« 9月定例会 生活環境常任委員会 | メイン | 9月定例会 議会改革特別委員会。 »

2009年09月15日

9月定例会 子ども教育常任委員会

 今日の委員会の審査案件は陳情1件。「唐木田図書館(仮称)の運営について、市の直営を要望する陳情」でした。多摩市に中央図書館をつくる会が陳情団体です。

 この件については私も先の一般質問で取り上げた事項です。いわゆる当該新設する図書館に関し、「直営を基本としつつ、一部民間業務委託」の方針が固められつつあることに対し、市民から不安の声が上がっているというわけです。陳情団体は、直営が望ましい一番の理由として「私たちの図書館宣言」を挙げています。その中でも市民の図書館発展の願いを実現する方法というのです。ちなみにこの宣言は下記のような内容になっていて、図書館友の会全国連絡会が決議をしたもののようです。

私たちの図書館宣言

 図書館は人類の叡智の宝庫です。安らぎと交流の場として、情報発信の場として、
私たちの自立と地域社会の発展になくてはならない施設です。

私たちは、ここに図書館のあるべき姿を掲げます。

一 知る自由と学ぶ権利を保障する図書館
二 いつでも、どこでも、誰でも、身近に無料で利用できる図書館
三 資料・情報が豊富に収集・整理・保存されている図書館
四 司書職制度が確立され、経験を積んだ館長と職員がいる図書館
五 利用者のプライバシーを守る図書館
六 情報公開と民意に基づく図書館協議会が機能する図書館
七 教育委員会の責任で設置し、直接、管理運営される図書館

私たちは、この実現のために、図書館を支え、守り、すべての人と手をつなぎ、
図書館とともに成長することを宣言します。
                                  
          図書館友の会全国連絡会

 この宣言はおそらく財政難を理由に、全国的にも図書館業務を民間化している流れに歯止めをかけたいという思いから発せられたものだと考えていますが、行政組織を縛るような性格のものではなさそう。もちろん「あるべき姿」としてはなるほどと理解するわけですし、その通りだとも感ずるわけです。しかし、これを根拠に行政に訴えていったとしても、共感は得られて終わってしまいそうな気がします。現実現状と照らし合わせて、将来的な展望をどう描ききることができるのか・・今そのことが問われていますが、その時にこの内容をどうどこまで網羅していけるのかは・・・今すぐ安易に答えを出せるものではありません。
 

 新たに図書館を増やす=業務量は増える=しかし、図書館に対する人事配置が手厚くなる可能性は薄い・・・なんて、勝手に方程式を作って、将来展望を想定してみたりしますが、今現在でも図書館が本来果たすべき機能や業務でやりきれていないものもある(年月重ねるということは、それだけ時代環境の要請として求められる内容にも変質が迫られるし、多様化する価値観に対応しなければならない図書館の業務は増えていると言える。)→今、やりきれていないものをやりきれる体制をまずはどう構築するのかが課題→にもかかわらず、また新館がオープンする・・・・って自転車操業・・・・図書館業務はまぎれもなくどんどん深みに入って、押しつぶされそうになっている職員たちが目に見えるよう。

 って書いても・・・・「図書館はパラダイス」なんて言い回しを耳にしたこともありますが、なぜか職員内での位置づけは図書館の業務は「楽」という評判があることも事実。なので、ちょっと体調的に万全でない人が異動を希望する先であったり、そしてまた・・・とても言いにくいことですが、長期病欠者が非常に多い割合で存在する職場の一つだったりするのです。(これは人事課の問題)。職場として考えてみたとき、配置されている人数のうち稼働率どのくらい?なんてことを考えると・・・・一人の職員がカバー、フォローせざるを得ない状況が日常茶飯事とも言えるわけで、現場現状の大変さを生み出している人事当局の責任はこれまた重いものがあります。
 図書館という職場には余裕がなく、余裕ない分・・・新たな業務展開を期待することは難しい上に、現状でこなすべき業務をどこまで「質」も維持してこなせているのかというのは・・・・再検証することが必要になるはずです。


 この人事配置をどうするのか・・・みたいな問題で言えば、現場の実態を認識すること。そして市として図書館の運営をどうしていきたいのかという大きな方針、その認識に深くかかわってくることだと感じます。


 というわけで、私の耳には「図書館のカウンター業務くらいは民間でも十分対応できる」「府中や稲城の例を見てもわかるように民間業者が活躍している!」という意見も入ってきます。その意見を覆せるくらいのパフォーマンスを出せなければ、直営を市民に納得していけない時代に入っているような・・・私はそんな気もしています。市民が図書館に求めていることは何なのか?・・・図書館は貸本屋ではないけれど、「気軽に読書でき、本を借りることができ楽しむことができる。」という機能だけで充足している市民も多数いるという事実にも目を向けながら、しかし、図書館が資料収集と保管を適切に行い、知を紡いでいかねばならないという責任の果たし方を考えていくべきなのでしょう。
 本来は直営で運営し続ける方が望ましいとしても、現状のパフォーマンスしか出せないようであれば、他の手法を検討すべき・・・という意見も出てきて当然です。


 何はともあれ、「今、市民が図書館に求めていること」そして「図書館が今、抱えている課題」・・・これをきちんと出し合う場が必要です。

 図書館はこれ以上業務を増やせずにお手上げ状態?!もしくは、もっと違った形で図書館サービスの内容を高度化していきたい、充実していきたい?!本音をもっともっと探っていかないと。そして直営でできることなのかどうか検討していかないと。運営するために最良の選択をして欲しいですね。図書館だけではなく、その他のことにも税金を使っていかなければならない・・・・行政が担う事業として何を優先させていかねばならないのか・・・・そこに市民も向き合い、あらゆる意味で厳しくなっている時代を乗り越えていくために解決策を模索せよ!・・・・こんな風に未来から宿題を突きつけられている気がします。(図書館だけのことに限りませんが。)

 
 そもそも、今、前提となっている中央図書館(機能に留まる?)+7つの地域図書館で多摩市の図書館政策が完成するなんていう構想そのものに検証を加えてもいいのかもしれません。構想そのもののダウンサイジングを考えたなら、違った選択肢が生まれてくるかもしれませんね。今回の「直営を基本とした一部業務委託」という方針が図書館職員内部での議論の積み上げにも支えられている面がありますが、なぜ職員たちがそう判断せざるを得なかったのか・・・そこも含めてまだまだ明らかにされていない部分がありそうです。


 そんなわけで、今日はこの陳情には結論を出さず、現状分析や今後の見通しに対する行政側の見解やらをもう少し詳細に調査していくこととなりました。と思いつつ・・・私たち議会は図書館に何を求めているのだろう?議会として図書館のあるべき姿をどう考えているのだろう?・・・と議論してみたくなったのでした。

投稿者 hisaka : 2009年09月15日

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
/2083