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2010年12月15日

バランスを欠く議論ではなく。

 今日は子ども教育常任委員会。パルテノン多摩、アクアブルー(総合福祉センター)、八ヶ岳少年自然の家の来年4月以降の指定管理者を決定の議決に先立っての条例審査、それから国の保育制度改革に対する意見書の提出を求める陳情の審査が行われました。

 委員会などで議論をしていてつくづく感じ、そしてまた考えさせられているのは「議会の役割って何なんだろう?」ということ。議会基本条例を制定したからなおさらかもしれませんが、「議会が責任を持った議論をする」とか「全市的な視点で物事考える」ことを徹底追及するとなれば、党利党略とか、自己保身とか脱皮して・・・・独り善がりにならないで公平に、公正に、そして冷静に・・・・と意見交換や協議をじっくりと積み重ねていくことがますます求められ必要になります。

 特に今日は保育制度改革に対する意見書の議論をしながらそう思いました。陳情者は国が現在進めている「子ども・子育て・新システム(案)」に対する危機感から、「現行保育制度を守る」という視点での意見書提出を求めていました。確かに私も「保育制度を守る」という観点を真っ向から否定するわけではありません。ただ、私は「現行保育制度」がその水準でいいのか?という視点も持つべきであって、今の保育制度を守ることを求めてしまってもいいのだろうか?今よりももっといい制度設計を目指すことができるなら、「現行保育制度を死守」とするよりか、具体的に「現行制度内容の改善点」も示しながら、保育制度の拡充と国の示している‘新システム’とやらに物申した方がいいのではないか?と思ったのです。

 国の制度改革が現行制度を改悪するものだ!と鼻から決めつけることは避けたい・・・というのは民主党が政権をとっているから言うわけではありませんが、今の制度改革の一つの目玉になっている「幼保一元化・一体化」については、保育制度改革の視点のみで考えるべきではないでしょう。学校教育法=幼稚園に対する改革の視点も同時に議論をし、そしてまた、保育所にも幼稚園にも通っていない子どもたちへの視点も入れ込みながら考えていくべき内容。保育制度だけが守られればいいということにはならないと考えるのです。


 なので、「保育制度改革に対して」だけ国に意見書を出すのでは不十分。多摩市議会として出すべきは、「子ども・子育て・新システム(案)」全体に視野を広げた中での意見とすべきだと感じました。なので、今日はそのことを主張して・・・・委員会として私たちの任期中・・・・来年3月議会には何らかの意見書をあげていくために調査?勉強会?意見交換をするとの合意にたどり着くことができました。委員長には議論をまとめてもらって感謝です。

 陳情者の立場のみを考えれば、ストレートに要望を受け止めて意見書提出に結び付けることができたら良かったのかもしれませんし、そうすることが簡単だったかもしれません。が、やっぱり議会としてはもっと大きな視野で捉えたいというのが私の意見。このことが陳情された皆さんにどう受け止められただろう・・・・と思いながら、協議を終えたのでした。

「閑話休題・余話」  請願や陳情とか・・・・地域から気運、ムーブメントを醸成していこうということで、例えば政党中央本部などから地域それぞれの議員などに意見書ひな形みたいなものが提示されることも少なくありません。自治体議会から意見書をあげる動きは国を動かすため、国会での審議などをスムーズに展開させていこうとする動きを創るために各政党などが意図的に行うこともあります。もちろん市民団体が各自治体議会に働きかけをしながら、国に声を届けていこうとする市民運動型のものありますが、それはゴクゴク稀で、多くの場合は中央からのトップダウンで地域で対応している場合も多いです。


 何はともあれ、私としては例えば現行制度そのものを見たって面積基準とか人員配置の基準とか「今のままでいいの?」と感じる部分もなきにしもあらず。そもそも国が決めてしまうことってどうなの?と思うこともあれば、これらの基準を決めたのはいつの昔のこと?・・・という風にも思います。「落ち着きのない子どもたちが増えている」なんてことが言われている昨今・・・ますますますます手厚い人員配置も必要です!
 多摩市は他自治体よりも随分と手厚く保育の質の維持や向上を目指して取り組んでいることは事実で、もちろん中には「まだまだ不十分」との指摘もあるとは思いますが、私自身は今の中では精一杯やっているし、他自治体に比べれば評価してもいいと考えています。ですので、多摩市のような自治体が「より地域に裁量を持たせ、より実態に合った子育て施策を展開させる」という視点で国から権限をある程度委ねられることは希望があり、可能性もあるなと感じますが、これがスタンダードではないことが悲惨なのです。つまり、安易に国が制度改革を進め、各自治体に裁量を委ねてしまったとき、そこに当然見えてくるだろう「差違」をどう受け止めるのかが問われるのです。


 そんな観点も含めて、私たちは議論していきたいものです。多摩市では「保育制度の改革」云々とは別としても保育の質を担保していくための「多摩市基準」ガイドラインを策定する必要性を認識していて、すでに三鷹市の「保育所ガイドライン」などの調査をしているのだとか。


 とりあえず、多摩市としてはていねいに進めていきたいと考えていることが確認できてよかった。地域主権というのはさまざまな分野において「多摩市基準」「TAMAガイドライン」を要請するもので、これらなくしては取り組みを進めることすらできないとも言えます。


 阿部市長が掲げる地域主権、市民主権、市民自治の実現は「多摩市基準」の策定から始まりそうですね。ということで、つまりは「多摩市基準」なるものを決めるとすれば、そこに大いに議会も加わり、一緒に議論をしなければいけないということとなります。


 「脱・ひとりよがり」


 これが私たち議員に求められる古くて新しいキーワードになるに違いないと・・・独り善がりに思っていたりする夜でした。何のために議論をするのか・・・自分の意見を相手にわからせるためではなく、自分が相手の意見を理解するために議論をする・・・という視点が大事かもなあと。何事にもやっぱりバランスが大事。

投稿者 hisaka : 2010年12月15日

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