« 議会改革は進むか? | メイン | 図書館をつくるのは市民 »

2008年07月23日

NPOセンターのこと。

 先般、今後のNPOセンターの在り方を検討してきた運営検討市民会議が終了しました。多摩NPOセンターをめぐる市の対応や手続きのまずさを指摘し、市民が再度、その必要性や今後の運営手法について議論をする場を設置すべきと主張してきた私にとっても議論の行方はとても気になるものです。
 
 この会議は全部で11回を重ねています。すべての会議に参加をすることはできませんでしたが、できる限りで顔を出し、議論を見てきました。議員はこのよう場にどう参加すればいいのか立ち位置がなかなか難しいのですが、議員も市民の一人ということでメンバーの一員で時折発言もさせてもらいました。会議の運営は参加しているメンバーの中から世話人を選出し、世話人を中心に議事進行を進めるという形式。民主的に進められていたと思います。最終の会議では「提言」をとりまとめました。市側によるとその提言を「最大限尊重する。」ということでした。

 「最大限尊重をする」ということは、そのままその提言を受け止めるということと同意ではないはず。これまで数々の事例を見てきて、そう思っていますが、今回の場合には市側はどのような対応をしていくのでしょうね。


 私としては「公設備・市民設立・市民運営」というNPOセンターのコンセプトそのものがわかりにくいと思っていて、いっそのこと「公設民営」として位置づけるとか、もしくは「民(市民)設民(市民)営」とかに変えるとか・・・・そういう意見交換もしてもらいたかったですが、残念ながらそこまで論議が深まらなかったのが事実です。会議では多摩NPOセンターの新たなステージ、新しい段階に進むために・・・という意識が先立っており、それはそれで前向きな議論が進んでよかったとは思います。しかし、肝心な多摩NPOセンターの位置づけや性格をどのようにすればいいのかを議論するまでには至っていないのが提言書としては少し弱いかなと感じていて今後にどうつながっていくのか心配です。とりあえず、現在のように特定のNPO団体に事務局機能を委ねる方式はなじまないという見解はあるようですが、では、市民が集まる運営協議会方式にシフトできるのかどうか・・・・・。そもそも多摩NPOセンターは市民の運営協議会方式でスタートし、それがなかなか上手くいかなかったので運営手法を変更したという経緯があります。つまり、ここでまた元に戻す(全く元に戻るわけではなく、新たな団体が立ち上がっていくとは思いますが)との判断を下せるかどうかにかかっている気もします。

 市民との協働は「行きつ戻りつ」がつきものだと心を広くして捉えることができればいいですが、果たしてどうなっていくでしょう・・・・・。誰がどこでその決定をするんだろう・・・・。


 今のところ、ちらほら聞こえてくるのは「存続はする」という方向性ですが、仮に行政がその責任において「存続する」という判断をしたからにはそれに見合った基礎体力をつけられるように支援すべきですね。そもそもNPOの中間支援センターなるものが自前で利益を上げ、稼ぎ出すまでになるには時間がかかるわけで、それまでの支援(とりわけ財政的な支援)がいかほどに必要か・・・・(については私が言うまでもなく、市側が最も痛感しているはず)。


 今回の検討会議では様々な分野で活動をしているNPO団体のメンバーが集えるサロン的なもの、事務所にできるブース的なものが欲しいとの意見もあり、それらを今後どう叶えていくのかが提言書の「最大限尊重」にもなっていくのかもしれませんが、そもそもNPO団体と言うのは「自主自立独立」して活動するものであることを認識しておくことは必要な気がします。サロン的機能は大事で、出会いや交流の場で新たな事業への発想が生まれたり、ヒントを交換し合ったり・・・なんてことがあるのだと思います。しかし、NPO団体ではなく、例えば中小企業・民間企業の経営者たちは特別に固定の場所を設けてはいませんが、異業種交流会などを開催しています。誰がイニシアチブをとっていくのかが最初の課題になるのかもしれませんが・・・・そのための多摩NPOセンターというわけではないでしょうし。


 私はこの際、ボランティアセンター(運営は市ではないが)多摩NPOセンター(公設備・市民設立・市民運営)市民活動情報センター(公設公営)東永山創業支援施設「ビジネススクエア多摩」(公設民営?ブースやサロン的機能がある)など・・・・・多くの市民にはわざわざ分けることの意義がどこにあるのかを説明しきれないところを解消してもらいたいと思っていますが、そこに一足飛びに行くことは難しいということが「答え」なのかもしれません。別々にはじめたものは別々にずっと存続していくしかない?

 もっといいやり方を考えることはできないのかしら?「つくることは簡単だけど、廃止することは難しい」の典型?一度スタートさせてしまったことを途中で中止したり廃止することを躊躇ったら躊躇ったまま存続していけるのが「お役所仕事」なのかもしれませんね。民間企業の場合はそこに利益が問われ、躊躇するまもなく「廃止すべきは廃止する」という決断を迫られることが多いでしょうから。

投稿者 hisaka : 2008年07月23日

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
/1785