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2010年03月23日

だったら、民間委託に・・・・とはならない。

 子ども教育常任委員会がありました。今日は唐木田図書館、学校給食センターの民間委託問題について改めて議論のし直し。ずっと継続して審査を続けてきた陳情にもそろそろ結論を出していかねばという時期になっていました。

 結論からいえば、唐木田図書館の民間委託について反対する陳情については不採択(自民・公明・民主)。学校給食センターの民間委託に関しては全部で3団体からそれぞれ3つの陳情が提出されていて、2つについては不採択(自民・公明・民主)で1つについては採択(共産党・ゆい・民主)という結果になりました。

 意見交換の中で、図書館については「教育機関としての図書館の役割が理解できていない」という厳しいご指摘をいただいたのですが、「図書館のあるべき姿」をどこまで追求するのか×「市民の図書館に対するニーズ」にどこまで応えていくのか・・・・という問題の妥協点を見出していくことが必要です。
 時代環境の変化に対応できなければいけない・・・というのはその通りで、正直、財政的な観点抜きにして市民サービスの充実・向上を語ることはできません。「図書館の重み」を考えれば、安易に民間に任せることはできないという主張はその通りだと思います。でも、図書館に手厚くするのであれば、図書館以外のどこかにしわ寄せがいきます。どこかへのしわ寄せはさておき、理念を語るだけでは不十分。理念や理想を追求することは忘れず、行政が果たすべき役割と責任を放棄してしまっては本末転倒。でも、理念や理想を追求するための手法が必ずしも「行政」で!という時代でもないでしょう。


 ・・・・となると「民間でできるものは民間で」


 に対する批判が飛んできそうなのですが、民間に任せていくということはそれだけ行政に問われる責任がより大きくなるということ。それを認識した上で民間に委ねていくことを否定するべきではありません。「全く同じ内容のサービス」を民間は行政よりもコスト的には安価に行えるとしたら、なぜ行政はコスト高になっているのかを考えるべきですし、それが人件費であると認識するならば、よりコストパフォーマンスが問われること、市民の視線が厳しくなることを自覚した働き方をしてもらわねばなりません。それができなければ「職員不要」となるわけですから。ある意味で、民間委託を導入することを起爆剤にして、改めて職員を活性化させることにもつながるなら吉です。同じ図書館でも直営館と民間委託館があり、ある意味で市民も比較することもでき、職員は緊張感が持てるという効果が期待できます。(そんな効果期待しないでほしいという声もありますが。)


 というわけなので、職員が民間委託を考えるにあたり、内部で取り組んできた業務分析など膨大な資料をベースにすれば、図書館そのものに蓄積されてきたノウハウにも一定程度の信頼を置けるものと判断。唐木田図書館について3年間試行的に民間委託を導入していく方向にはGOサインを出せるというのが判断です。現時点では「指定管理者にはしない。」という言質をとれているのもポイント。なおかつ、図書館長は「窓口、カウンターサービスは図書館職員にとって不可欠な現場。」という見識をお持ち。これもまた非常に心強い言葉ですね。つまり、全部の図書館の窓口カウンターサービスについて民間委託を考えはいけないということになりますから。
 官民協働となるかどうかはわかりませんが、唐木田図書館での取り組みをきちんと評価していきたいものです。


*********ここまで前半*********かなり長いです*********

 かたや給食センター。こちらについても私は調理業務の民間委託化は避けて通れないと考えてきました。先般の一般質問でも、時代環境を考えたうえで民間委託化を認めざるを得ないとの認識を示してきました。ところが・・・・今日の質疑の中で明らかになったのは、言えない事情もあるやに推測はするものの、「給食センターのセンター長や所長は一体どんな監督責任を果たしているのか?」ということで非常に疑問になってしまいました。夏休み冬休み春休み・・・と休暇期間中の調理員の働きぶりに対する批判があるわけですが、はっきり言って、そういう働き方しか指示できていない監督者、上司の責任はどうなるの?ということです。職務怠慢だと批判され、休暇期間中には穴のあくほど鍋を磨いてばかりいるような調理員はいらないとの厳しい指摘・・・・その批判は調理員に向けられるものではなく、本当は監督責任者に向けられなければなりません。管理者の責任は大きいです。
 今日は休暇期間中の業務日誌が資料として提供されたので、その内容をつぶさに検証をしながら議論を進めたのですが、委員からは「この業務日誌の内容に虚偽があるとは思いたくないが、実際のことがちゃんと記録されているのだろうか。これには責任者もハンコをおしているけれど、本当にこんなものでいいのか。」という意見もあるほど。虚偽があるのかどうかは別としても、休み期間中に行っている作業について・・・・その必要性などを上司が十分に理解できていたのかを考えるとその説明がまずは不十分。もちろん教育長は「センター長は現場を十分に把握しています。」と答弁していたけれど、私はそうは思えなかったんです・・・・。


 傍聴者が今日の委員会について「実権は、現場にあって、センター長にはリーダーシップを発揮する場となっていないようです。」・・・・と率直な感想を述べておられましたが、本当にその通り。センター長はただの飾りだとは思いたくありませんが、センター長以下栄養士などいわゆる給食センターの管理に責任を持つチームが本来発揮すべき力を発揮できているのかどうか疑問に思わずにはいられません。


 なので、民間委託をするのであれば、その方向を否定はしませんが、「民間に任せるということは直営でやるよりもよっぽど行政には問われる責任が大きく重くなる」ということをもっと自覚してもらわねばなりません。その自覚が感じられなかったのが本当に残念。表現力不足とは思えなかったのです。まあ、自覚はあっても、そうさせない現場事情があるのかもしれませんが。


 私が賛意を示した陳情は、多摩市教育委員会として学校給食はどうあって欲しいのか、食教育へのビジョンをまずは示してもらいたいと主張し、給食の質を低下させないための実効的手段を立案して示すまでは学校給食センターの調理民間委託を控えてほしい・・・というもの。民間委託に必ずしも反対ではない・・・という意図をくみ取らせてもらいました。


 念仏のように繰り返し唱えている学校給食の姿「安全、安心、衛生的、おいしい給食」・・・・・それは当り前のこと。今はそれを超えて、子どもたちに伝えていかねばならない食文化の問題など、学校給食に求められる役割は大きく変わっているのです。


 完全米飯給食を主張する私に対しては「子どもたちはクリームシチューなども大好きなので、完全米飯にしてしまうと出せないメニューも出てきてしまう」というのが給食センターのご意見。でも、和食がどちらかと言えば苦手だと感じている子どもたちに「和食」の美味しさを伝えること、日本の伝統食を伝えていくこと、食べにくい和食メニューを食べやすくする工夫をしていく・・・ここが腕の見せどころでは?と私は思うのですが。クリームシチューをわざわざ学校給食で出さなくてもいいでしょう!と私は思います。子どもたちにとっての大好きメニューと言えば、カレーライスですから、クリームシチューは出せなくてもカレーライスは出せるから大丈夫!って思います。ただ空腹を満たす、栄養を充足させるという視点のみならず、「食育」の観点が付け加わった学校給食のあり方に教育委員会の見識が問われるというものです。


 お米を食べるということは日本の自給率を上げるということにもつながるのです。これも重要な観点。


 「調理員たちの実態を見るにつけ、高い給与に見合った働きぶりをしていない職場の改革に民間委託化を!


 という意見もわかるのですが、学校給食に対するビジョンが皆目感じられない中で「だったら、民間委託に・・・」と安易に進めることの危惧と不安を今日はものすごく感じさせられました。民間委託を進める前提条件が全く整っていない学校給食センターの現状・・・ここをどうクリアしていけばいいのか。「単なる調理業務」と言わないでもらいたいので。
 私が2つの陳情には反対、1つには賛成したことについて多少の驚きがあったかも。でも、「民間委託には慎重に」という考えに基づけば当然の結論です。もちろん、今の給食センターの調理業務の実態からはお世辞にも「よくやっている」とは言えないです。ですので民間委託化を視野に入れることは当然のことと思います。
 しかし、しかし、しかし・・・それ以上に問われる教育委員会の学校給食に対するビジョンがなさすぎる。


 今日は上記2つの問題に加え、協議会での説明も含め、重たい話題が目白押し。そんなこんなで終わったら19時過ぎていました。3連休中にまた風邪をひいて喉をやられました。随分なガラガラ声がひどすぎて。咳止めに助けられた一日でした。

投稿者 hisaka : 2010年03月23日

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