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2008年10月25日

視察報告続編・・・・多治見市の総合型地域スポーツクラブ

 視察報告続編です。あいにくの土砂降りを名古屋から多治見市へ電車に揺られて30分余り。多摩市よりも少し前に開発された高蔵寺ニュータウンの最寄り駅を過ぎたところで一気に電車が山の中に???トンネルを越えると「渓谷入り」という感じ。一山超えたら景色が様変わり!晴天なら風景と空気の色の違いにもっと感激があったように思うものの・・・・ざあざあ雨が降っていたのが残念。


 もちろん、いくつかのトンネルを通過して、多治見駅に到着するあたりには「まちの風景」に変わり、駅を降り立ったら、ごくごく一般的なロータリーやら商店街があり、変わり映えのしない?!JRの駅前広場がありました。そこから車で10分もかからずに市役所に移動。移動する途中で見た「多治見焼」のお店などなど・・・・・窓からだけのお楽しみではもったいないなあと思いながらもこれは趣味の旅行ではないのだから・・・・と気を取り直して「総合型地域スポーツクラブ」の話を聞いてきました。


 総合型地域スポーツクラブというのは文部科学省が推進している事業です。各自治体で一つは設置しましょう・・・・と目標が設定してあったなあとのうる覚えな記憶が頭の隅のほうにあったわけですが、これもまた多摩市にとってどのくらい優先度合いのあるものなのかは疑問だったので、そこまでの関心は寄せていませんでした。ただ、国に変に目標を押し付けれて多摩市は一体どう取組んでいくつもりなのかなあとぼんやり考えたことはありますが・・・・。もともとスポーツ音痴の私にとっては壁の高い分野だったりもします。


 ということで、多治見市の総合型地域スポーツクラブについて。話を伺ったのは「小泉地区」の取組みでした。・・・というか、多治見市ではモデル的に小泉地区で本事業をスタートして、今後の展望としては他の地域にも広げて行きたいと構想しているとの話。(なので、まだ小泉地区での実践を蓄積している途上です?!)


 さて、「いつでもどこでも気軽に」スポーツの楽しめる地域をつくることが事業の目的。5~6人以上のメンバーが集まることで1つのクラブとして登録することが可能です。サッカー、バスケットボール、バレーボール、剣道、野球、水泳、陸上・・・・などなどのクラブチームが活動しています。しかし、スポーツだけでなく吹奏楽、パソコンといったクラブの活動もあります。もともとスポーツを通じて世代間のつながりやふれあいをつくることも狙いの一つになっているようなので、その趣旨に合致するようなスポーツ以外の活動も取り込みながら、コミュニティ活性化につなげていこうとしているようです。


 特徴はもちろん「地域で運営する」という点。行政は「総合型地域スポーツクラブ」として立ち上げた当初3年間は運営費補助をしていたそう(といっても1年目60万円、2年目40万円、3年目20万円)ですが、現在はすべて自前の運営です。現在はクラブチームに所属している会員からの会費年間一人2000円と地域にある小中学校の施設を使用するため、市から施設管理委託業務料(放課後・休日の校舎管理(セキュリティ・鍵・施設使用の申請業務代行)を行っている)を財源としています。
 ちなみに地域の運営主体というのは、自治会長さんや地域のある学校のPTAの代表などなどで組織されていて多摩市のイメージから言うと「青少協」に近い感じです。クラブチームで活動をしているのは主に中学生たち。多治見市の場合には17時までは学校の部活で、それ以降はクラブチームの活動で・・・という風になっていて、クラブチームの指導者が学校での部活顧問・指導者の先生たちと重なっているみたいでした。というわけで、私としては部活とクラブチームとをどうして分けているのだろう?という疑問がすぐにわいたのですが、「部活からクラブへ」を基本の考えで方針を確定して進めているとの回答でした。(でも、そうすることのメリットはどこにあるのでしょう?)


 

 どんな活動をしているのか、どんな活動が求められているのかと言えば「総合型地域スポーツクラブ」でインターネットで検索をすれば数々の情報を得ることができます。東京都の体育協会でも推進しているみたいですね。何とも・・・・・個人的には事業に対する感想としては下記のとおり。


 地方分権とか地域主権とか言いながらも、国主導で助成金を出しながら推進して行くやり方、まだまだ「補助金を通じたコントロール」の手法が古すぎる。各自治体とも「一つはつくりましょう!」なんて目的に掲げられているところあたり・・・・・・確かにスポーツの振興を進めていくことは必要なことかもしれませんが、どんなやり方をするのかは地域独自の取捨選択、自治体の選択に任せる時代のはずなのに、まるで逆行するような取組みにも感じます。「総合型地域スポーツクラブ」を作ってくれたら、補助金出しますよ!・・・・なんておかしな話だと思います。


 なので、多治見市での取り組み事例は取り組み事例として参考にはなりましたが、もともと文部科学省からの発信で進められているこの事業のあり方そのものに私は疑問。ただし、学校の小規模化が進んで子どもたちのやりたい部活メニューが揃っていないという現状に対応できる可能性もあったり、地域の人材を活用したりなんていう点でやりようによっては面白い取組みにもできそうです。


 ただ・・・・「ボランティアが基本」というところで、どこまで続けることができるのか?各クラブチームの活動も所属をしているメンバー(中学生)の保護者などへの負担がかなりあるみたいでしたし。続ける活動にしていくための工夫、もちろん自主運営の基盤を支える財政的なもの含めて今後の課題は決して小さくなさそう。
 なので、多治見市の場合にも「小泉地区」から他の地域地区に取組みを広げていきたいとの構想はあっても、そう簡単に広げることは難しいということになるのでしょう。地域地区にどんな受け皿があるのか・・・という事情にも関わってくるでしょうから。


 だからやっぱり「各自治体に一つ以上は作りましょう!」なんて目標に掲げることそのものがナンセンスとしか思えない。最後に・・・・自民党の無駄遣い撲滅チームの行った政策棚卸でも「不要」とされていることを追記しておきます。

投稿者 hisaka : 2008年10月25日

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