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2009年10月22日

共通するのは・・・市長のリーダーシップ

 公契約条例とDV(ドメスティック・バイオレンス)の取り組みについて野田市までヒアリングに出かけました。民主党TAMAの2名だけで行くのも・・・と思い、他の会派の方にもお声かけをしましたが、急遽の企画だったこともあり、生活者ネットワークの向井さんとの3人で訪問しました。

 市役所最寄り駅は東武野田線の「愛宕駅」だそうですが、まだまだ未整備だそうで来訪者には「野田市駅」の利用でお願いしているとのこと。私たち3名も野田市駅で降り、先方の議会事務局の方に出迎えていただきました。東武野田線には柏駅での乗り換えだったのですが、柏駅で「野田市駅」のことを尋ねたら駅員さんが「キッコーマンの工場だらけで何にもないよ。」と教えてくださいました。・・・・その言葉通り、駅前には「キッコーマン」工場があり、お醤油らしきかおりが漂っていました。「キッコーマン総合病院」という名称の医療機関の看板を見つけて、これまたびっくり!

 
 それはさておき・・・・ヒアリングテーマであった公契約条例とDV被害者の支援について。後者についてはこれまた数年来・・・「野田市に行ってみなくちゃ!」との念願果たせたという感じだったのですが、両方ともに職員の方から非常に充実して説明をしていただくことができました。(以下はメモ)

◆公契約条例
・2005年に全国市長会を通じ、公契約に関する法整備をしてもらいたいという意見書を上げている。それから4年経過している。
・昨今の状況を考え、市長は昨年の10月にいよいよ公契約条例の制定を決めて職員に指示。
・制定過程での情報公開が不十分との指摘は一部からあったが、議会でも全会一致で可決。
・制定過程では非公式ながらも労働組合や建設事業者の方々にヒアリング、意見交換はしてきた。
・条例の適用範囲はとりあえず限定している。事務的にも初めての試みであるため、まずは取り組んでみて、そこから改善を図っていきたいと思う。(建設・土木事業は1億円以上の契約・それ以外については1千万円以上の契約が該当。)
・この条例を制定する大きな意義としては、自治体発で国を動かし、国に公契約への法整備を迫るところにある。したがって、制定後、全国すべての市と東京都23区に対し、「ぜひとも、公契約条例をそれぞれの自治体で制定し、国に対する法整備を求める動きを作っていこう」という趣旨の提案分を添えて条例分を発送している。
・公契約条例に対する全国からの問い合わせは圧倒的に議会関係者が多く、残念ながら行政関係者は少ないのが現状。
・市長の指示があり、リーダーシップがなければ、他に事例もないような公契約条例を制定することには二の足を踏んだかもしれない。

◆DV被害者に対する支援
・これは女性の総合相談の一つ。ワンストップサービスと言える。ワンストップサービスは市長の公約。「たらいまわしはしない」→野田市には障害者に対しても総合相談窓口が設置されている。
・市長は千葉県の男女共同参画に関する懇談会の委員もやっていたので、本課題に対する認識も深かった。
・公設でシェルターを確保している理由は、被害者をすぐに保護するためには地元にシェルターがなければ対応できないから。(千葉はものすごく広い。県のシェルターは千葉市にあり行くまでにも時間がかかりすぎる。)
・DV被害者の支援が各自治体で広がっていくだろうと想定して、野田市の仕組みを作ってきたが他の自治体ではなかなか進んでないのが現状。その理由は厚生労働省が本腰を入れていないからではないかと分析している。男女共同参画(内閣府)の取り組みの一環として行われているため、各自治体でも企画部などに「男女共同参画課」などが設置されていることが多い。しかし、野田市では特にDVについては児童福祉・高齢者福祉・生活福祉関連にも密接することが多く、これに力を入れながら女性支援を行っているので「保健福祉部」に男女共同参画課を設置しているのが特徴。連携が図りやすい。
・男女共同参画課の職員は課長を含めて3名。十分にやっていける。「女性が窓口に相談来た場合にはすべて連絡を。もしくは担当課に回してもらえば対応する。」としている。その意識は定着している。
・女性に対する相談は「女性が」・・・と思われがちだが、そんなことはない。相談者を見極めてあげてあげることが大事。話をまずは聴くことができれば性別は全く関係ない。(実際に野田市の担当者は男性と女性。今日説明してくれたのは男性職員さん。2003年に農政課から転身させられたらしいが、かなりDV支援に対する知識も深く、また多くの事例を経験していて、それらの現場の状況を踏まえながら説明していただきました。)
・市長が「やる」と決めて、リーダーシップをとらなければここまでは進んでこなかっただろう。
・ほかの自治体ももっと進めてもらわないと!他自治体から野田市に「どうしましょう?」と相談が来ることも多くて、そのことに「どうしましょう。」って困る。


以上が私的メモ。・・・感じたことは・・・「市長がやろう!」と決めたことだから、職員は否が応でも動かざるを得ない状況になり、その範囲ではものすごく汗をかいて仕事をしているということ。ボトムアップ方式ではなくてトップダウン方式!・・・・もちろんトップダウン方式に対する賛否はあると思いますが、異口同音「市長の決断がないとここまでは進まないでしょうね。」ということでした。
 決断したからにはご自身が責任をしっかりととる・・・ということにもなるのでしょうね。


 ・・・・って野田市の市長さんは5期目だとか。うーん、ちょっと多選すぎません?なんて思う面もありますが、それでも「ふさわしい人」として市民が選ぶわけですから。もともとは旧建設省の方で野田市に副市長として出向されてきた方なんだそうです。


 野田市と言えば「まめバス」。バス車両の頭に「枝豆」が帽子のようにちょこんと乗せられていて、とてもかわいいのです。走っている姿もかわいらしい!時間があったら、乗りたかったなあ♪でも、残念ながらこの車両は生産終了・・・・新型車両に変わっていくのも時間の問題になるみたいです。

 ちなみに野田市への行政視察は①公契約条例②まめバス③DV支援というのが多く、今月来月は毎日のように公契約条例に関する視察受け入れをしていく状況なんだとか。そのくらい注目されているということですね・・・・実際に制定されるかどうかは別としても。多摩市でも制定の必要性を感じますが、その認識をまずは議会内で広げていく必要がありそうかな。

 そう・・・これに関連しては板橋区の指定管理者に対する話題。(日経新聞より)

◆指定管理者人件費算定見直し 板橋区 上限基準を撤廃
 板橋区は、区施設の運営を民間などに委ねる指定管理者制度について、指定管理者の人件費の算定方法を見直し、同制度で運営する施設で働いても自活できないワーキングプアが生まれるのを防ぐため、従業員の人件費上限を、区職員の6割とする基準を撤廃したほか、非正規従業員は、区の臨時職員と同水準の賃金とするなど、人件費等を定める指針を策定しました。

 区立図書館・高齢者施設など同制度を導入する約40施設を対象に、2010年度から適用する予定。正規従業員は、民間の給与実態を踏まえた額に変更し、派遣社員ら非正規従業員の賃金は、区の臨時職員に払う時給(900円)やハローワークの求人情報などを参考にするよう定めました。

 板橋区は、区の負担する指定管理料は増える見通しだが、雇用環境の改善には必要と判断した(政策企画課)と話しています。

投稿者 hisaka : 2009年10月22日

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