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2010年11月08日

「ここに来ているから、元気になれる」その②

 先月訪問した諏訪の「みのり」、永山の「よりあい」に引き続いて、今日は桜ケ丘の「さくら」を訪問しました。

 「一日社会科見学」という気分で、利用者のみなさんと一緒に健康体操をしたり、歌を唄い、そしてお食事をいただきました。「さくら」の場合は受託しているのが医療法人なので、健康体操は同じグループ内から介護福祉士の方がいらっしゃり、指導をしてくださっています。歌などについても音楽療法の方が来てくださっているとか。介護予防の健康体操は好評で、「この体操のおかげで」とにこにこされている方が多いのが本当に印象的です。「全く動かなかった指先、手が動くようになったのも病院のおかげではなくて、この体操のおかげ!」と何度も繰り返しお話をしてくださったおばあちゃんは86歳でした。ちなみに、「さくら」ですが、利用者さんの平均年齢は9月の時点で87.4歳とのこと。今日も92歳の方が数名おられた様子です。

 「いきがいデイサービスは介護予防のためにどのくらい貢献できているのか?」

 そんな質問も議会では行われますが、実際に利用者の方々の様子を見ていれば、そしてまたお話をすれば理解できる気がします。職員の方からは「さくらを利用するようになって、生活リズムが整い、再び台所で家事ができるようになった方がおられる。」という話も伺いました。貢献度を数値化することは当然ながら難しいわけですが、「ここにきているから、元気になれる」というのが利用者の皆さん共通の思いではないかと感じます。

 議会では、高齢者が増える時代に高齢者施策全体を見直し、「いきがいづくり」がデイサービス事業なのかといえば、もっと他の展開があるのではないかとの意見もあります。確かに財政的に余裕が有り余っている時代ではなく、趣味・スポーツなどいわゆる生涯学習と言われる分野に重点を置いていくことを優先させていくというのも考え方の一つだと思いますし、そう考えてきました。

 でも、デイサービスセンター3か所目の見学でも感じたことは、「ここに来なければ、閉じこもりになってしまう」高齢者が多いということです。そしてまた、今日の場合強く感じたことは・・・・利用者の皆さんは10年、20年前は地域の自治会やコミセンで活動もされてきて、いわゆる「卒業組」の方であったということ。「うちのお嫁さんくらいなら、コミセンでもいいかもしれないけれど、私はもう無理ね。」とおっしゃる気品のあるおばあちゃんは90歳!とか。


 ご家族の方と一緒に過ごしていても、やっぱり・・・遠慮があるようです。「息子夫婦のところに口を挟んだら申し訳ないから、家に帰ったらほとんど自分の部屋にいる。」ということをおっしゃった方に他の方も「私も」「私も」・・・と。「ここに来ているから、お腹から笑うことがあるの。お家ではなかなか笑わないでしょ。」。


 「いきがいデイサービスのおかげ」


 ということで、仮にもいきがいデイを整理してしまうとしたら、それに変わる地域資源を見出さねばなりません。やっぱり運営主体の責任という観点から考えて、利用者のご家族の「安心」をつくりだすという点で言っても、今のところ、変わる地域資源があるかと言えば、「あるようでない」というのが現状とも言えます。いきがいデイは65歳以上が対象と言うことですが、利用者さんの年齢層はぐんと高いことを考慮することも必要かもしれません。地域のケアシステムを考えた時、「いきがいデイサービス」をどう位置づけていきたいのか、むしろ行政に問われている気がします。


 「ここはとってもいいところだから、近所の方もお誘いするんだけれど、何か老人の施設だからなのか、体験しようともしない方が多くって。だけど、犬の散歩しかしないようだと体に悪いと思うし。お友だちができるし、やっぱり人とお話をするというのが一番ありがたいこと。」


 私の祖父や祖母と同じくらいの年代の利用者の皆さんから、いろいろなお話を伺うことができました。施設にいる祖父は、家族が少し訪問しない間に「言葉を忘れてしまう。」状態になってしまいます。実際にも祖母がなくなり、昼間の自宅で会話する時間が減り、そして記憶に障害が進みました。


 「日曜日になるとね、明日は『さくら』に行けると思うから、とってもわくわくして嬉しいのよ。」


 本当はもっともっと地域に利用されてもいい場所の一つ。聞くところによれば、ようやっと「いきがいデイサービス」の紹介パンフレットのようなものを作成したんだとか。厳しい財政状況と環境があり、サービスのあり方に見直しが迫られているとはいえ・・・・・では、果たして、一番最初に整理統合、廃止をするのはどのサービスなのか?を考る時、「いきがいデイサービス」が優先されるべきものなるのか?熟考していかねばなりません。次は「白楽荘」にも伺います。「ちょっと見る」だけではなく、一日体験してみると違った捉え方もできるようになるので。


 前回にしろ、今回にしろ・・・・とにかく受託している事業者は努力に努力を重ねて、利用者の皆さんにホスピタリティを尽くしていることだけは事実。ここはやっぱり評価されるべきだと感じます。「できれば、地域で見てあげたい。」とベストを尽くして何とか介護保険に移行しないように踏ん張っている職員と利用者のご家族と・・・・そこにある努力は凄いもの。いろいろなレクリエーションなど、講師の先生方も全てがボランティア。運営状況を想像することができますね。

投稿者 hisaka : 2010年11月08日

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