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2008年02月05日

「地域で幸せに生きるために」

 多摩こども劇場が主催している「子ども・文化・地域コーディネーター養成講座」に参加をしました。3回連続講座の第1回目で、今日は帝塚山大学教授の中川幾郎さんの講演でした。「とても面白い話を聞くことがができるので、ぜひ!」とお誘いをいただいた評判どおり中味の濃いお話でした。今日の第1回目講座については多摩市の職員研修の位置づけもしてもらったそうで、職員の参加もありました。

 講演タイトルは「地域で幸せに生きるために」。結論的には「そのためには文化・芸術が重要である」という話の流れです。(が、決してそんなに単純な理論構成ではないことは言うまでもありません。)

 文化・芸術というのは「お金持ちの領域」と言われたり、行政の文化政策もバブル期以降は衰退の一途を辿り、ジリ貧になっている現状からもわかるように「贅沢な領域」のように見られるのが一般的。全国見回しても、文化施設や文化ホールが妙に立派で威張ってるけれど、閑古鳥が泣いているみたいな笑えない状況も少なくありません。今や、行政の財政難とともに文化・芸術分野も縮小傾向であることは多摩市を見ても明らかです。
 でも、「文化・芸術」が全ての人が幸せに暮らすために必要な要素で、そして子どもの可能性を育てていくために不可欠なものであるかを再認識されされました。だからこそ、行政が文化・芸術施策に取組んで進めていく必要があるわけですね。文化・芸術施策はその成果を測定することも難しく、何となく「贅沢品」みたいな感じもしていたのですが、決してそんなことはないと励まされました。


 子どもたちと文化・芸術という点で頭に思い浮かんだのは学校教育。子どもたちが芸術体験を積み重ねることの必要性からすれば、学校における「芸術分野教育」の展開は気になるところですね。しかし、芸術体験といえば、財政的な問題と授業時間の不足という事情がぴったりかみ合ったところで、パルテノン多摩での鑑賞教室の回数も減らされてしまい子どもたちが「本物」に出会う機会も少なくなってしまったことが思い出されます。


 しかし、そんな状況に残念さはありますが、悲観的になる必要もないのかもしれません。・・・・というわけで、多摩こども劇場とパルテノン多摩が提携をして実施する企画が今月17日に行われるのでちょっとご紹介。
 「まるごと1日おもしろ体験~ステージアートのおもちゃ箱」。小学生が対象で定員が200名(1日参加券500円)。「雅楽体験教室」という興味深いプログラムをはじめ、ミュージカル、ストリートダンス、影絵、殺陣、人形・劇、落語、英語劇、ブラスバンド楽器、日本舞踊、三味線など。子どもたちの体験を広げるきっかけには十分すぎる内容です。市民が中心となり、パルテノン多摩がバックアップしていくような取組みには希望が広がりますね。ただ、こういう企画に参加するのはやっぱり一部に限られるというところで「学校教育」との違いがあるわけですが・・・・。


 ところで、私が最も印象に残った言葉とは・・・・「日本の生涯学習はひまつぶし学習だ!」という指摘でした。それこそお金と時間のある人のための学習になっているとの批判をされていました。多摩市も今度の4月で社会教育として位置づけられていた「文化・スポーツ」の領域を市民活動として位置づけしなおすような組織改正をするわけですが、その見識が問われそうですね。(国の流れや都の流れを汲んでいるのかもしれませんが)


 さすがに大学教授・・・ユネスコの生涯学習理論からの説明や世界人権規約からの説明もいただいたのですが、そう言えばユネスコの学習権宣言は昔、どこかで暗記させられたなあと思い出しながら2時間あっという間の話を聞き終えました。


 今日は文化・芸術の視点から「地域で幸せに生きる」考えたわけですが、この問いかけっていつも答えが出るようで答えが出ない永遠のテーマのように私は感じます。みなさんはどうお考えになりますか?

投稿者 hisaka : 2008年02月05日

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