の方であっても、「絵本」という切り口を示すことでぐっと参加の扉が開いた部分もあり、参加者の顔ぶれも多彩で広がったことを実感しているとのお話でした。

 うーん、盛りだくさんのことを聞いてきました。帰りにがけには市庁舎の情報資料コーナーと市立図書館にも立ち寄り、行政資料室を拝見しましたが、多摩市の行政資料室はもっともっと改善と工夫をしていかなければいけないと痛感。これは‘まち’の歴史の違いなのかな?


 
 それから、「市長の存在の大きさ」を今日は目の当りにしました。清原市長はご自身の経験から「これからインターネットの時代だからこそ、直接のコミュニケーションが大事。だから『絵本と子ども』。」この市長の強い思い入れとこだわりこそがプロジェクトの原動力。もともと東京工科大学メディア学部長だった経歴、そして学生時代の研究では三鷹市の文庫活動を対象にしたこともあるとか。単なる思いつきだけで進めているプロジェクトではないからこそ、市民への共感の広がり方が違うのかもしれません。そしてついに・・・・?!「星と森と絵本の家(仮称)の整備」に着手です。ステキな名称ですね。シンボルマークを公募したところ海外からも含めて1130作品の応募があったそうです。

 あったらいいなを形に♪・・・・・多摩市で模索することが私の使命ですが、 「いいな、三鷹市の絵本プロジェクトに参加したいな~。」って心からそう思える取組みでした。

投稿者 hisaka : 2008年11月21日

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