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2008年12月15日

12月定例会 文教常任委員会

 開会前から重苦しい雰囲気。この定例会では一番のヤマが今日の委員会だったと思います。案件は豊ヶ丘と貝取地域の学校統廃合の件。教育委員会が提出していた青陵南小学校、青陵北小学校の新設のため条例改正の審査の行方に注目が集まっていました。

 結果的には委員会では「否決」。日本共産党、ゆいの会そして私(民主党TAMA)がこちらの立場。「可決」は公明党と生活者ネットワーク。自民党は委員長なので採決には加わっていません。

 同じ「否決」であってもその理由はさまざま。私たちの会派では今回の否決の理由を下記のとおりです。
 ①「青陵北小学校」「青陵南小学校」という校名の決定手続きに地域の声が反映されていないこと→例えば対等合併で新設校を設置する際には必ず「校名」決定の手続きに地域が加わっている。青陵中学校の場合にも新校名称を市民から募集し、生徒も参加するかたちで決定してきた。今回はその手続きをとっていない。もし、このような手続きを経た場合には学校の名称についても地元の歴史や由緒ある名称「貝取」「豊ヶ丘」にこだわる意見も出たかもしれない。

 ②最終段階において「説明不足」という観点から陳情が提出されてしまったことは、ていねいな説明を地域には行ってきたとする教育委員会にある意味「思い違い」があったと認められる(結果的には説明の不十分さを指摘できる)。統合新設校は平成23年4月から開校する予定であるため、時間の猶予が全くないわけではない。もう一度、説明手続きを経るべきではないか。


 会派としてのまとめは以上の2点なのですが、私自身はそれ以上に・・・・・教育委員会の「学校の適正規模」という考えに100%納得はせずとも教育委員会の高い見識のものとで決定された方針だと認める立場として・・・・・・数年後にはまた「適正規模」に不適合となってしまうこと、その可能性が十分に予測できるにも関らず、そしてまたその危惧をすでに教育委員会の議論でも明らかにしているのであれば、ほんの数年間だけに目を向けるのではなく、もっと先のことを見越した対応を図るべきだと考えています。既にある4校を1校にしても、多摩市の他の地域の「1校」にぎりぎり規模が並ぶか並ばないかとの状態にあるわけで、それこそ4校を2校にするのか、1校にするのかではもっと将来を見据えた対応も考えていいはず・・・って思います。

 でも、一方で私自身はまちづくりのことを考えれば学校の規模以上に「適正配置」の考え方も大事になってくると思っていて、それこそ今だけを見据えて4校を1校にしてしまうというのもまた異なると思うのです。

 つまり、教育委員会は「子どもの教育環境のためには適正規模が必要」として、現在ある「学校の一定規模・適正配置の方針」の考え方を伝家の宝刀の如く取り出しては、小規模校がいかに望ましくないのかを理屈つけしているわけですが、そうであるならば、「統合新設校がスタートした数年後からまた小規模校化」がわかって対応を進めるのには納得がいきません。「一定規模」の考え方に変更を求められているのではないか?と思います。


 教育委員会は数年後に小規模校化しないように何とか危機回避対策を考えたいと地域にあった「小中連携の推進校」にして、学校選択制による他地域への子どもの流出を防ぎ、魅力ある学校づくりにより他地域から子どもを呼び込めるようにしていきたいと示していますが・・・・・これについては教育委員会の議事録を読んでもわかるように危機を乗り越えるための「希望」「夢」の範疇でしかなく、今、そのことが具体的に示されているわけでもなければ、そのことに対する研究その他の蓄積が行われているわけでもなく、ましてや学校統廃合後について専門的にサポートするような教育委員会内部での人員体制を組んでいるわけでもなければ、そこにどれだけの「金」「人」を投入する腹積もりがあるのかも示されているわけでもなし。
 そんな状況に「はい、そうですか。頑張ってください。」と安易に頷くことがどうしてもできません。それこそ教育委員会の現状を(傍観かもしれないが)見ている私にとっては無責任な判断になってしまいます。そうでなくても教育委員会には他の課題も山積みで財政のやりくりについても自転車操業状態。しかも、学校を統合するだけでも大変なのに、その上に統合新設校で「小中連携の推進」を積極的に進めようとするとどこにそのしわ寄せがいくのか・・・・学校→先生→・・・・子どもたち。先生たちが忙殺されることになれば、子どもたちに向き合う時間がなくなるわけですから。何かちぐはぐな気がしてなりません。


 でも、貝取、豊ヶ丘の地域の方々の気持ちを思うとここまで議論も積み重ねてきた、そこには地域どうしの感情的なしこりも生まれたりと・・・・・「なぜここで否決されなければならないのか」との気持ちが強いことも理解します。もちろん地域の怒りや憤りも。また、4つの小学校の保護者の方々は統合の方向に向けて交流をしようと考えていることなど、ようやく地域が足並みをそろえようとしている状況があることも説明を受けました。きっと色々な困難な感情を乗り越えたところに現状があるのだと思っていますし、その気持ちに水をさすような、すべてをひっくり返すような判断を下したと受け止められ、批判免れないと思っています。


 この議論の本質は「子どもの教育環境」にあるわけで、地域への説明不足その他の理由で「否決」という態度を示すことに鼻息荒くし、可決の立場の議員さんからは憤りもぶつけられましたが、事の本質が本当に「子どもの教育環境」にあるのであれば、現在の伝家の宝刀=適正規模方針に基づいた結論は「4校→1校」であるべき。またそうしないと教育委員会は言動不一致になってしまいます。まさか、ここ2、3年のことだけを考えて統廃合するわけではないでしょうから。

 足掛け3年間審議をしてきているのでその都度その都度「時点での状況が違うんです。」ということを言い訳がましく述べていたものの、審議をしていたときは「2校」にすれば大丈夫だと思っていたんだけれども、今は状況が変わったなら、それこそ「現時点」で下すべき判断と決断があってしかるべきでしょう。いずれにせよ、破綻することが目に見えているというか既に綻びが見えてしまっている「適正規模」の考え方を見直さば、教育委員会が取組んでいる学校の統廃合の「理屈」が合わなくなっていることだけは確か。


 やっぱり詭弁に詭弁を重ねているようにしか見えない教育委員会の対応には今後説明がつかない部分が生じると思っていて、その時に誰が責任をとるのかを考えると・・・・・「きっと、今、学校統廃合問題に関っている教育委員や職員たちはいないんだろうなあ・・・・・。」と。


 
 統合新設校の開校は平成23年の4月。時間的な余裕はあるようでないのかもしれないけれど、もう少し説得力のある根拠と考え方で示しなおしてもらえないのだろうか・・・・って。また、教育委員会でも最後まで焦点になっていた通学区域の区割りのことについても再検討する余地はないのだろうか。私は貝取は貝取で豊ヶ丘は豊ヶ丘でのまとまりにすることが相応しいと考えてきたし、議会にもそう考えている議員もいます。教育委員会でも3人と2人で結論が分かれていたことも事実だし・・・・再考してはと思うけれど。

 
 「適正規模方針」のことを持ち出してしまうと、さらに議論を難しくしてしまうので、あまりそこには触れずに議論をしたほうがいいのでは?・・・・・・・・・・という助言を途中でいただいたりもしましたが、やっぱりそこが原点になってしまうし、それこそ、この結論が将来的に市民を欺くことにつながりかねないともなれば慎重になってしまうし。安易な判断はできません。

 「小規模校をなくすことが多摩市の教育環境全体を向上させることと即結びつきますか?」


 そもそも学校の数が多すぎること。整理する必要があること。それは事実だし、私もそのことについては異論なし。だから統廃合を進めざるを得ません。でも、これは実は「適正配置」だけの問題で、規模云々から議論することにそもそも無理があるのかもしれませんね。今回の一連の流れの局所局所では教育委員会に物申したいこともたくさんあったけれど、「教育委員会の独立性」を楯にされてしまうと議員は何も言えなくなってしまう・・・・・「教育委員会が議論しているときに議会から口出しすべきではない。」という正当な言い分には返せない面もありますし。
 でも、ある意味で、そのことが今の結論、結果に至らしめている部分もあることは確か。いっそのこと文教常任委員会と教育委員会とで意見交換と情報交換をしてみてはどうかと思います。


 そうそう、最後に・・・・。市内卒業式や入学式に市長(副市長)も挨拶をするようになるのだとか。一体何のために?今までは教育委員会が「告辞」ということで行っていたわけで、私はそれで十分だと思うけれど。学校の設置者が市長だからというのが挨拶をする理由になっているようですが、正直・・・・不必要。すべての学校に市長が行けるわけでもないわけだし。何のため・・・・・・・?


 選挙対策?


 なんて思ってしまったのは私だけ?!

投稿者 hisaka : 2008年12月15日

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