« 動きが鈍いのはなぜか? | メイン | 落ち葉集め。 »

2009年01月15日

学校図書館訪問記~荒川区立赤土小学校

 初・・・舎人ライナーに乗りました。なぜなら、赤土小学校への見学のためです。何と!「赤土小学校前」という駅があるのです。本当の本当に駅前に学校がありました。大通りに面していてはいるもののこじんまりした外観・・・何と創立84周年という歴史があるわけですから地域の人たちとの関係性も深いのだろうと思いました。今日の目的は「学校図書館」です。実は今月中に多摩市外3つの小学校の見学を予定しています。残念ながらすべて23区内なのですが、その理由はやはり財政的な余裕のある23区内の方がいろいろな意味で恵まれているからだと予測しています。全体的に財政は縮小気味だとはいえ、学校予算一つとっても23区内はやはり恵まれているのが実情だからです。

 というわけで、なぜ赤土小学校に行くのかといえば・・・・・「学校図書館との連携を深めた教科等の指導の在り方」なんて研究をしていることがわかったからです。何しろ私は図書館政策のことをかじり始めたら、学校図書館を無視しては語れないことがわかり、子どもたちの育ちにとっても読書活動が有効で、今後の学習指導要領の見直しにあたっても「読書」が重要な位置づけになっているからです。
 なので、多摩市内全小中学校に配置されている学校図書館司書を活かす方策をしっかりと打ち立てていきたいと思っています。
 
 赤土小学校は文部科学省からの視察、学校図書館ではかなり先進的に取り組んでいる千葉県の袖ヶ浦市からの視察なども受け入れていますし、その他多数の地域からの来訪者があるようです。もともとは2004年、2005年の2カ年で取り組んだ研究が礎なっているようですが、そこの蓄積の上に積み重ねている実践が着実に育まれている気がしました。

 学校図書館には「指導員」という司書資格を持った方が配置されています。多摩市と同様に非常勤の勤務のようですが、子どもたちのみならず、先生たちにとっても欠かせない存在で、「図書教育」全般をサポートするという重要な役目を担っています。

 それもこれも、学校にきちんとした図書館経営計画があり、それを策定し、実際に活用していくための「学校図書館運営委員会」がしっかりと学校組織の一角に位置づけられていることが成功の秘訣。日常的な教育の実践で学校図書館をいかに活用していくのか、それぞれの教科、単元に学校図書館司書がどのように関わっていけばいいのかが、共有されているわけです。さらにそこには保護者の関わりも明示されていくため、先生たちも取り組みやすくなるわけです。
 もともと地域とのつながりが深いこともあり、図書館ボランティア(なでしこクラブ)が組織され、学校図書館司書さんだけが孤軍奮闘しなくても、子どもたちが喜ぶ季節や読み物にあった図書室の装飾などに協力してくださる方々がいらっしゃいます。なでしこクラブの方々は顔写真入りでちゃんと紹介されているので子どもたちとの距離も近づきます(もちろん保護者の方々中心ですが)。今日も「ひなまつり」用の飾りの作成に4名の方が集まっておられ、なでしこルーム(赤土小学校自慢の図書館ルームの一つ)で活動をなさっていました。

 赤土小学校には全部で3つの図書館があります。ひとつは「なでしこ」でこちらは文学その他読み物中心、それから「まなびや」は調べ学習室で調べ学習の時間に活用するような本が揃っています。それからもうひとつ「あかどっこ」という部屋がありますが、ここはいわゆる多摩市でいえば「行政資料室」のような場所。新聞の切り抜きファイル、郷土史その他、修学旅行先の資料などが置いてあります。この3つの部屋を司書教諭の先生と日常的には学校図書館指導員さんが全体をコーディネートするといえばいいのだと思います。さらに、コンピューター室は図書館ルームの隣に配置替えをしたとのこと。インターネットで情報を得ようと思っても、それが上手くいかなければ図書館に来て調べることも可能・・・ということで特に調べ学習の際にはコンピューター室と図書館を行き来しながら情報収集する子供たちの姿があるそうです。


 そんな赤土小学校の図書館も一気に完成度高いシステムができたわけでもなく、決して潤沢ではない予算をやりくりしながら書棚や机をそろえたり、照明器具を取り付けたり、教室の壁は主事さんにペンキで塗ってもらたり・・・・という数年来の取り組みによってここまで到達しているということです。


 しかし、私が感じたのはやはり「方針の明確さ」です。それも赤土小学校そのものに方針がしっかりと位置付けられているのみならず、荒川区教育委員会が「図書教育」に力を入れておりバックアップ体制が整っていることがあげられます。


 これって、「隣の芝生は×××・・・・」かもしれませんが、しかしインターネットだけの情報だけで見ても荒川区は学校図書館に力を入れていると思います。ただし、多摩市内の学校図書館も実際に見に行く必要があると考えているのでそれは他市の見学を終えてからと思っています。


 ところで、赤土小学校の校長先生はとてもユニーク!日記を毎日更新されていて、そのお人柄を垣間見ることもできるのですが、それ以上に校長室に入ってびっくりしたのは先生が直々にデッサンをした全職員の方の似顔絵が貼ってあったこと。展覧会で発表した作品とのことですが、すばらしいデッサンの作品がありました。さらには校長先生は卒業生の似顔絵についてもすべての6年生のデッサンをしてあげるのだそうで、モデルになるべく卒業生が途中で校長室を訪れました。(あいにくも私に応対していた校長先生・・・「ごめんね、今、お客さんだからあとからもう一回来てくれるかな。」・・・・というわけで私はお忙しい先生のお時間を午前中いっぱいいただいてしまったのです。)

 さらに、校長先生の子育て論もユニーク。「テレビを買うなら・・・・」ということで、テレビをお家に置かずに子育てをなさったのだとか。その御子息はお一方はプロの棋士で、その弟気味はアームレスリングの大会でチャンピョンになったこともあるという武道家なんだそう。もともと校長先生は長男で自営業の後継ぎを予定されていたけれど、家父長制で当時の家を仕切っていたおじいさまに「好きな道を進むことを許してもらえた」という経験があり、子どもたちの好きな道をそれぞれ選ばせて進ませてきた結果なんだとの話にまで花が開いてしまいました。


 そして、校長先生がおっしゃっていた印象的だったこと。「学校では学力も大事だけれど、やっぱり「自分だけが良ければいい。」「自分さえ良かったらそれでいい。」ではない気持ちを持てる人を育てていきたい。」


 あくせくしている世の中。ついつい自分のことだけを考えざるを得ないくらいに余裕なくなる状態は大人だけではなく子供たちの世界にも・・・・先生の言葉にうなづいてしまいました。ご多忙な時間を割いての対応にも関わらず、穏やかにゆったりと対応をしてくださりありがたく感謝感謝でした。

投稿者 hisaka : 2009年01月15日

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
/1907