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2009年04月23日

公立病院についてちょっと知識を得る。

 東京自治研究センターの月例フォーラムに参加しました。テーマは「都立病院・公立病院の果たすべき役割」。講師は星和夫さん。星さんは元青梅市立総合病院長をなさったあと現在は別の病院に移られていますが、病院経営という視点で財政環境厳しい青梅市の病院で「黒字経営」なさっていたという実績があり、都の医療関係の審議会その他でも委員をつとめられ、今でも特に公立病院改革という点では各地から引っ張りだこなよう。さすが・・・・元気。高齢でも頭脳明晰で闊達と言えば思い出す日野原重明さんと同様に、パワーポイントの資料を使いながら明瞭明確に講演なさる82歳のお姿にはそれだけで圧倒されます。

 星先生は医師不足、看護師不足を招いている状況は厚生労働省の原因でこうなることは最初からわかっていたことだと指摘されていました。公立病院はさらに総務省の公務員改革=削減の余波も大きく受けていて、病院職員である医師その他の数もその一環で減らすこと余儀なくされているという全くおかしな状況になっているのだそうです。つまり、公務員改革で人員削減迫られている自治体・・・・病院で雇用する職員を減らさなければその分事務の一般職員を減らねばならず、なかなかそれもでききらないから同じように医師数も看護師数も減らすということになっているわけです。
 そのため例えば看護師一人あたりの患者数にしても民間病院では1:7なところ、公立病院の平均は1:10で、改善もできなかったり、また医師などの給与も人事院勧告に基づくため一般職員の給与と同じように賃金カットが行われてしまい、人材が民間に流出してしまうとか・・・・制度そのもの根本からあり方を考えないとそれこそ疲弊するということでしょうか。


 多摩市には幸か不幸か公立病院はありませんので、公立病院の赤字会計が財政を逼迫させる状況は免れていますが、全国自治体病院を所有しているところはどこも厳しい環境で経営改革のための処方箋が描けないまま暗礁に乗り上げているところは多そう・・・・それは見聞きする報道などからもわかることです。市議会でも病院経営や病院改革が話題になることは少ないですが、実は公立病院改革の話題は決して他人事でありません。市内には「多摩南部地域病院」という実態は東京都経営としても過言ではない施設が存在します。・・・・ちょうどタイミングよく情報を伺ったのですが、産婦人科の医師確保が困難な様子でこのままでは閉鎖の危機?!(6月末以降)の様子。女性外来も同様。さらに小児科も本来は4名定員であるはずが2名体制になっているのだとか。地域で安心して医療が受けられる環境を整えていく、しかも南部地域病院は都立病院改革の中でも「地域病院」としての位置づけがされており、その視点からの充実は市民にとっても不可欠なことです。


 先生は公立病院は民間病院ではできないことをやるべきで、採算取って云々と考えるとでき得ない高度な医療など公立病院はもとから採算合わない治療を行うような場だと指摘しています。特に都立病院は地域の病院ではできない高度・先進医療を行うべきであり、その点では東京都の病院改革は賛否両論あるのかもしれないが、考え方としてはあるべき姿にむかっているのではないかと高く評価されていました。


 例えば今でもまだ反対の声もありますが、都立小児病院の統廃合問題についてもそれは決して否定すべきことではなく、統廃合して格段に病院としての質の向上が保障されるといいます。治療のための検査機器その他を考えても、高度医療拠点として新たに位置づけされた病院が併設されている方が都合もいいのだと。いわゆる合理化のための「集中化」になるわけで、そのことへの懸念はあっても確実に水準高い医療を提供するとの視点に立てば十分であり、そもそも初期段階での地域医療と都立病院がが果たす役割を考えても間違った方向で都立病院改革が進んでいるわけではないとの見解を述べておられました。


 でも、南部地域病院は高度・専門の病院と言う位置づけではないところがミソ。ここの認識は持って、行方を見ていかないと。

 何はともあれ、地域医療をどう確保していくのかについて公立病院が存在しないだけに議会全体として問題意識を共有する場面は少なかった気がしますが、市民の安心をつくるという視点では無視できないところ。「あー、勉強しないと。」・・・・。地域課題として共有化していかないと。

投稿者 hisaka : 2009年04月23日

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