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2010年02月10日

何をどう目指していけばいいのか。

 選挙の応援はしばし休憩・・・というわけでもないのですが、今日は午後から藤沢市役所まで足を運んできました。

 藤沢市では学校給食について、センター方式調理からいわゆる単独、自校方式調理へと転換を図ってきた歴史があります。まちの規模は全然違うし、土地柄も違っているけれど、それでも学校給食センターを順次廃止し、各学校での調理に方針転換を図っているというのはすごいこと。ただし、中学校についてはミルク給食で生徒はお弁当持参です。最初は中学校でも学校給食があったそうですが、とにかく子どもが増えた時代に中学校までに学校給食を展開させていくのが難しいと判断し、それまで実施していた学校についても給食廃止をしたのだそうです。

 昨今・・・中学校でも給食を出してもらいたいという要請や要望も高まっているようですが、いまでは中学校ではお弁当というのが定着しているのでしょう・・・・朝の忙しさなどでお弁当をつくる時間がないご家庭のためには中学校でスクールランチ=お弁当を注文できる体制もあるそうですが、注文者は各学校とも1日に10人程度なので、むしろ弁当事業者さんが泣いている・・・現状もあるのだとか。


 というわけで、藤沢市の視察は非常に有意義でしたが、何と言っても給食業務に携わっている栄養士さん調理士のみなさんの活動が素晴らしかったです。年に1度の「学校給食フェア」の開催は今年で28回目。また、職員組合が中心になって出店しているそうなのですが、市民祭りなどでもブースを借りて、学校給食メニューの紹介(試食もできる)する取り組みなども行っているそう。積極的にまちに出かけて学校給食を伝えていく取り組みがあってこそ、市民からも理解されるのでしょうね。栄養士さんや調理員さんの思いを発信するからこそ、そこをきちんと評価してくださる市民が存在する・・・給食を食べるのは子どもたちだからと、その子どもたちだけを見た活動ではなく、税金で学校給食事業を運営しているわけなので、市民にも信頼される内容になっていなければいけない、そのための年に1度の試食会などが市民と学校給食を結ぶ信頼関係にもなっているのでしょうね・・・・何せ学校給食フェア28年の歴史があるわけなので。


 学校給食フェアで試食会などを行うと200~300食(実際の給食の4分の1くらいの量が一人分になるらしいですが)があっという間になくなってしまうそう。一度言ってみたいなあ学校給食フェア!って思いました。藤沢市は学校給食に力を入れていて、単独で調理を行っている学校にはすべて栄養士が配置されているそうです。話によると県費採用の職員ということで市が単独採用をしているわけではなさそうでしたが、市としてもきちんと県に申し入れて、定年者の追加で新人採用などもきちんとしてもらっているそう。


 とにかく藤沢市の場合にはセンター方式からの転換を掲げたのが1980年(昭和55年)のこと。どれだけ時間がかかっているかがわかるかと思います。もう30年になるわけで、それでもまだ4つ建設されていたうちの1つの学校給食センター(調理場)は稼働中です。多摩市のように給食センター方式で何でも一括でスタイル転換というわけにはいかないですが、給食の食器についてもアルマイト食器から順次強化磁器食器に変更して行ったりと財政的に厳しいとはいえ、少しずつでも着実にセンター方式を事項方式に転換しているという粘り強さ。脱帽・・・という感じ。でもやっぱり、なぜこのように取り組めてきたのかと言えば、市の総合計画にしっかりと位置づけられているからなんです。総合計画の中に「学校給食センターの転換」が高らかに謳われてきたからこそなのでしょうね。


 そういう意味で、今日感じたことは・・・・現状を是認したうえで次のステップを考えることもできるけれど、それとは異なって「多摩市の学校給食」って何を目指しているんだろう?っていうこと。


 学校給食に従事している職員の皆さんはどんなことを市民に伝えてきましたか?今、どんなこと伝えられますか?


 その前に、多摩市はどんな学校給食を目指そうとしているのか・・・その先が見えないのかもしれないとも思いました。食育が言われるようになり、より地産池消を目指して市全体を上げて、農政を担当している部署もあげて学校給食への取り組みをしているような気もしました。そういうテーブルがようやくできたともおっしゃっていましたが・・・・。藤沢市の場合は海にも面しているので、地元で採れたじゃこと地元産の小麦粉を使用してのかき揚げとかにも挑戦しているみたいです。いいなぁ・・・なんて思わず思ってしまいましたが、やっぱり、今、給食に求められていることは単に「安全で安心で継続して提供できる。おなかをいっぱいにしてあげる」ということだけではないのでしょうね。


 「昔と今とでは学校給食の役割が大きく変わってきたと思っています。」という説明をしてくださった栄養士さんのご意見。それには同感です。「食べ物が豊富にありすぎるから、却って大変なんですよね。見方を変えたら。」ともおっしゃっていました。

 「なるほど。」

 今の学校給食センターをどうする?という問題とは別に、もうひとつ多摩市が目指す学校給食の姿がどこにあるのかを考えてみないと。永山と南野にあるセンターを一方は完全直営による運営でもう一方は調理業務を一部民間委託化する運営するという図を描いている多摩市。直営調理給食と民間委託調理給食になることにより給食に差が生じるのではないかって懸念に対して、学期ごとにセンターそれぞれの所轄校を変えるということを想定しているというのも何だかよくわからない迷走した考えだと思うし・・・。直営調理給食と民間委託調理給食双方ともに給食に差は生じないという立場を貫く必要があるのに、「懸念に応える」なんて一見親切で、市民の不安にこたえるかのような姿勢・・・・でもはっきり言って、私に言わせればどちらがどういいのかはわかりませんが、「格差出ますよ」ということを暗に意味しているようなものだし・・・。


 色んな資料を見返していると本当に心配な点が出てきた・・・・。ということでしばし原点に立ち戻り、はたと考えたのが「多摩市の学校給食は何を目指しているの?」ということ。その答えこそが全く見つからないまま今に至っているのが藤沢市とは大きな違いなんだろうなあ。


 もちろん藤沢市でも職員問題は深刻で、正規職員の退職不補充などもあり、パート職員さんの力を大きく借りているとのこと。でもそれでは本当に正規職員がいなくなったときの経験の蓄積その他が皆無になってしまう恐れもあり、昨年度あたりから「学校給食調理業務員」という非常勤嘱託職員制度を導入し、民間で調理経験のあった人などを積極的に採用しながら、配置し、過去からのスキルを継続して伝承していけるような体制にしていきたいと考えているとの話でした。

 何はともあれ、どうやってこの問題考えていけばいいのか?藤沢市から学ぶべきことってどんなことなのか・・・?あれこれと考えて、昨日とはうって変わった寒空と冷気に何だか大きな深呼吸をして帰路についたのでした。

投稿者 hisaka : 2010年02月10日

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