« お知らせ★市長が語る「新しい支えあい」 | メイン | 書くことも結構疲れます。 »

2008年06月27日

食の安全と安心

 東京自治研究センターの月例フォーラムに参加しました。今回から「食」がテーマ。食品偽装事件が話題になっているこのタイミングにぴったりの企画です。第1回目の今日は「農と食の環境フォーラム」の牧下圭貴さんが講師でした。牧下さんの活動は幅広く、ご本人も「市民活動で食べている」とおっしゃっていましたが、その活動の一つである「学校給食ニュース」はとても役立つ情報満載です。

 今日の話は「食をどう捉え、何を目指すのか」という観点からの話でしたが、やはりその話題の中心には「学校給食」がありました。「食育基本法」「食育基本推進計画」のわかりやすい解説から、「食育」における地方自治・・・・ということで、学校給食がそこに重要な位置を占めているとの指摘はわかりやすかったですね。学校給食の実施については地方自治体が責任を持つものだからこそ、そこから「食育」をしっかりと発信していかなければならないと言うわけです。

 福井県鯖江市新潟県三条市愛媛県今治市高知県南国市が事例で紹介されていましたが、鯖江市や三条市では食育のために給食時間の十分な確保に努めることを方針としていること。特に三条市では「4時間目授業の終了時間厳守」ということになっているようです。さらに、学校給食には必ずつきものの「牛乳」ですが、日本食基本実施のために食事の時間と牛乳飲用の時間を分離させることにも取組んでいるらしいです。「学校給食で牛乳をやめる」なんてことを宣言すると文部科学省はもちろんのこと、業界団体からも圧力がかかると言われていますし実際にものすごいプレッシャーがあるとか。しかし、誰がどう考えても「ご飯」+「牛乳」というのはあまり美味しそうではなく、目の前にこの二つの組み合わせが並べられているだけでも食事への意欲が削がれてしまいそう。だったら・・・・と「和食」献立と牛乳とを一緒にするのではなく、牛乳だけを別の時間に飲むことにした三条市はなかなかの知恵だと思います。
 また、今治市では「食と農のまちづくり条例」があること、南国市は給食のご飯について各学校で家庭用炊飯器を用いていること(多摩市議会でも以前に視察している)など「『食育』における地方自治」という新しい観点を改めて学んだ気がします。


 それから、やっぱりここは私も同感なのですが「食育」となるとどうしても「栄養教育」に偏りがちですが、本当は「食」の選び方という視点がものすごく重要で、安全・安心な食べ物を選ぶ力を育てていく教育こそ大事だということを強調されていました。食品表示を読み取れる力はもちろんのこと、その表示の仕方、その情報を読み解く力も大事ですね。これは食に限らないことなのかもしれませんが・・・・・。
 「食育」というとイメージ的には「早寝早起き朝ご飯」みたいな印象が強すぎるわけですが、本当は自分たちの「食」を考え、自分たちの「いのち」を考え、そのためにも自分たちの「農業」を守っていく・・・という視点をきちんと据えていかなければならないのです。子どもたちの農業体験などにしても、やらないよりはやったほうがいいと思いますが、ただ闇雲に取り入れたって「食育」にはつながらないわけで、実はそういう根源的な問題にも触れることができるようにつくっていきたいものです。


 先般、多摩市にも食育基本計画に該当するものが完成していましたが、まだホームページには掲載されていないのかな?食育推進検討会が設置をされて、さまざまに議論されてきた経過はありますし、市長も市役所が横断的に取組むべき超・重要課題として位置づけていた問題でしたから。いずれにせよ、食育に力を入れている自治体ではホームページの項目として「食育」ということも位置づいているようです(鯖江市、三条市、南国市)。
 学校給食といえば多摩市ではセンター方式による調理ですが、今更ながら国も「単独方式」=自校方式が「食育」にはふさわしいことを認めざるを得ず(といっても、センター方式を推奨してきて補助金もつけてきた立場としては口が裂けても「自校方式」が望ましいとは言わないが)、「学校給食は生きた教材」なんて言い方もしているようですね。何と無責任と言うか、時代環境の要請といえばいいのか・・・・私としては複雑な気持ち。多摩市は南野センター、永山センターともに改修工事をしていますし、今後もずっとセンター方式でやっていかねばならないわけで、その中で「学校給食は生きた教材」として食育にどう生かしていくのかは課題です。


 それにしても、学校給食に米飯が認められていなかった時代もあるらしく、その時代に給食を食べていた世代は「パン好き」とのこと。アメリカからの小麦輸入対策に学校給食が使われていたとの話ですが、恐るべし策略。義務教育機関に学校給食で鍛えられる?!って・・・影響力がものすごいのですね(だから教育って本当に重要だと実感させられます)。食べていた給食の内容による嗜好の違いみたいなことの研究結果もあるそうです。最近は「ご飯」志向にもなっているようです。これはとてもいい傾向です。私はご飯も好きですが、同じくらいパンも大好きです。でも、国産小麦を使用しているパンはお値段が高いのでやっぱりご飯のほうがいいなと思います。


 「食」への不安は、生きることへの私たちの不安ともいえる側面があるように思います。食糧不足なんていえば、まさにそのとおりで「生命の危機」になるわけですから・・・・「食」を根源的なところからもう一度見直し、話題にしていきたいものです。

投稿者 hisaka : 2008年06月27日

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
/1768