« 【今週の1枚】一足早くにやってきました! | メイン | 20年後のことを考えて・・・と言われても。 »

2010年12月13日

「心の病って言わないでほしい。」

 今日は朝の永山駅からスタート。私は思ったよりも寒くなかったのですが、どんどん冷え込んで足元ストーブ欠かせない一日でした。「カイロ使って!」と寄附をしてくださった方があり。寒い時にほっとする一言が心身を温める気がします。

 さて、今日は南多摩保健所が主催をする「統合失調症の理解と対応」という学習会に足を運びました。講師は駒木野病院の院長の菊本さん。もともとは東京都職員で旧府中病院や松沢病院、多摩の精神保健センターにも勤務経験があるお医者さんです。講演は主に家族向きで、豊富な経験から、「接し方」「考え方」などを中心に話をしてくださったのですが、その内容は私自身も仕事をしている中で配慮をしなければと気づかされること、そしてまた子どもに接する時にも気をつけなければいけないなと思わされることなどたくさんのヒントがありました。

 全国では300万人を超える患者さんがおられ、少なくともその背景にいる家族の存在も考えれば約1千万人以上、「統合失調症」に苦しんでいらっしゃるかたが存在すること。ごくごくありふれた病気であること、薬と上手くつきあっていくことの必要性、そしてやっぱり「人権尊重」という視点をきちんと持った対応ができなければいけないということを強調しておられました。家族も含めて、地域で孤立し、親戚づき合いをなくしてしまったり、取り残されていってしまう状況などのエピソードなど、事例の紹介もありました。今日の参加者は患者さんの家族会の方も多かったので、休憩時間に集められた質問用紙は20を超えているという状況。そのくらい悩みが深いということなんだろうと察した次第です。もちろん全ての質問に回答できる時間がなかったのが残念だったくらいです。


 伺った話の一つとして患者さんが「心の病って言わないでほしい。」というのがありました。「ちゃんと病名で診断されれば、治療しよう、治そうという気持ちになるけれど、『心の病』と言われると治療しようがないように思えてしまう。」と。「なるほどなあ」と先生は理解が出来たとおっしゃっていましたが、確かにそうかもしれませんね。
 よく「心に風邪をひく」という言い方をすることもありますが、私自身は統合失調症の治療をなさっている方には、「心がちょっと疲れすぎちゃったんだね」という気持ちで接するようにしています。悩みを一人で抱え過ぎてしまったり、気持ちの表現ができなくて重くなってしまったり、鉛の塊が心にどーんとのしかかってしまったらどういう気持ちになるだろう・・・当事者でなければわからないはずですが、寄りそって話に耳を傾けることのできる自分になりたいものです。


 悩みのつぼに入り込んでしまう前にどこかでホッとできたり、周りが気がついてあげたり・・・そうすることで統合失調症の症状を緩和することにつながることもあるようです。先日話を聞いてきた自殺対策にもつながっていく話だと思いますが、やっぱり地域全体の包容力が問われている気がします。ギスギスしない社会環境を目指したいですね。忙しすぎ、スピードが求められすぎる・・・みんなが余裕なくなる中で失われてしまったものが見えてくる気がする講演を聞くたびにそう思います。

投稿者 hisaka : 2010年12月13日

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
/2432