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2009年05月11日

都の役割って?

 東京自治研究センターが今日から3日間連続で行う学習会に参加しました。その名も「東京都政この10年・これからの10年‐3夜連続シンポジウム」。今日は福祉政策と言うことで、児童福祉分野からはカリヨンこどもセンター理事の前田信一さん、保育園を考える親の会代表)の普光院亜紀さん、そして障害福祉分野からはDPI日本会議事務局長の尾上浩二さんがパネラーでした。本当はお一方ずつじっくりと話を伺いくらいの発言者の面々。私にとっては'豪華版’の発言者がズラリ!でした。

 それぞれ活動されている分野は違うと言え、問題意識や課題には共通点があり、やはり最終的には「どこにどうお金を使うのか」というようなところにまで集約され、都政のかじ取りをするトップの意向こそ問われる、「知事を変えないとどうしようもない。」という印象を受けました。まあ、そのために?知事に対する牽制機能をきちんと働かせることのできる都議会が必要で、そのために2ヶ月後に迫った都議会議員選挙に向けていこう・・・・という話なのかもしれませんが。
 いずれにせよ、選挙云々は別にして・・・・福祉改革の根底に流れている「自己選択」「自己責任」「自立」という価値観の在り方にはどうやら問題がありそうで、社会全体でその「価値観」を問う必要があることは間違いなし。親を選んでいのちを授かったわけではない子どもやハンディを携えて生きることを余儀なくされている人たちに飛び越えることを要求しているハードルがあまりにも高すぎることに話を聞いているだけでも辛いものがあります。

 障害福祉分野からの発言者の尾上さんは東京都の取組がが国に与えるインパクトの大きさを語っていました。過去から検証してみれば国のロールモデル的になった施策もあり、もともと大阪府民であった時代には東京都をうらやましく思っていたと話をされていました。
 「なるほど!やはり東京都の影響力は大きいのか!」と理解したところで、保育分野からの発言者普光院さんが「今、東京都は認証保育所を国に売り込んでいる」と発言・・・・「ややっ・・・・・」これはどう考えれば?国が待機児解消のために認証保育所にお墨付き与える時期がすぐそこまで来ているとしたら?・・・・。

 また、「国の受け売りで地域の創意工夫に即した施策の展開を市区町村に押し付けているだけなら、東京都はなくてもいい!」と尾上さんの大胆な発言には私も賛意を表したいと思いましたが、まさに東京都が一体どんな役割を果たすべきなのかは焦眉の課題。一見・・・「地域の創意工夫」はご尤もだけれど、都は「やりたいならどうぞ」的な対応が多すぎるというのが当事者運動をしている方々の印象らしい。施策のメニューをどう選択するのかは市区町村に主導権=市区町村任せ。今どき、市区町村も自身の持ち出し分が多くなり財政負担が重くのしかかりそうな施策メニューは当然に遠ざけようとするわけで、それに目を背けているような傾向もあるのだとか。・・・・だったら「東京都はいらない」との憤るのも当然のこと。「ひと・もの・金」に都がどんな支援をしていけるのかを考え、障害者福祉全体の向上を誘導していくべきでしょうね。
 ということで言えば、児童福祉、とりわけ児童虐待分野の現場を歩いてきた経験者の前田さんは都児童相談所が担ってきた相談機能を市区町村の子ども家庭支援センターが肩代わりしていくような制度変更に危機感を示し、市区町村子ども家庭支援センターのスタッフの構成に正規職員が少なく、不安定職場になっている状態を改善する必要性とそこに都がどう支援していけるのかがポイントだと話をなさっていました。まさに担う「ひと・金」といった部分です。


 どれもこれも示唆に富む意見ばかりで「もっと話を聞いていたい」という心境だったのですが、一番切実に感じたことは「人材」の問題。福祉分野を担う人材の枯渇が進んでいることは間違いなし。低賃金でハードな労働環境の改善は都のみならずの問題だとは思いますが、担う人が育たなければどんなにかいい施策メニューを示したとしても動かないでしょう。福祉人材、とりわけ介護人材に関してはその低賃金が問題になりましたが、福祉労働は「ボランティア精神」が歪んで求められているようにも感じられるほど正当な対価を得られる職場にはなっていない場合が多いのが実態です。保育人材だって同様。保育人材で言うならば「公私格差」問題は昔からずっと指摘されていますが、多摩市内でさえ公立と民間保育園の賃金格差の開き・・・・議会でもあまり大きく問題にはされていませんが一目瞭然なはずです。公立の保育士賃金が基準になり民間の保育士への対価が支払われているわけではないのですね。そして、ここへ来て都独自施策で待機児を解消しようと進めている認証保育所の実態を把握すれば、若い保育者、低賃金・・・・という現場が見えてくるわけです。「低賃金では続かない」・・・続けられないと諦める人もいるのでしょう。

 どこにどう水準設定をするのか、その基準をつくるのか・・・・都の果たす役割はやはり大きいと思います。市区町村の創意工夫・・なんて言葉で片付けられたら困ります。やっぱり知事に物言える都議会をつくることが直近の優先事項ですね。都知事を変えるのはまだ先の話ですので。


 ちなみに、私は参加できませんが、明日は「まちづくり・都市再生」。明後日は「金融政策・新銀行東京」が学習会の課題です。

投稿者 hisaka : 2009年05月11日

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