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2008年08月01日

「保証人を探すのが大変です。」

 駅前で顔見知りになったアメリカ人の方から連絡をいただいたのでお会いしました。日本に来てずいぶん長いと話す外国人市民の方です。多摩市にも長く住んでいると話をされていました。最近、とても困ったことがあるので聞いてほしいというのです。(もちろん日本語で)

 というのは、アパートを賃貸契約したときの保証人(日本人)が亡くなってしまい、別の人を探さなければいけなくなり、とても不安に思ったというのです。早速調べてみたところ、「住まい」の問題はなかなか困難が多いよう。多摩市の場合は外国人の方にどんな住まいのサポートをしているのかを改めて調べてみなくてはと思ったところです。その方は川崎市のようにサポートがあれば・・・とお話しをされていたのですが、川崎市には「外国人市民施策担当」という部署があるようです。川崎市は外国人市民会議の設置などでも先進的で、まちの抱えている課題に対応して「多文化共生」を目指し様々に取組みをしています。
 多摩市の場合、私は国際交流センターの情報誌から、その取組みを垣間見ているだけですが「多摩市として熱心にやっているか?」と言われれば、正直・・・及第点をつけることはできず、国際交流センターで活動をしている市民の方々の熱意に‘丸投げ’している印象が否めません。多文化共生の地域をつくるために市行政が音頭とりをするまでには至っているとは言えません。

 外国人の方も一市民。もちろん納税者でもあり、行政サービスがどう届いているのかを把握することは必要ですね。すべての外国人市民の方が国際交流センターに所属しているわけではありません。少なくとも国際交流センターに関わりがあれば、行政の情報を得やすい環境にあるとも言えますが、全員が全員そういう状況にないことを前提にして、市行政がどんな取組みをすべきなのかは問われる点です。

 
 ということで、上記のように「住まい」に関わる大変だった話を知ることができ、川崎市の施策を調査してみたところ・・・・川崎市には「住宅基本条例」という条例があることがわかりました。東京都にも住宅基本条例がありますが、川崎市の条例は第2条で「住宅及び住環境に関する政策の基本理念」がしっかりと書き込まれていてさすがだなと思います。


第2条 住宅及び住環境に関する政策は、次に掲げる事項を基本目標とし、すべての市民が安心し、ゆとりを持って、共に住み続けられる活力ある地域社会の実現を目指したものでなければならない。
(1) 市民の住宅需要に適切に対応した良質な住宅の供給及び誘導
(2) 市民及び事業者の参画及び協働による良好な住環境の形成
(3) 高齢者、障害者及び外国人をはじめとする市民の居住の安定

 多摩市は住宅都市ですが「住宅」に関する例規は市営住宅条例があるだけのようです。「住まいの安定」は心の安定につながるといわれていて、「居住福祉」は基本的人権を支える大事な価値です。外国人市民の方の入居差別だけではなく、高齢者、障害者、ひとり親・・・・住まいに不安を抱えている人は少なくありません。「住宅マスタープラン」はありますが、「居住福祉」的な観点が盛り込まれていたっけ・・・と記憶にないのですが、いずれにせよ、これからの住宅問題に外国人市民の方の存在も無視することができないような気がしています。


 ちなみに、川崎市の場合には、外国人市民の方への住まい確保について「入居差別の禁止」に実効性を確保するための仕組みがあるそうです。もちろん川崎市の外国人施策にも歴史の積み重ねがあると思いますが、将来を見据えればこれを他市固有の課題・・・として傍観していられないだろうとと考えているところです。


 「多摩市が好きなので、保証人を失ってしまって、多摩市に住めなくなるかと思ったけれど・・・・多摩市に住むことができるようになったからよかった。」という言葉にうれしくなりました。頭の片隅にあったのは、もし「保証人がいないけれど、どうしたらいいですか?」と言われたなら・・・私はどうすればよかったのだろう?ということでしたが。

投稿者 hisaka : 2008年08月01日

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