« 視察報告続編・・・・多治見市の総合型地域スポーツクラブ | メイン | 共に働くの実践を!「チャレンジドオフィスちば」 »

2008年10月27日

どうする?学校選択制

 文教常任委員会がありました。調査事項にしている「学校選択制の諸問題について」が審査案件。できれば12月定例会に報告書を仕上げたいと考えています。会議の冒頭で教育委員会事務局が今年度行った学校選択制に関するアンケート調査結果の報告を受けました。


 学校選択制を利用した人も利用しなかった人もあわせて・・・・・「学校選択制は継続すべき」と回答した人が90%以上。(といっても、制度を拡充して継続/現状のまま継続/縮小して継続と回答した人の合計。ちなみに「現状のまま継続」というのは理解できるけれど、「制度を拡充して」「制度を縮小して」の内容が不明。どんな風に拡充するのか?縮小するのだろう・・・・?←教育委員会の設問意図に私は疑問だったりする。)


 ということで、制度のそのものが定着をしている証拠で「何も問題がない」と主張する委員が約1名。しかし委員長を除くその他私を含んだ4名の委員は「学校選択制を全く否定するものではないが見直す必要がある。」との立場で意見交換をしました。そもそも上記の教育委員会のアンケートについても結果の捉え方があると思っています。


 学校選択制を利用した人は「選択制が悪かった」とは回答しないでしょうし。利用しなかった人は選択制そのものにそれほどの関心を寄せているわけではなく、「別に制度があるならば、あえてなくさなくてもいいのではないの」というレベルで回答しているのではないかと推測ができます。学校選択制を利用しなかった人が被害を被った事例は聞いたこともありませんし。
 むしろ、学校選択制を利用して指定学区外の学校を選びたかったのに、受入定員との関係で抽選に外れてしまう場合もあり、そちらのほうが問題ですね。「学校選択ができない場合もある。」・・しかもそれは「くじ運で決まる。」みたいな・・・・。


 基本的には指定された学区内の学校に通学する。でも、場合によっては学校選択も可能にできるような制度の見直しはできないのだろうか?・・・・・・というわけで、学校選択制を利用できる基準を設けてはどうか?という意見が出されました。
 一つには「学校の距離」があると思います。場合によっては指定学区内の学校よりも、学区外の学校のほうが通いやすい場所にあるというケースも発生するでしょう。そういう場合には選択できる余地を認めることが必要です。あとは、中学校の場合には部活の問題があるでしょう。中学生にとって部活動はやはり重要な視点。部活をやりに学校に行くなんて時期もあるわけですし(って私はそういう時期もありました)。なので、学校選択をする理由にすることは可能かもしれませんね。

 しかし・・・基準づくりって実は非常に難しいことで、必ず「その他、教育長(もしくは教育委員会)が必要だと判断した場合」と入れ込んでおかねばならず、結局のところ個別判断に委ねられるとなればそこもまた難しい問題を孕んできそうです。


 私としては小学生の場合には「距離以外」の理由による学校選択は認めないことにし、原則的には指定学区域内の学校に入学してもらうようにすればいいと考えています。前橋市の見直しに近い考え方ですね。でも、中学生の場合には「部活」のこともあるので、学校選択制を当面は続けてもいいのかな?と思っています。それに小学校6年生にもなれば、「自分の意思」で行きたい学校を選ぶこともできるでしょうし。(でも、多摩市の場合は学校を適正規模化に取組んでいる→どの中学校でも一定程度の規模が確保できる→部活動についての問題も克服できるような気はしています。)


 と今の段階では考えています。できたら委員会として見解をまとめていけたらと思っていますが、「学校選択制に問題はない。」とかなり強く主張される方もおられるので、両論併記でのまとめを作成することになるのでしょうか?


 いずれにせよ、学校選択制はさまざまな問題点が指摘されています。例えば学校の序列化とか、選ばれなかった学校のモチベーションの低下などなど。。。。。そもそも学校選択制は「学校の特色づくり」と密接な関係があり、それぞれの学校に特色を出すべく競争させると言うか、やる気を出させると言うか・・・・・その渦中に置かれて実施されてきたものだと理解しています。
 私は学校の特色は学校の立地する地域環境、通学している子どもたちや保護者、そして先生が自ずから醸し出すものであると考えていて、わざわざ「特色づくり」に時間を割いて取組むこともないような気がしています。「公教育」としてベーシックなところこそきちんと行われるべきで、それを粛々とこなしていたとしても、学校の特色は生まれてくるものではないでしょうか?もちろん、特徴的な取組み云々はあるのかもしれませんが・・・・・・。特色を無理やり作ろうとするから学校が疲弊し、先生たちが疲労し、子どもたちにも影響する・・・・・という悪循環サイクルだけは避けていかねばならないでしょう。(って多摩市の学校がそうなっていると言うわけではありません。一般論として。)


 「選択できる」というのはとてもいいことだと思っています。でも、私は学校の選択と言うのは「公立」か「私立」かの選択で十分。もちろん「公立が選ばれる」が望ましいですし、そのために教育委員会が実力発揮して欲しいと思います。どこの学校に通学しても一定水準の教育が保障されるのが「公教育」だと考えます。「一定水準」というのがまた難しいのかもしれませんが、やはり一人ひとりの子どもの学力(個性)がその子どもなりに身について伸びていけるようにしていくことではないかと思っています。たぶん教育委員会の回答は専門的知見に基づいたものになるはずですが、いずれにせよ「公教育」の役割を突き詰めて考えていけば、「学校選択制」の発想とはそぐわない部分もあるのではないかと思っています。


 それに、多摩市でもやれ家庭教育、地域教育・・・・・「地域で子どもを育てる」とさかんに言われていることを考えても「地域の子どもは地域の学校へ」とごくごく自然に結びつくはずです。やはり学校選択制を見直していくことが必要ではないのか?文教常任委員会の議論の流れは「見直しが必要」という方向になっています。

 ☆学校選択制に対するご意見がありましたら・・・hisaka_box@yahoo.co.jpまでお寄せください!
 
 ☆ちょうど内田樹さんのブログにも「学校選択制」へのご意見が♪

投稿者 hisaka : 2008年10月27日

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
/1855