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2008年11月19日

はちおうじ子ども議会

 八王子市の子どものしあわせ課の方に「はちおうじ子ども議会」についての取材をしてきました。先般は「はちおうじ子ども議会報告会」を行い、解散式も行ったとか。

 大人たちの議会よりも進んでいますね。解散式をかねていたとは言え、市民にきちんと報告をするわけですから。都内初の「議会報告会」だったりして。多摩市の議会改革特別委員会でも「議会報告会」の開催は慎重に検討すべきことの一課題になっていて、そんなに簡単に開催できるものでもないのに。

 さて、「はちおうじ子ども議会」ですが、概要については先日参加した子ども施策シンポジウムの分科会でエッセンスについては聞いていたものの、やはり改めて実施にいたる経過などを伺うとそこには八王子市行政の地道なる取組みがあることがわかります。

 八王子市には「子どもすこやか宣言」があるのですが、この宣言は国が批准した子どもの権利条約の内容を踏まえて、市独自で子ども参加も得ながら作成したものなのだとか。「権利ばかり主張することはまかりならん」と「〇〇の権利」と述べてみただけで、ものすごくバッシングされるような最近の風潮があるわけですが、八王子市では「子どもの権利条約」と合わせて「子どもすこやか宣言」の普及啓発に積み重ねがありました。(ちなみに・・・・子どもすこやか宣言の内容には賛否両論もあるのだとか)

 特に子ども議会の下地をつくるにあたっては市内を5ブロックに分けて活動を進めてきた「子ども会議」があります。各地域の児童館が中心になり、子どもたちの意見表明や子ども参画を考える場づくりをしてきました。ここが子ども議会の開催にもつながっていくわけですが、子ども会議に参加をしていた子どもが「子ども議会」の議員になったわけではなく、市広報で募集をしたところ予想をはるかに超える子どもたちからの応募があったという話を伺いました。子どもたちは応募に当たって「私が好きな八王子」「わたしが市長だったら」「こんなまちに住みたい」というテーマのうちから選び400字での作文を書いたのだとか。


 えらい高いハードルを潜り抜けて応募をした子どもたち。もちろん募集人数15名に25名の応募があったわけですが、作文での選抜ができるものではありません。すべての子どもたちが議員として活動することになったそうです。子ども議員たちの活動は市内の施設見学や1泊2日の合宿研修などを経て、本会議での政策提言づくりにを行いました。市議会議員との質疑応答や市職員からのヒアリングも実施し、本格的な発言通告書作成づくりがなされたようです。そして子ども議会での発言を市長がきちんと受け止め、実現されていると言うのがこれまた八王子のすごいところ!今日のヒアリング先の「子どものしあわせ課」も子どもたちの提案によります。


 「発言したことがきちんと活かされていく」・・・・この経験が大事なんですよね。発言されたことが反故にされたままだと、本当に空しくなってしまいますから(って自分の経験も踏まえて。笑)。


 子どもの意見表明とか子どもたちの参画とか子どもたちの主体性・・・・と言えば学校コミュニティなどの「生徒会活動」の事例が挙げられます。もちろん「子どもコミュニティ」における子どもたちの自主活動の経験も重要でしょう。しかし、「はちおうじ子ども議会」における活動のように社会全体、大人社会に向けて子どもたちがその存在を生き生きとアピールしていけることの意義は大きく、その必要性がもっと認識されてもいいと考えています。「はちおうじ子ども議会」は八王子市の次世代育成支援の地域行動計画の改定に向けての一取組みなので、継続的に今後の開催が約束されているものではありませんが、この取組みの成果や評価が次のステップにつながっていくことを願うものです。


 何しろ・・・・この企画そのものが当初から注目されていたわけではありません。取組みがスタートしてからマスコミなどでも話題になったことで、市長その他が一目を置くようになったと伺いました。「目玉事業」ではなかったと聞くと、子どもの権利条約や子どもすこやか宣言をしている八王子にとっては特別なことではなかっただけなのかしら?・・・・それともあまり重要視されていなかった?・・・・・と勝手なる想像をしてしまいますが、いずれにしても子どもたちの意見表明の場が大きくアピールできたことの意味は見過ごせません。これからの八王子市の取組みに期待したいです。

 また、八王子市のこの取組みは2年越しでの準備をしています。単なる思い付きではないという点も重要なポイント。子どもたちの本音をきちんと引き出していけるようにと「学生サポーター」の育成をしていますが、そこが今後のまちづくりの大きな財産につながっていきそう。そこも要注目。そしてもちろん追記しておきたいこととしては「担当者の熱意。熱意を受け止めることのできる上司力」という点でしょうか。今日の取材は一緒に活動をしている学生2名同伴で行ったのですが「職員の方の情熱。」に偉く刺激を受けていたことを今日のまとめにしたいと思います。


 「公務員って仕事をしてなさそう。」・・・そういうイメージだけを撒き散らす報道は本当に控えてもらいたいものですね。実際にお会いした職員の方の熱意に感動することって多々ありますから。(もちろん多摩市にだって熱意のある職員の方はいます。これはお世辞ではありません。)

投稿者 hisaka : 2008年11月19日

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